こちらは、GREEN23さんによるキリ番リクエスト作です。
『蓮さま浮気疑惑第3弾』をずっと熱望しておりまして。ただ、こちらのシリーズは拍手内SSが定位置ですので、出来たら、出来たら・・第2弾の続き『蓮、看護スタッフとの夜。その時キョーコは!!~記憶が戻るまで』熱烈叶事密希望です。by GREEN23さん
てなことで、第二弾「謎の女は怒っています!」の続きをいつものようにノープラン自動書記でカキカキしま〜す。何にも考えていませんので、どこへ向かうのか不明です。(‘▽’)ノ♪ そして、魔人は基本下書きなしの直打ち。打ち終わったら即アップ。←出来立てホヤホヤは誤字も多いしとっても危険!間違いは後でこっそり直します。
拍手内小話な蓮さん浮気シリーズ
第一弾:『彼女は怒ってます』・1話完結
第二弾:『謎の女は怒っています!』↓↓続きます。↓
『謎の女に聞かれていました』
「…ミスター?」
ノックなしで静かにドアを開けた看護師は、その豊満な身体を室内に滑り込ませた後、またそっとドアを閉めた。
「…ミスター、起きてます?」
「ああ…」
入院初日に嫌ほど眠った蓮は、2日目となった今日は夜中1時になっても眠れず、ベットに横たわったまま、ぼぉっと天井を眺めていた。
「ウフッ。希望はされてなかったけど、ちょっと心配だったから…」
「う…ん?」
「夜間の見回りに来ちゃいました」
腰を曲げた看護師は、昼間より解放的に開けた胸元を見せつけるようにして、未だベッドに横たわったままの蓮に話しかけた。
アメリカでの撮影の仕事中に、アクシデントで頭を強打し、記憶を失った敦賀蓮は、現在特別なホテルに滞在していた。
病院ではないが、看護師やスタッフが24時間体制でサポートしてくれるそのホテルは、希望すれば看護師が夜間の見回りもしてくれる。
夜中に発作が起こるような「病気」ではない蓮は、そんなお願いはしていない。だが、サービスとして様子を見に来てくれたのだろうと納得した。
「それは…有難う」
「うふふ、フロントにはナイショですよ、と、く、べ、つ、なんですから」
「?」
「ちょっとベッドを起こしますね?」
「あ、ああ…」
リクライニング機能が内臓されたベッドは、ボタン一つでその形を変える。
あっという間に蓮の身体は、ソファーに持たれているかの様な態勢になった。
「この方が、色々するのに、楽でしょう?」
「ん…ああ?」
当然の様にベッドに腰掛けた看護師は、彼のパジャマの襟元に手を伸ばし、患者に対するものとは思えない、妖しい手つきで蓮の胸元を撫でた。
「ん〜〜特に汗はかいてないみたいですね?」
「あぁ…」
「眠れないんでしょ?キモチ良くなるマッサージ…してあげる」
急に馴れ馴れしい口調になった看護師の手は、蓮のパジャマの前ボタンをひとつふたつと外していく。
ついでに、自分の制服の胸元のボタンも部屋に入る前より更に2つ開け、下着が全て見える状態にした看護師は、色っぽい顔で蓮を誘う。
「手のマッサージは、私のここで出来るのよ?」
蓮の右手は、争うことなく、看護師の導きでその柔らかな胸元に着地した。
「あんw」
蓮の手はまだ動いてないが、看護師の漏らす声は、実に悩ましい。
お返しとばかりに蓮の肌に手を伸ばした彼女は、鍛えあげられた筋肉を感じられる滑らかな肌を撫でおろしながら、キスを強請るかのような表情で…
ドンドンドン!!バ〜〜〜ン!
「え?」「?」
ノックにしては嫌に大きな音の後、蓮の部屋のもう一つのドアが豪快に開いた。
「蓮く〜〜〜ん?起きてるぅ?」
付き添いの為の泊まり込み部屋は、蓮の部屋の中にあった。
ベッドの足もとの方向にあるその続き部屋のドアを開け、蓮の前にやって来たマネージャー社は、恐ろしく良い笑顔で看護師と蓮に話しかけた。
まずは、看護師に向かって…
「夜間の不法侵入はお断りした筈だけど?」
「いえ、わ、私はただ見回りをっ!」
「へぇ。ここのホテルの看護師は、宿泊患者に胸を見せて揉ませるのが、夜の見回りの仕事なんだ?…患者のパジャマも脱がして?契約した内容と違うようだから、明日、支配人に確認しないといけないな」
「ヒィ!わ、私は何もしていません、ちょっと心配になっただけで!!あの、その、仕事があるので、失礼します!」
社の笑顔が余程怖かったのか、胸元全開のまま部屋の外に出た看護師は、その日のうちに仕事をクビになったという。
「…………」
看護師は逃げ出したが、蓮は逃げることができない。逃げたいとは思わないが、「今、お前に失望しました」と言わんばかりの社に無言で見つめられるのは、非常に居心地が悪かった。
「…………蓮。記憶がないとはいえ、お前はそこらの女と簡単に関係を持っていい人間じゃないんだぞ」
しばしの無言の後、静かに告げられた言葉に特別な怒りは感じられない。しかし、記憶がない状態な癖に、女とイチャつく呆れた男だと思われているのは確かなので、返事に困る。
「…俺は、別に…」
「まあ、いいさ。今後は気をつけてくれ。眠れないなら、そこにある台本でも読めば良い。記憶が戻らなくても、2週間後には撮影が始まるんだから…」
「ああ…わかった…」
「それじゃあ、まだ打ち合わせがあるから、俺はあっちの部屋に戻る。俺達に用事があるときは、遠慮なくそこの呼び出しボタンを押してくれて良いから。まあ、見守りカメラのモニターがあるから、異変があれば気づくけどな」
「はい、どうも…」
「それじゃ、まだ寝ないだろうけど、おやすみ…」
登場の時とは違い、パタンと静かに閉じたドアの向こうに、社は消えた。
その後ろ姿を見送った蓮は、ため息をついた後、台本を手にとった。
翌朝から蓮は、ずっとイライラしていた。
何故イライラするのかは、わからない。
昨夜社に良いところを邪魔されたせいなのかとも考えたが、自分が特別その行為を望んでいた訳でもなく、あの後も欲求不満になることなく、静かに過ごした。
何が気に触るのかわからないが、イライラが収まらない。
いる必要はないと告げたのに、未だ日本に帰らずこのホテル内をウロウロしているらしい最上キョーコのせいだろうか?
この部屋をたまに覗き、挨拶してくるフロントの人間や、出入りする清掃担当者や男性看護師が、やたらと少女の様なあの女の話題を振ってくるせいなのだろうか?
「彼女、ステディはいるんでしょうかね?知的な感じなのに、高飛車じゃなくて、いいですよねぇ。こっちのセクシークィーンみたいに豊満という感じじゃないけど、小さくて華奢なりに均整が取れてて。握手した時、ティーンの様にキメが細かくて瑞々しい肌で、びっくりしましたよ。美しい真珠色の肌ってああいうのを言うでしょう?」
「なんか、あっちの部屋が綺麗でさ…仕事しなくてラッキーって感じなんだけど、なんか掃除しちゃうんだよな。今日は床をピカピカにしたんだ。そしたら、彼女が流石プロですねって!滑らないのに、凄く美しいって!褒めてくれたんだ。自分は昔ワックスした床をツルツルに磨いて、怒られたんだって〜!偉い人を転ばしちゃったんなんて、すげーマズイミスだけど、恥ずかしそうに言う様子がまた可愛くって!」
「キョーコの足、細っそいですよね。ちょっと骨格の勉強の為に掴ませてほしいって頼んだら、条件反射で蹴っ飛ばしちゃうかもしれないから、危ないですよ?だって!ニヤッと笑う顔がセクシーで、クラクラしちゃいましたよ。東洋人は子供に見えるって言いますけど、見た目は幼くても、やっぱり大人ですね〜。それに優しいし…今日俺朝飯食う暇なくてお腹鳴らしてたんですけど、自分の朝ごはんを買いに行くついでだったからって、サンドウィッチをくれたんですよ〜」
蓮のイライラは夜になっても治らない。
蓮は考える。この国にある、蓮の所属するAGENCYの支社長と、担当マネージャーである社の蓮への態度が、突然冷たくなったせいだろうか?
だから、不安のあまり、イライラするとか?
蓮には冷たいが、部屋の外で最上キョーコに話しかけるその声はとても優しい。甘ったるい程に優しい。
年齢はわからないが、彼女は非常に若いと思われる。仕事のできる秘書という雰囲気ではあるが、重要な仕事がないから海外に呼びつけられる訳で、年齢的なことを考えれば、まだまだ雑用係クラスの人間なのだろうと思う。
AGENCYの支社長からすれば、最下層の社員の筈だ。
それなのに。
パーティに同伴?
「キョーコ、女神の様に美しいよ」
「それは、コウキさんが用意してくださったこのドレスが素敵だからっ///」
「そのドレス凄く似合っているよ!それに色っぽい!キョーコちゃんの為にデザインしたかの様だよ!」
「もう、社さんまで、そんな見え透いたお世辞を!逆に恥ずかしいですぅ」
「ははは。後で、ちょっとした撮影もあるから、向こうでも着替えてもらうよ」
「はい、頑張ります!」
「俺もついていきたいところですが、まあ蓮を一人にしておく訳にも行きませんし…社長、キョーコちゃんをお願いします」
「そうだね、“京子” の為に働いてほしいけど、まあそれは次の機会に頼むよ。今回は特別だしね。折角来てくれたんだし、思いがけず時間もできたし?時間は無駄にしないで使わないとね」
「そうですね、よろしくお願いします。キョーコちゃん、こっちのお偉いさんをしっかり誑して来てね〜」
「む〜り〜〜で〜〜す!」
何故彼女が着飾る?
女神?彼女が?
色っぽい?彼女が?
こっちの人間からすれば、子供みたいなもんだろう?
何故パーティに行く必要がある?
何故AGENCYの支社長がエスコートするんだ!?
社長が部下をファーストネームで呼ぶのはこちらでは普通だが、彼女は彼をボスと呼ぶべきなんじゃないか?
意味不明で納得できない。謎だらけだから、イライラするのだろうか?
「コウキさん、おはようございます!」
「おはよう。キョーコ、君にプレゼントが届いたよ!」
「え?」
「ほら、パーティで会ったカールと、フレディから…実は他にもビルやクリスからのドレスやバッグがあったんだけどね。君なら、こっちの方が喜ぶと思って…」
「え〜、うそ!すごいです!」
「キョーコちゃん、凄いじゃないか!」
「このホテルの10階に良い店があるから、ランチしながら打ち合わせしよう」
キョーコが凄いって何だ?
所属俳優の俺を放置して、何の打ち合わせをする必要が?
何故彼女は、日本に帰らない?
何故彼女を、みんなでチヤホヤする?
何故彼女は、ここに滞在している癖に、あれから一度も姿を見せない?
付き添い人用の部屋は蓮の部屋の続き間となっているが、あちらにもちゃんと廊下に面したドアはある。
キョーコは、「蓮に拒否」されている。
そんな彼女が、宿泊している部屋への出入りの際、廊下側ドアのみを利用するのは、ある意味当然であった。
日本帰国前日の夜。美しく着飾った最上キョーコが、こちらの売れっ子俳優に送られ、ホテルに帰って来た。
何故か部屋から出ることを禁止されていた蓮が、漸く部屋の外に出ることを許されたその日。←キョーコと会わせてこれ以上関係が拗れると言うか、キョーコを一方的に傷つけないための配慮で、お部屋で謹慎?
彼は、自分の記憶を取り戻した。
だけど、即座にキョーコの恋人の座を取り戻すには、至らなかった。
「君だけを愛してるんだ!」
「そんなの気のせいですよ。何かあったら簡単に忘れるぐらいの。私は、記憶喪失中の貴方の私への仕打ちと、リアルタイムで見ていたあのモニター映像を絶対に忘れませんけど…」
ちっとも “いらない” 記憶をなくしてくれない彼の恋人は、今日も冷たい。
Fin