拍手からの移動のパラレルファンタジーです。
あの森を目指して 1 / 2 / 3
拍手御礼「あの森を目指して 4」
───さっきの剣…
服に潜ませる投剣や針剣、いざとなれば売ることもできる長剣と短剣のセットは、良い品を手に入れることが出来た。
風雨がキツイときや木陰で野宿するには欠かせないフード付の厚手マントも、見た目の基準も満たした丈夫で軽いものが買えた。
古馬車屋では質のいい馬を2頭仮予約することが出来た。
あとは本日の夜に着くという馬と比べてから購入を決めることになっている。
馬車はいざというときに馬と貴重品を載せた部分だけを簡単に切り離して逃げることが出来るという険しい山に囲まれ盗賊も多いという東の国の古馬車を確保した。
1頭引きの馬車でもヨカッタがいざというときには替え馬にもなる様に馬を2頭購入すると決めていたこともあり、小型ではあるが2頭引きの幌付き馬車を選んだ。
旅の最中に馬が1頭駄目になったときには残る1頭でもそこそこのスピードで引けるらしい。
ただの剣士なら荒野を延々と行く予定でもなければ途中で幾らでも手配できる替え馬を引き連れて旅をするのは珍しいし、盗賊に狙われる可能性も上がる上に、どうしても道を選んでしまう馬車を使う者は少ない。
隊を作っての移動なら馬車にはそれなりのメリットもあるのだが、1人で積み荷と馬と馬車と自分の命を守るのは簡単なことではないのだ。
キョーコは今後悪化するかもしれない己の身体の具合と旅路のことを考え購入したのだが、行き先を聞いてきた古馬車屋の主は、馬車はスピードが出せない分狙われやすいし、護衛の剣士も2人位雇ったほうがいいのではないか言ってきた。
高価な荷物を運ぶ、戦闘能力のない荷主との護衛契約は安くはない。
しかし、“剣士自身の旅のついで” なら、条件によっては無料もしくは格安で済むらしい。
「嬢ちゃんは馬車に死守しないといけないような金目の荷物は積まないんだろう?護衛なんてしなくても十分自衛も出来そうだし、旨い飯でもつければタダで同行する奴はいるぞ?勿論、若い女を襲うような奴らは紹介しない。この業界じゃ信用は大事だからな。その手の情報はちゃんと集めているし、うちには信頼できる常連剣士も多い。少しばかしの紹介料はもらうが、やべぇ奴はしっかり除外してるし安心だぞ?」
目的地が同じなら剣士も複数で行動したほうが安全だし、馬車のある旅は食材なども持ち運びやすいため道中の食事が馬だけの旅より段違いに良くなる。
先を急いでいないなら快適な旅が出来ると結構人気なんだそうだ。
この提案を聞くかどうかは検討中である。
確かに護衛がいれば、迂回せずに最短ルートで旅を進めることが出来るかもしれないが、なんとなく気乗りがしなかった。
護衛という同行者を雇うかどうかの結論が出るまで、道中に売れば旅費の足しになりそうな掘り出し物でも “元商人の目”で探そうと決めたが、市場の露店の間の細い道を歩きながらもキョーコの頭の中には先程までいた大きな通り沿いの武器屋で見た大剣のことだけが浮かんでいた。
独特のカタチをした大きく長い大剣。
キョーコが振るうには大き過ぎるし、買い手が現れるような人気の品でも貴重な品でもない。
ハッキリ言えばどう考えても旅のお荷物にしかならないそれが気になって仕方がなかった。
どうしてだか買いたくて仕方がなかった。
いや、どうしてかはわかってる。
───馬鹿キョーコ!あんなもの買ってどうするの!
脳内の “冷静な元商人キョーコ” はあんなモノを買うのは馬鹿がすることだと言う。
だが、“冷静じゃないかもしれないキョーコの心” がこう言うのだ。
「だって、…みたいだし」と。←恥ずかしい理由らしい
───やっぱり…やっぱり…さっきの剣!!
商人の経験と勘に大反対されても、キョーコの心はどうしてもあの剣が諦められない。
結局元敏腕商人のスキルで値切って買うことで両者は折り合いをつけ、少しばかりの予想外の付属品と共に大剣は宿の部屋のベッドの下で保管されることとなった。
第5話につづく
奇特読者の皆様、長くて説明臭い文章がつづいていますが、ダイジョーブですか?
コメディ風味のパラレルファンタジーを目指していますが、登場人物の状況は結構重いです。←キョコさんは自覚なしです
この先も読んでいただけるといいのですが。( ̄▽ ̄;
拍手やコメ欄に、感想コメントをいただくと魔人が小躍りします。(∩*´ω`*∩)
あの森を目指して 1 / 2 / 3
拍手御礼「あの森を目指して 4」
───さっきの剣…
服に潜ませる投剣や針剣、いざとなれば売ることもできる長剣と短剣のセットは、良い品を手に入れることが出来た。
風雨がキツイときや木陰で野宿するには欠かせないフード付の厚手マントも、見た目の基準も満たした丈夫で軽いものが買えた。
古馬車屋では質のいい馬を2頭仮予約することが出来た。
あとは本日の夜に着くという馬と比べてから購入を決めることになっている。
馬車はいざというときに馬と貴重品を載せた部分だけを簡単に切り離して逃げることが出来るという険しい山に囲まれ盗賊も多いという東の国の古馬車を確保した。
1頭引きの馬車でもヨカッタがいざというときには替え馬にもなる様に馬を2頭購入すると決めていたこともあり、小型ではあるが2頭引きの幌付き馬車を選んだ。
旅の最中に馬が1頭駄目になったときには残る1頭でもそこそこのスピードで引けるらしい。
ただの剣士なら荒野を延々と行く予定でもなければ途中で幾らでも手配できる替え馬を引き連れて旅をするのは珍しいし、盗賊に狙われる可能性も上がる上に、どうしても道を選んでしまう馬車を使う者は少ない。
隊を作っての移動なら馬車にはそれなりのメリットもあるのだが、1人で積み荷と馬と馬車と自分の命を守るのは簡単なことではないのだ。
キョーコは今後悪化するかもしれない己の身体の具合と旅路のことを考え購入したのだが、行き先を聞いてきた古馬車屋の主は、馬車はスピードが出せない分狙われやすいし、護衛の剣士も2人位雇ったほうがいいのではないか言ってきた。
高価な荷物を運ぶ、戦闘能力のない荷主との護衛契約は安くはない。
しかし、“剣士自身の旅のついで” なら、条件によっては無料もしくは格安で済むらしい。
「嬢ちゃんは馬車に死守しないといけないような金目の荷物は積まないんだろう?護衛なんてしなくても十分自衛も出来そうだし、旨い飯でもつければタダで同行する奴はいるぞ?勿論、若い女を襲うような奴らは紹介しない。この業界じゃ信用は大事だからな。その手の情報はちゃんと集めているし、うちには信頼できる常連剣士も多い。少しばかしの紹介料はもらうが、やべぇ奴はしっかり除外してるし安心だぞ?」
目的地が同じなら剣士も複数で行動したほうが安全だし、馬車のある旅は食材なども持ち運びやすいため道中の食事が馬だけの旅より段違いに良くなる。
先を急いでいないなら快適な旅が出来ると結構人気なんだそうだ。
この提案を聞くかどうかは検討中である。
確かに護衛がいれば、迂回せずに最短ルートで旅を進めることが出来るかもしれないが、なんとなく気乗りがしなかった。
護衛という同行者を雇うかどうかの結論が出るまで、道中に売れば旅費の足しになりそうな掘り出し物でも “元商人の目”で探そうと決めたが、市場の露店の間の細い道を歩きながらもキョーコの頭の中には先程までいた大きな通り沿いの武器屋で見た大剣のことだけが浮かんでいた。
独特のカタチをした大きく長い大剣。
キョーコが振るうには大き過ぎるし、買い手が現れるような人気の品でも貴重な品でもない。
ハッキリ言えばどう考えても旅のお荷物にしかならないそれが気になって仕方がなかった。
どうしてだか買いたくて仕方がなかった。
いや、どうしてかはわかってる。
───馬鹿キョーコ!あんなもの買ってどうするの!
脳内の “冷静な元商人キョーコ” はあんなモノを買うのは馬鹿がすることだと言う。
だが、“冷静じゃないかもしれないキョーコの心” がこう言うのだ。
「だって、…みたいだし」と。←恥ずかしい理由らしい
───やっぱり…やっぱり…さっきの剣!!
商人の経験と勘に大反対されても、キョーコの心はどうしてもあの剣が諦められない。
結局元敏腕商人のスキルで値切って買うことで両者は折り合いをつけ、少しばかりの予想外の付属品と共に大剣は宿の部屋のベッドの下で保管されることとなった。
第5話につづく
奇特読者の皆様、長くて説明臭い文章がつづいていますが、ダイジョーブですか?
コメディ風味のパラレルファンタジーを目指していますが、登場人物の状況は結構重いです。←キョコさんは自覚なしです
この先も読んでいただけるといいのですが。( ̄▽ ̄;
拍手やコメ欄に、感想コメントをいただくと魔人が小躍りします。(∩*´ω`*∩)