拍手からの移動のパラレルファンタジーです。
あの森を目指して 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15
拍手御礼「あの森を目指して 16」
───◯×&:%◯×△:%◯×&△◯×&:%◯×&~!!←脳内でも言葉にならない。
無慈悲な打撃を受けた瞬間、ほんの一瞬で患部から脊髄を走り脳に届いた「俺ピンチ!」な緊急速報は男を救うものではなく、地獄の激痛タイムを告げるためのゴングでしかなかった。
急 / 所と言われる場所に直接加えられたその攻撃は、彼にかなりのダメージを与えた。
それに、胎児のようにお腹を抱えて耐えるのは本能。
頭の中が真っ白になるのも、声も出ないのも、汗と涙が出てしまうのも彼が弱虫なせいではない。
それは神が与えた試練…ではなくとも、与えられたその性別にもれなくついてくるその場所がもつ弱点であり、そこへの接触が回避できなかったそのときには彼の身体が負うしかない痛み。←女性の身体も違う理由でダメージを受けるらしいですが。
その地獄から抜け出すまでの間彼に出来ることは、ただひたすら激痛に耐えることのみ。
───◯×&:%◯×△:%◯×&△!←まだ無理
出ている筈の脳内麻薬の活躍を実感できなくとも、それに文句を言う余裕はない。
幸いなことに、仰向けに寝転がった状態で衝撃を受けたことが彼に苦痛を与える時間を少しだけ短くしてくれていた。
「フファ、ハァ、ハァ!」
痛みに耐える間にどれほどの時が過ぎたのか…彼には永遠に感じられたその時はゆっくりと、だが確実に終わりを迎え様としていた。
完全ではないが耐えられる程度に引いた痛みが、内側に向いていた彼の意識を外に向くことを許す。
それとほぼ同じ頃。
男が横たわる台車のすぐ横の地面に崩れ落ち、羞恥に打ち震えていた女──キョーコ・モガミの意識も表に、いや、男に向いた。
───嫌ぁああああああ馬鹿ぁああああああああああん!ああああああああああああああ、もうもうもう!なんで!どうして!ああああああ!なんてこと、なんてこと!もう駄目よ!もう駄目なのよ!破廉恥過ぎるぅううう!ああああああ!!
地面に埋まれるものなら埋まりたいと、穴など掘れそうにない堅い石畳の上に這いつくばって嘆き悲しんでいたが、それも永遠には続かない。
やがてノロノロと顔をあげた彼女が目にしたのは、横たわったまま視線をこちらに向けて来た男の姿だった。
───!!!そうよ!元はと言えばっ!!
目があった瞬間、キョーコの中に激しい怒りが渦巻いた。
───そうよ。そうよ!何度声をかけても、ずーーっと寝てたくせにっ!!(怒)
「どうして?なんで?絶対に目を覚ましちゃ駄目って、覚ましたら呪うからって言ったでしょ!?どうして今なの?よりによって、アノ瞬間だったの!」
男は、顔を怒りで真っ赤に染め突然何かを捲し立てだした女の様子に驚いたが、何も応えられない。
早口で告げられる言葉の意味が彼には全く理解できなかったのだ。
だが彼に対して、もの凄く怒っていることだけはわかり、それには焦りを感じていた。
───っ!よくわからないけど、この女を怒らせたのか?マズイな。
故郷でも怒り狂う女に遭遇したことはあるが、それは大抵無視するだけで済んでいた。
そして、この1年間の酷い生活の間に彼が見た女の怒りはほぼ「自分の思い通りにならない」彼への不満であり、「自身のプライドを傷つけた」彼への憎しみであり、無視するのは厄介であったがどうしようもない災難だと、それは嫌々ながら受け入れていた。
だが、今は例え意味不明ではあっても、怒りを買ったままではいけないという意識がある。
───また、あんな扱いをされることになるのか…こうなるかもしれないとわかってた癖に、どうして俺は目を開けてしまったんだ。
不愉快で憂鬱な日々を思い出し、そのあとその報復も思い出してしまった彼はゲンナリした。
───それにあれ位のことに何故喜んだ?反応した?これまでなら嫌悪感のあまり相手が怒りだす位無反応でいられただろうが!
自分の国で女に不自由したことはなかったが、男友達が言うその“贅沢で羨ましい状況” に喜びを感じたことはなかった。
その場の雰囲気と気分、そして生理現象が合致しない限りその手の欲求に手を伸ばすことはなかったから、惨めに拘束されたあと、男妾の様な環境に何度放り込まれても求められるような反応することも、する気にもなれずにいた。その代償がどんなに酷かろうと。
───まあ、最低な変態趣味の女達と、どんな目的があろうとも恩もない男を治療してくれてる女を一緒にするのは失礼だな。
自分の身体の反応への疑問はひとまずおいておいて、彼は女をなんとか宥めようと声をかけることにした。
───声は出そうな気がする。でも、何を言えば通じる?こういうときに使える言葉は何だ?
「私は治療していただけだったのよ?なのに、なのに!!こんな恥ずかし目を受けるなんてっ!!」
以前チラリと見た時には美しいかもしれないと思った女の顔は今、激高のあまり真っ赤に染まり、その目はつり上がっていた。
───えー、あ、そうだっ!慰めの言葉みたいなのがあった筈だ!確か…
「キニシナイ?」
「!!き、気にするに決まってるでしょーーーー!!!」
───ま、間違えたか?何か、何か他の言葉!!えーーーーーと!
「ヨカッタデス」
「良い訳あるカァアああああ!私伝えたわよね?へたしたら殺しちゃうかもって!私に殺されたくなければ、目覚めるべからずよ!って!!そう、そうよ!」
スルリ ←
「あんなところを見られたからには生かしておけないわっ!」
先程までの激昂振りが嘘のように、いつのまにか青い顔になっていた女は、腰元の剣を抜いて彼を見つめた。
第17話につづく
ありゃ?もしかして、彼ったらピーーンチ?
拍手やコメ欄に、感想コメントをいただくと魔人がやる気を出します。←単純
あの森を目指して 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15
拍手御礼「あの森を目指して 16」
───◯×&:%◯×△:%◯×&△◯×&:%◯×&~!!←脳内でも言葉にならない。
無慈悲な打撃を受けた瞬間、ほんの一瞬で患部から脊髄を走り脳に届いた「俺ピンチ!」な緊急速報は男を救うものではなく、地獄の激痛タイムを告げるためのゴングでしかなかった。
急 / 所と言われる場所に直接加えられたその攻撃は、彼にかなりのダメージを与えた。
それに、胎児のようにお腹を抱えて耐えるのは本能。
頭の中が真っ白になるのも、声も出ないのも、汗と涙が出てしまうのも彼が弱虫なせいではない。
それは神が与えた試練…ではなくとも、与えられたその性別にもれなくついてくるその場所がもつ弱点であり、そこへの接触が回避できなかったそのときには彼の身体が負うしかない痛み。←女性の身体も違う理由でダメージを受けるらしいですが。
その地獄から抜け出すまでの間彼に出来ることは、ただひたすら激痛に耐えることのみ。
───◯×&:%◯×△:%◯×&△!←まだ無理
出ている筈の脳内麻薬の活躍を実感できなくとも、それに文句を言う余裕はない。
幸いなことに、仰向けに寝転がった状態で衝撃を受けたことが彼に苦痛を与える時間を少しだけ短くしてくれていた。
「フファ、ハァ、ハァ!」
痛みに耐える間にどれほどの時が過ぎたのか…彼には永遠に感じられたその時はゆっくりと、だが確実に終わりを迎え様としていた。
完全ではないが耐えられる程度に引いた痛みが、内側に向いていた彼の意識を外に向くことを許す。
それとほぼ同じ頃。
男が横たわる台車のすぐ横の地面に崩れ落ち、羞恥に打ち震えていた女──キョーコ・モガミの意識も表に、いや、男に向いた。
───嫌ぁああああああ馬鹿ぁああああああああああん!ああああああああああああああ、もうもうもう!なんで!どうして!ああああああ!なんてこと、なんてこと!もう駄目よ!もう駄目なのよ!破廉恥過ぎるぅううう!ああああああ!!
地面に埋まれるものなら埋まりたいと、穴など掘れそうにない堅い石畳の上に這いつくばって嘆き悲しんでいたが、それも永遠には続かない。
やがてノロノロと顔をあげた彼女が目にしたのは、横たわったまま視線をこちらに向けて来た男の姿だった。
───!!!そうよ!元はと言えばっ!!
目があった瞬間、キョーコの中に激しい怒りが渦巻いた。
───そうよ。そうよ!何度声をかけても、ずーーっと寝てたくせにっ!!(怒)
「どうして?なんで?絶対に目を覚ましちゃ駄目って、覚ましたら呪うからって言ったでしょ!?どうして今なの?よりによって、アノ瞬間だったの!」
男は、顔を怒りで真っ赤に染め突然何かを捲し立てだした女の様子に驚いたが、何も応えられない。
早口で告げられる言葉の意味が彼には全く理解できなかったのだ。
だが彼に対して、もの凄く怒っていることだけはわかり、それには焦りを感じていた。
───っ!よくわからないけど、この女を怒らせたのか?マズイな。
故郷でも怒り狂う女に遭遇したことはあるが、それは大抵無視するだけで済んでいた。
そして、この1年間の酷い生活の間に彼が見た女の怒りはほぼ「自分の思い通りにならない」彼への不満であり、「自身のプライドを傷つけた」彼への憎しみであり、無視するのは厄介であったがどうしようもない災難だと、それは嫌々ながら受け入れていた。
だが、今は例え意味不明ではあっても、怒りを買ったままではいけないという意識がある。
───また、あんな扱いをされることになるのか…こうなるかもしれないとわかってた癖に、どうして俺は目を開けてしまったんだ。
不愉快で憂鬱な日々を思い出し、そのあとその報復も思い出してしまった彼はゲンナリした。
───それにあれ位のことに何故喜んだ?反応した?これまでなら嫌悪感のあまり相手が怒りだす位無反応でいられただろうが!
自分の国で女に不自由したことはなかったが、男友達が言うその“贅沢で羨ましい状況” に喜びを感じたことはなかった。
その場の雰囲気と気分、そして生理現象が合致しない限りその手の欲求に手を伸ばすことはなかったから、惨めに拘束されたあと、男妾の様な環境に何度放り込まれても求められるような反応することも、する気にもなれずにいた。その代償がどんなに酷かろうと。
───まあ、最低な変態趣味の女達と、どんな目的があろうとも恩もない男を治療してくれてる女を一緒にするのは失礼だな。
自分の身体の反応への疑問はひとまずおいておいて、彼は女をなんとか宥めようと声をかけることにした。
───声は出そうな気がする。でも、何を言えば通じる?こういうときに使える言葉は何だ?
「私は治療していただけだったのよ?なのに、なのに!!こんな恥ずかし目を受けるなんてっ!!」
以前チラリと見た時には美しいかもしれないと思った女の顔は今、激高のあまり真っ赤に染まり、その目はつり上がっていた。
───えー、あ、そうだっ!慰めの言葉みたいなのがあった筈だ!確か…
「キニシナイ?」
「!!き、気にするに決まってるでしょーーーー!!!」
───ま、間違えたか?何か、何か他の言葉!!えーーーーーと!
「ヨカッタデス」
「良い訳あるカァアああああ!私伝えたわよね?へたしたら殺しちゃうかもって!私に殺されたくなければ、目覚めるべからずよ!って!!そう、そうよ!」
スルリ ←
「あんなところを見られたからには生かしておけないわっ!」
先程までの激昂振りが嘘のように、いつのまにか青い顔になっていた女は、腰元の剣を抜いて彼を見つめた。
第17話につづく
ありゃ?もしかして、彼ったらピーーンチ?
拍手やコメ欄に、感想コメントをいただくと魔人がやる気を出します。←単純