拍手からの移動のパラレルファンタジーです。
あの森を目指して 1 / 2 / 3 / 4 / 5 / 6 / 7 / 8 / 9 / 11 / 12 / 13 / 14 / 15 / 16 / 17 / 18(アメンバー限定)or18(アメンバー限定を読めない方はこちら) / 19 / 20 / 21 / 22 / 23 / 24 / 25 / 26 / 27 / 28 / 29 / 30 / 31 / 32 / 33 / 34 / 35 / 36 / 37 / 38 / 39 / 40 / 41 / 42 / 43 / 44 / 45 / 46 / 47 / 48 / 49 / 50 / 51 / 52 / 53 / 54
拍手御礼「あの森を目指して 55」
「くそっ!女1人になんでこんなっ!丸腰になったんじゃねーのかよ?」
「さっき投げてた小っせぇナイフを使ってやがるんじゃないのか?けっ!あんな玩具みたいなナイフ、この俺様の剣でかっ飛ばしてやらぁ!」
「あいつら弱ぇ~なぁ。俺等の出番かねぇ」
「おいおい、姉ちゃん、そろそろ疲れてきただろ?俺たちが可愛がってやるから、こっちに来な!」
次々と地面に沈められていく男達。
しかしそうやって仲間の半数が戦闘不能にされたあとも、残った男達の戦意はまだ失われてはいなかった。
ゴロツキと言われるこの男達は徒党を組んでいながらも、信頼し合う仲間同士という訳ではない。
彼等は常に周囲にいる男と強さを競い合い、どちらが優位な立ち場かを明確にしていくことで、その集団での自分の価値を周囲に知らしめ、居場所を確保しているのだ。
女に負けたのは負けた奴が弱いからで、自分は違う!と、まだキョーコと直接対峙していない者は皆一様にそう思っていた。
「ん~、正確には丸腰とはいえないかしら?でも、お望みなら丸腰でお相手してあげてもいいわよ?あなた方に剣を手放す度胸があるならだけどね?」
ぎゃあぎゃあと五月蝿く吠える男達に呆れ、動きを止めたキョーコだったが、そんな彼女は疲れるどころか息さえ乱していない。
「さあどうぞ?遠慮なく素手でかかってきて?にっこり」
こんな場面では死守すべきに見える剣を手放すことに躊躇しなかったのは、それを必要としないからである。
キョーコが幼い頃から学び、身につけた数多くの“技術”の中にあったそれは、攻撃を目的にはしていないが相手の攻撃を確実に止めることには躊躇しない、最強の護身術だと言われていた。
学びだしてからの日が浅い “攻撃を主とする剣術” の方はまだ極めるには至っていないが、護身術の方は既にそのジャンルでトップを走る彼女の師匠も認めたレベルに到達していた。
オールマイティの天才だと故郷で秘かに称されていた彼女が薬学と共に最も得意としたそれは、人体の急所を細い道具や身体の部分を使って的確に攻めることで、相手の動きを封じるものである。
最強の護身術というからには、じっとしている訳ではない相手からの攻撃から身を守る為の技がある筈であるが、何故かそこには決まりきった型がない。
攻撃を正面から受ける者、上手く受け流す者、はたまたすべてを避けきる者など、護身の為に相手の急所を狙う前に受ける攻撃への対処はひとそれぞれであるのだ。
賊の大半が男であることを考えれば、女性が正面から力比べを挑むのは余程の体格でないと無理である。だから、キョーコは攻撃を避ける能力と受け流す技術を中心にして技を磨いてきた。
避けながら、流しながら、チャンスを待つのではなく、避けて流す間に相手の急所を狙うことで短時間で決着をつけていくため、体力の消耗も最小限で済む。
───街道で夜盗軍団に襲われることを思えば、相手が全部目に見える場所にいるって楽よねぇ。
守るべき者がいるのは同じでも、視界がきかぬ夜、どこに何人潜んでいるかもわからない街道上でこんな争いになれば、キョーコも無事では済まない。
背後から弓を引かれたり、ナイフを飛ばされたりしても、全部弾き飛ばせる能力など、人間にはないのだ。
そういう場面からすれば、わかりやすい殺気を放つ目の前のゴロツキ共は、キョーコにとって敵ではなかった。
───これが馬車を囲まれたのだったら、話は別だけど。ま、今回は囲まれてもタカトウ(貴島)さんがいるし、平気でしょうけど…1人で馬車の前と後ろを守るのは無理だものねぇ。うーん。荷物は運べないし、ベッド代わりにはならないけど、早く馬だけでの移動に変えたほうがいいかもしれないわねぇ。
「ぐはっ!」
「ん?あと10人、もう!来るならさっさと来なさいよ!」
今後の旅について思いを馳せながらも、キョーコは更に二人の男を倒し、残りの人数を確認した。
「くそっ!」
「同時にかかればいい!」
「よし、のったぁ!遅れるなよ!」
せーの!という間抜けな声かけのあと、3人の男達がキョーコの身体を串刺しにすべく、突進してくる。
「うりゃあああああ」「うりゃあああああ」「うりゃあああああ」
───耳障りな声だこと。
シュルリ。
シュッ!!
キョーコは身体をその場に沈めたかと思えば、素早くその姿勢で向かってくる男達の間をすり抜けた。
その際、秘かにムチの様に振るったのは、服に潜ませていた少し長めの針剣である。
「ぎゃああああ!!」「ぎゃああああ!!」「ぎゃああああ!!」
またもや3人仲良く同時に叫んだ男達は、これまた仲良く深く切り裂かれた足首を押さえて地面の上をのたうちまわっている。
「あと7にーん!」
「くそっ!」
形勢不利を漸く悟ったのか、2人の男が奏江達の方に向かい、残った5人のうち4人ががキョーコとの距離を詰めつつ、脅しをかけてくる。
───ふーん。あれがリーダーか。最後の獲物はあれね。あんまり強そうに見えないけど。
1人だけ少し距離をおいている男にさっと目を走らせたあと、キョーコは目の前に迫ってきている者達の顔を見回した。
───見事な悪人面ですこと。
「あっちの姉ちゃんたちは、あんまり強くなさそうだよなぁ。アンタがその服を脱いで、隠してる武器ごと差し出せば、手荒なことはせずにいてやってもいいぞ?あんたじゃなく、あの姉ちゃんにだけれどな」
舌なめずりしながらそう言った男に、周囲の男達も下卑た薄ら笑いを浮かべながら同意する。
「そうそう。アンタはただじゃすまさねぇよ」
「あっちの姉ちゃん達が服脱いで、アンタの命乞いをしたとしてもなっ」
───中身もザ・下種ね!!モー子さんのを見物しようなんて、アンタ達には100万年経っても早いっつーの!嗚呼、もう!シマッタわー!正当防衛の証人として見物人にいてもらったほうがいいと思ったけど、こんなことなら人目のないとこに連れて行けばよかった!! ←こっそり全滅させる気満々
少々痛めつけて気絶なんて、甘かった!全員◯っちゃうべきだった!!
と、心底後悔したキョーコは、無言のまま服に潜ませていた投剣を男達の身体に向かって大盤振る舞いで放出し、同時に針剣のムチを遠慮なく振るいつつ、足の蹴りをも炸裂させた。
───即死で、死ななきゃいいのよ!死にそうでも!!うん!
これまでもしていた手加減を、少しばかし(?)緩めることにしたキョーコである。
「ぎゃぁああ、◯ぬぅうう!」
「いでぇえええ!!」
奏江達に向かった男達は、遠慮のかけらもなく投じられた剣により複数の急所を攻撃され、泣き叫んでいた。
手首足首を切り裂かれた上に、延髄切りと喉への付きをお見舞いされ、すでに意識がなかったキョーコの周囲を囲いつつあった男達を踏んづけながら、彼女はまだ泣き叫んでいる男達の側に近づくと、その場で高く飛び上がった。
「ぐあっ」「ぐはっ」
頭部に回し蹴りを食らった2人の男は、あっという間に静かになった。
「あと1人ぃ!」
周囲を見回したキョーコの目に、ラスボスを気取るリーダーらしき男の姿が目に入った。
「ひっ!くっ、くそっ!◯ねぇ~~!!」
ビビりながらも逃げられない立ち場の男は、やけっぱちなことが大わかりな台詞を吐きながら、キョーコに向かって大剣を振りかざした。
───◯ねぇとか言いながら、大通りに向かって後退していかないでよね!
そのとき、キョーコの耳にその声が聞こえた。
「松の凄玉、スゲーーー!!」
ピクン!
ここまで大暴れしつつも、“冷静” に怒っていたキョーコはその一言で完璧にキレた。
「その名前を呼ぶんじゃないわよぉおおおおお!とりゃあーー!」
大剣を構える男に向かって勢い良く走り込んだキョーコは、宙を跳ねてその身体を禁句を叫んだ男に向かって蹴り飛ばした。
「うがっ!」
「うわぁああああ!!」
飛んで来た大柄な男をその身体で受け止めたコウラこと本名村雨は、勢いで吹き飛ばされた先の地面に寝転がりながら、わめいた。
「いてぇえええ!」
ちなみに、ただの勢いで蹴り飛ばしたかの様にみえ、実際は顎という急所と胸を正確に狙った強烈な蹴りを受けたラスボス男はすでに気絶している。←顎鼻肋骨の骨折もしてます
「ふん!!そこの男!貴方、金匠の関係者でしょ?自警団に連絡して、こいつら回収してもらって!」
「松の凄玉、酷ぇっ~!」
シュッシュッ!
「ぎゃーーー!!!松の凄玉凶暴ぉおお!」
べしん!!
「いてぇええ!!!」
キョーコの狙い通り、投剣はコウラに怪我をさせることなく、その顔の横と股の間に突き刺さったのだが、そのあと彼女が拾って投げた履物は、見事に彼の顔面に命中したのだった。
第56話に続く。
キョコさんが気に入らぬ通り名を叫んだコウラ、撃沈!
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「あの森を目指して」では、まずダーーッと勢いで書いたものを拍手御礼として出し、一晩おいて頭を冷やしたあと(?)、加筆と修正をした上でアメバ記事で公開し直しています。加筆時に設定が変更になることも多々あります。拍手のみを読んでくださっている方は内容が繋がらない場合があるかもです。もしお時間が許す様でしたら、外に移動後もまた読んでいただけると嬉しいです。m(_ _ )m ←またというところが欲張りですみません。
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「くそっ!女1人になんでこんなっ!丸腰になったんじゃねーのかよ?」
「さっき投げてた小っせぇナイフを使ってやがるんじゃないのか?けっ!あんな玩具みたいなナイフ、この俺様の剣でかっ飛ばしてやらぁ!」
「あいつら弱ぇ~なぁ。俺等の出番かねぇ」
「おいおい、姉ちゃん、そろそろ疲れてきただろ?俺たちが可愛がってやるから、こっちに来な!」
次々と地面に沈められていく男達。
しかしそうやって仲間の半数が戦闘不能にされたあとも、残った男達の戦意はまだ失われてはいなかった。
ゴロツキと言われるこの男達は徒党を組んでいながらも、信頼し合う仲間同士という訳ではない。
彼等は常に周囲にいる男と強さを競い合い、どちらが優位な立ち場かを明確にしていくことで、その集団での自分の価値を周囲に知らしめ、居場所を確保しているのだ。
女に負けたのは負けた奴が弱いからで、自分は違う!と、まだキョーコと直接対峙していない者は皆一様にそう思っていた。
「ん~、正確には丸腰とはいえないかしら?でも、お望みなら丸腰でお相手してあげてもいいわよ?あなた方に剣を手放す度胸があるならだけどね?」
ぎゃあぎゃあと五月蝿く吠える男達に呆れ、動きを止めたキョーコだったが、そんな彼女は疲れるどころか息さえ乱していない。
「さあどうぞ?遠慮なく素手でかかってきて?にっこり」
こんな場面では死守すべきに見える剣を手放すことに躊躇しなかったのは、それを必要としないからである。
キョーコが幼い頃から学び、身につけた数多くの“技術”の中にあったそれは、攻撃を目的にはしていないが相手の攻撃を確実に止めることには躊躇しない、最強の護身術だと言われていた。
学びだしてからの日が浅い “攻撃を主とする剣術” の方はまだ極めるには至っていないが、護身術の方は既にそのジャンルでトップを走る彼女の師匠も認めたレベルに到達していた。
オールマイティの天才だと故郷で秘かに称されていた彼女が薬学と共に最も得意としたそれは、人体の急所を細い道具や身体の部分を使って的確に攻めることで、相手の動きを封じるものである。
最強の護身術というからには、じっとしている訳ではない相手からの攻撃から身を守る為の技がある筈であるが、何故かそこには決まりきった型がない。
攻撃を正面から受ける者、上手く受け流す者、はたまたすべてを避けきる者など、護身の為に相手の急所を狙う前に受ける攻撃への対処はひとそれぞれであるのだ。
賊の大半が男であることを考えれば、女性が正面から力比べを挑むのは余程の体格でないと無理である。だから、キョーコは攻撃を避ける能力と受け流す技術を中心にして技を磨いてきた。
避けながら、流しながら、チャンスを待つのではなく、避けて流す間に相手の急所を狙うことで短時間で決着をつけていくため、体力の消耗も最小限で済む。
───街道で夜盗軍団に襲われることを思えば、相手が全部目に見える場所にいるって楽よねぇ。
守るべき者がいるのは同じでも、視界がきかぬ夜、どこに何人潜んでいるかもわからない街道上でこんな争いになれば、キョーコも無事では済まない。
背後から弓を引かれたり、ナイフを飛ばされたりしても、全部弾き飛ばせる能力など、人間にはないのだ。
そういう場面からすれば、わかりやすい殺気を放つ目の前のゴロツキ共は、キョーコにとって敵ではなかった。
───これが馬車を囲まれたのだったら、話は別だけど。ま、今回は囲まれてもタカトウ(貴島)さんがいるし、平気でしょうけど…1人で馬車の前と後ろを守るのは無理だものねぇ。うーん。荷物は運べないし、ベッド代わりにはならないけど、早く馬だけでの移動に変えたほうがいいかもしれないわねぇ。
「ぐはっ!」
「ん?あと10人、もう!来るならさっさと来なさいよ!」
今後の旅について思いを馳せながらも、キョーコは更に二人の男を倒し、残りの人数を確認した。
「くそっ!」
「同時にかかればいい!」
「よし、のったぁ!遅れるなよ!」
せーの!という間抜けな声かけのあと、3人の男達がキョーコの身体を串刺しにすべく、突進してくる。
「うりゃあああああ」「うりゃあああああ」「うりゃあああああ」
───耳障りな声だこと。
シュルリ。
シュッ!!
キョーコは身体をその場に沈めたかと思えば、素早くその姿勢で向かってくる男達の間をすり抜けた。
その際、秘かにムチの様に振るったのは、服に潜ませていた少し長めの針剣である。
「ぎゃああああ!!」「ぎゃああああ!!」「ぎゃああああ!!」
またもや3人仲良く同時に叫んだ男達は、これまた仲良く深く切り裂かれた足首を押さえて地面の上をのたうちまわっている。
「あと7にーん!」
「くそっ!」
形勢不利を漸く悟ったのか、2人の男が奏江達の方に向かい、残った5人のうち4人ががキョーコとの距離を詰めつつ、脅しをかけてくる。
───ふーん。あれがリーダーか。最後の獲物はあれね。あんまり強そうに見えないけど。
1人だけ少し距離をおいている男にさっと目を走らせたあと、キョーコは目の前に迫ってきている者達の顔を見回した。
───見事な悪人面ですこと。
「あっちの姉ちゃんたちは、あんまり強くなさそうだよなぁ。アンタがその服を脱いで、隠してる武器ごと差し出せば、手荒なことはせずにいてやってもいいぞ?あんたじゃなく、あの姉ちゃんにだけれどな」
舌なめずりしながらそう言った男に、周囲の男達も下卑た薄ら笑いを浮かべながら同意する。
「そうそう。アンタはただじゃすまさねぇよ」
「あっちの姉ちゃん達が服脱いで、アンタの命乞いをしたとしてもなっ」
───中身もザ・下種ね!!モー子さんのを見物しようなんて、アンタ達には100万年経っても早いっつーの!嗚呼、もう!シマッタわー!正当防衛の証人として見物人にいてもらったほうがいいと思ったけど、こんなことなら人目のないとこに連れて行けばよかった!! ←こっそり全滅させる気満々
少々痛めつけて気絶なんて、甘かった!全員◯っちゃうべきだった!!
と、心底後悔したキョーコは、無言のまま服に潜ませていた投剣を男達の身体に向かって大盤振る舞いで放出し、同時に針剣のムチを遠慮なく振るいつつ、足の蹴りをも炸裂させた。
───即死で、死ななきゃいいのよ!死にそうでも!!うん!
これまでもしていた手加減を、少しばかし(?)緩めることにしたキョーコである。
「ぎゃぁああ、◯ぬぅうう!」
「いでぇえええ!!」
奏江達に向かった男達は、遠慮のかけらもなく投じられた剣により複数の急所を攻撃され、泣き叫んでいた。
手首足首を切り裂かれた上に、延髄切りと喉への付きをお見舞いされ、すでに意識がなかったキョーコの周囲を囲いつつあった男達を踏んづけながら、彼女はまだ泣き叫んでいる男達の側に近づくと、その場で高く飛び上がった。
「ぐあっ」「ぐはっ」
頭部に回し蹴りを食らった2人の男は、あっという間に静かになった。
「あと1人ぃ!」
周囲を見回したキョーコの目に、ラスボスを気取るリーダーらしき男の姿が目に入った。
「ひっ!くっ、くそっ!◯ねぇ~~!!」
ビビりながらも逃げられない立ち場の男は、やけっぱちなことが大わかりな台詞を吐きながら、キョーコに向かって大剣を振りかざした。
───◯ねぇとか言いながら、大通りに向かって後退していかないでよね!
そのとき、キョーコの耳にその声が聞こえた。
「松の凄玉、スゲーーー!!」
ピクン!
ここまで大暴れしつつも、“冷静” に怒っていたキョーコはその一言で完璧にキレた。
「その名前を呼ぶんじゃないわよぉおおおおお!とりゃあーー!」
大剣を構える男に向かって勢い良く走り込んだキョーコは、宙を跳ねてその身体を禁句を叫んだ男に向かって蹴り飛ばした。
「うがっ!」
「うわぁああああ!!」
飛んで来た大柄な男をその身体で受け止めたコウラこと本名村雨は、勢いで吹き飛ばされた先の地面に寝転がりながら、わめいた。
「いてぇえええ!」
ちなみに、ただの勢いで蹴り飛ばしたかの様にみえ、実際は顎という急所と胸を正確に狙った強烈な蹴りを受けたラスボス男はすでに気絶している。←顎鼻肋骨の骨折もしてます
「ふん!!そこの男!貴方、金匠の関係者でしょ?自警団に連絡して、こいつら回収してもらって!」
「松の凄玉、酷ぇっ~!」
シュッシュッ!
「ぎゃーーー!!!松の凄玉凶暴ぉおお!」
べしん!!
「いてぇええ!!!」
キョーコの狙い通り、投剣はコウラに怪我をさせることなく、その顔の横と股の間に突き刺さったのだが、そのあと彼女が拾って投げた履物は、見事に彼の顔面に命中したのだった。
第56話に続く。
キョコさんが気に入らぬ通り名を叫んだコウラ、撃沈!
拍手はこちら ू (ѳॅ ॄ ѳॆ ू )げへへ
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拍手やコメ欄に、感想コメントをいただくと魔人がやる気を出します。←単純
「あの森を目指して」では、まずダーーッと勢いで書いたものを拍手御礼として出し、一晩おいて頭を冷やしたあと(?)、加筆と修正をした上でアメバ記事で公開し直しています。加筆時に設定が変更になることも多々あります。拍手のみを読んでくださっている方は内容が繋がらない場合があるかもです。もしお時間が許す様でしたら、外に移動後もまた読んでいただけると嬉しいです。m(_ _ )m ←またというところが欲張りですみません。