拍手からの移動のパラレルファンタジーです。

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拍手御礼「あの森を目指して 54」

「泣いてもしらねぇからなぁああ!」
「このあまぁ!!」
「おりゃーー!!」

───シマッタ!被害者アピールを忘れてたわ!!

四方八方から振り上げられた剣が自分に届く寸前。少し冷静になったキョーコは大事なことを忘れていたことに気付いてしまった。

───ああ、いるいる。

さっと周囲を見渡してみれば、遠巻きではあるが証人として十分な人数の住民がいるのが確認できる。

それに一人頷いたキョーコは、大きく息を吸い、必要最小限な台詞を叫んだ。

「あくまでも、正当防衛ですのでーー!」

そう叫び終えたことで一安心した彼女は、口元にそれはそれは冷たい微笑みを浮かべ、腰の剣を鞘ごと抜いたかと思えば、その身に振りかかった刃をたったのひと太刀で薙ぎ払った。

勿論自らを引き裂こうとする刃を一時退けただけで、ゴロツキに囲まれている状況は変わらない。

しかし、囲んでいる男の中で、キョーコの行動の邪魔になる位置にいた2人は長剣を弾き飛ばされた上に、急所である手首を強打され、直ぐには攻撃出来ない状態になっていた。

その攻撃の止んでいる場所を使い、6本の小さな剣を飛ばしたキョーコは、親友の名を呼びながら、まだ鞘を抜きさえもしていないが彼女にとっては命を守る大事な武器...なはずの長剣と短剣を宙へと放り投げた。

「モー子さん!!」

「ぐわっ!」
「ぎゃあ!」
「っっあっ!」

投じられた小さな剣はキョーコの狙い通り、親友とその連れを拘束していた3人の男の肘後部(上腕三頭筋)と太ももに突き刺さっている。

拘束の力を一気に弱めた男達の腕を振り払った奏江・琴南とその連れは、キョーコが投げ渡した長剣と短剣を受け取り、鞘から剣を抜いたと思えば男達の肩をそれで切り裂いた。

彼女達は剣士ではないが、動きの鈍くなった男に立ち向かえる程度の稽古なら十分に経験していた。…主に剣舞で、ではあるが。

地面に沈み戦闘続行不可能になった男達の側からは少し離れることは出来たが、まだ逃げ出すことは出来ない。そんな奏江達に、キョーコは再度声をかけた。

「モー子さん達は、そこで剣を構えたまま立ってて。すぐに片付けるから!ニッコリ」

「わかった」

こんなときでも、相手が親友ならば極上の微笑みを浮かべてしまうキョーコである。それを呆れたように見返しながらも、緊張した固い声で奏江は返事を返した。

「このっ!!!」
「くそっ!だけど、この女丸腰になったぞ!」
「へっ!馬鹿だな」
「泣いて詫びてももう許さねぇ!」

───もうっ、もっとここに集まってくれたほうが楽なのにぃ!ヾ(*`Д´*)ノ”彡☆

怒りに顔を歪ませながら迫ってくる男達の人数に不満を覚えながらも、まずは手近な者達から片付けようと、キョーコはその場でふわりと華麗に舞った。

「ぐっ!」
「ごっ!
「ぐげっ!」
「がふっ!」
「うぬっ!」

優雅に揺れる細い腕にはいつのまにか針の様なものが握られ、それは周囲を取り囲む男達の急所を確実に突いていた。

動きが一気に鈍くなった男達だが、この程度の「制裁」レベルではそのまま地面に沈むことを許されないらしい。

急所攻撃のダメージによりふらつく身体に、俊敏に振り上げられた細く長い足で、より激しい痛みを伴う蹴りをお見舞いされた上で、仕上げとばかりに顔面の急所を打たれて意識を失っていく男達。

「このやろっぎゃあ!!」
「うわぁああ!」
「どわっ!」
「いてぇええ!」

幼い子供の飛び石遊びの様に、その男達を踏みながら移動したキョーコの動きは相変わらず踊っているかの様に軽やかだったが、彼女が側を通りすぎたあと、立っていられる男はいなかった。

剣を構えていても、いなくとも、彼女には関係ない。

その華奢な腕や指、細く長い足が彼女の最も優れた武器だった。


第55話に続く。

キョコさん大忙しぃ!キョコさんの正義の制裁スタートです!
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「あの森を目指して」では、まずダーーッと勢いで書いたものを拍手御礼として出し、一晩おいて頭を冷やしたあと(?)、加筆と修正をした上でアメバ記事で公開し直しています。加筆時に設定が変更になることも多々あります。拍手のみを読んでくださっている方は内容が繋がらない場合があるかもです。もしお時間が許す様でしたら、外に移動後もまた読んでいただけると嬉しいです。m(_ _ )m ←またというところが欲張りですみません。