拍手からの移動のパラレルファンタジーです。

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*18話はアメンバー様以外の方が読める特別枠公開バージョンもありますが、敢えてそちらには統一せず、アメンバー用をメインとさせていただきます。(拍手収納している分はウッカリ削除してしまうこともありそうなので。その事故の際のバックアップも兼ねています。)


拍手御礼「あの森を目指して 19」

故郷では秘かに有名であった最凶天然娘キョーコ・モガミ。

その天然振りが「あの娘、天然だよね~」と笑って済ませられるレベルなら、そもそも“最凶” だなんて呼ばれる筈がない。

“最凶” と呼ばれるからには訳があり、その攻略は簡単になどいかないものなのだ。



《頼む!もう勘弁してくれっ!》

奴隷の様な日々にも泣くことはなかった男は、その顔にうっすら涙を浮かべながら叫んでいた。

今更遅い様な気がしていたとしても、どうにも叫ばずにはいられなかったのである。

───どんな羞恥プレイよりも恥ずかしかった!! ←

現在彼は精神的にベコンベコン…に打ちのめされ、灰になりそうな状態であった。

思い出したくもないと思っていた最低最悪な男妾時代の記憶を探っても、肉体的にはともかく、精神的にここまでキツイと思ったことはなかったし、怒りや諦めの感情に支配されることは多くても、こんな情けない気持ちで涙を浮かべてしまうことなどなかったのだ。

だが、相手は“最凶”の文字を頭上で輝かせているツワモノ天然娘である。

彼の訴えと涙の意味を理解して行動出来る様な娘ではなかった。

《ほんと、頼むからっ!》

《カワイソウニ、マダイタイノネ!デモハレガヒイテヨカッタワネ。ア、チリョウハアトスコシデオワリマスカラマッテテクダサイネ。ニッコリ》

“どんな苦境にも決して崩さない営業スマイル” を貼付けた凄腕商人の顔は、本当にどんな時にも崩れなかった。

《コレハウミ?ナンカナマグサイニオイガスルケド、タイナイノドクノセイカシラネ?》

そして、どんなときと場合にも、“最凶” の名に恥じない行動をするのが、最凶天然娘たるもの。

件の問題器官の先端を撫でたり、そこを濡らしていたものの感触や臭いを確かめたりするのも、致し方がないこと。←だって最凶天然娘なんだもの!BY 故郷の知人達

折角元のサイズに戻ったソレをまたもや持ち上げたり撫でたりしちゃうのも、最早お約束。←だって最凶天然娘なんだもの!BY 故郷の知人達

男の目に浮かぶものがうっすらどころか、滂沱の涙となったところで、その本当の原因など理解はしないし、出来る筈もない。←だって最凶天然娘なんだもの!BY 故郷の知人達

《もうっ、触らないでくれっ!お願いだっ!》

《アララ、デモダメデスヨ。チャントテアテシナイト、クサッテオチタライヤデショウ?》

尤もなことも一応は含む、実に尤もらしくも的外れな慰めと説得を自信満々でしちゃうのも、もう…以下同文。

男の必死の抵抗をすべて華麗にスルーしたキョーコは、結局納得の行くまで傷を調べ、必要と思われる処置をした。

そのあとは、布で拭き取るだけでは気持ちが悪そうなヌメヌメとする排出物を洗い流すため、傷が濡れぬよう気をつけながらも下半身をお湯と水で洗い流したし、台車ごと濡れたそこでは着替えも出来ないからと男を背負って、小屋の中のベッドに移動させもした。

大男が限界までガリガリに痩せていたからこそ出来たことだが、それでも移動には時間がかかったし、その間裸で背負われていた男はもう涙も枯れ果て、精根尽きた状態でされるがままとなっていた。

ガウンの様な形状のものを着せられた上で、ベッドに寝かされた男は、キョーコの言葉に只々頷くだけの魂の抜けた人形であった。

《ツカレタデショウ?ワタシモチョットキガエタリスルカラ、スコシココデヤスンデイテクダサイネ。ショクジノヨウイガデキタラオコシマスカラ。ニッコリ》





“どんな苦境にも決して崩さない営業スマイル” を貼付けた凄腕商人の顔をしたまま、暖炉から鍋を降ろした上で着替えなどを持ち小屋を出た最凶天然娘キョーコ・モガミ。

その可愛らしい耳は羞恥で真っ赤に染まってはいたが、その胸は後悔どころか、誇らしさで一杯であった。

───ちゃんと傷のことだけを考えられたわ!!傷の様子だけを観察して、処置できた!!お師匠様達!キョーコ・モガミはやりました!同じ過ちを3度も繰り返すことなく、やりとげましたよーー!!

今日のこの試練を乗り越えた彼女にはもう怖いものなどなかった。

ガッツポーズで明日からの治療も頑張ろうと決意し、石鹸などが置きっぱなしになっている先程の井戸に身体を洗いに足取り軽く向かったのだった。


第20話につづく

大男さん、大丈夫かしら?

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