こちらは、りーちゃん&セーちゃんによる【反撃の乙女と狼狽える破壊神企画】です。

コラボ連載作『純情乙女の危険なあしらい』は、元旦からスタートしています。

もう少しだけ続きますので、お楽しみ頂けたら嬉しいです♪

 

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スタート話はこちらです。

→『破破壊神がやって来た』(一葉梨紗作)

1 /  /  /  /  /  /  / 9・完結

 

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反撃の乙女と狼狽える破壊神企画

『純情乙女の危険なあしらい 13』

 

「 そうなんですよ!古賀さんも酷いと思うでしょう?!! 」

 

「 まあ、ね。う〜ん。なら……誘き出す場所は、そうだな。思いっきり見下してやりたいなら、階段の上なんてどうだい? 」

 

「 階段ですか?なるほど!!確かに階段を使えば、私でも上から見下ろしちゃえますね! 」

 

「 だろう?ああ、そうだ。今君、色っぽいミニスカートに着替えているんだよね?良いね〜。それなら、もしかしたら敦賀くん、鼻の下伸ばして、キョーコちゃんのスカートの中身、覗き込むかもしれないよ? 」

 

「 鼻の下?え〜〜と?わ、私の下着を見せるってことですか? 」

「 うん、そう。まあ、スカートの中を覗かれたくないなら、美緒みたいに女王な風格で階段降りてきてさ、ふふふ……なんて意味深に笑いながら敦賀くんの肩に両手を乗せて見たら良いよ!そしたら色っぽい京子ちゃんに我慢できなくなって、敦賀くん、京子ちゃんを抱きしめちゃうじゃあないかな? 」

 

「 まっさか!敦賀さんが私を抱きしめるのは捕まえたいからであって、色っぽくて我慢できないとかそういう理由じゃないと思います! 」

「 え~。でも京子ちゃんを抱きしめたら敦賀くん、絶対アソコがまたカタくなると思うけど~? 」

「 えっ!?それって敦賀さんが、また性懲りもなく私を利用して、身体の前面を鍛えるだろうってことですか? 」

「 いやいや。その正確なところは本人に聞いて欲しいんだけどねっ。でもカタくなってそうだったらこう聞いてみたらいいんじゃないかな?『今日も私で鍛えようって言うんですか?だからここ、こんなにカタくなって……?』って。そしたら敦賀くん、また脱力しちゃうと思うよー。プっ!プクククク!! 」


「 え〜〜?で!?そのあと私は、なんて言えば、敦賀さんに衝撃を与えられるんでしょうか! 」

「 ん?まあ、そうだな。耳元で、囁く感じで、変態……とでもいえば?」

「 それでいいんですね?!分かりました、センセイの言葉を信じます!! 」

 

 

 緊急事態だからと電話をかけてみれば、キョーコのセンセイである古賀は、ご機嫌に応じ、対策を一緒に練ってくれた。実に頼りになるセンセイである。

 

 

「 よし!作戦は完璧!!今日という今日はもう容赦しないわ!女を弄ぶ敦賀さんを、絶対にギャフンと言わせてやるんだから〜! 」

 

 

 

 

 

 さて、ここでほんの少しだけ時を戻すとしよう。

 

 日中の蓮とのやりとりから数時間。午後8時を回ったその時間、1日の仕事を終えたビジネスマン達が、会社帰りの電車内でユラユラと力なく揺れている頃、仕事疲れも何のそので、ある意味元気いっぱいに、メラメラと激しい闘志を燃やす少女がいた。

 

 燃え盛る炎を背負ったその少女……最上キョーコは、某局の衣装室の中で、ブツブツと文句を言っているところだ。

 

 この時のキョーコは、とても怒っていた。何故なら、ほんの十数分前にとんでもない話を聞いてしまったから。

 

 

「 ねぇ、ねぇ、ちょっと聞いて!!さっきアタシ、廊下で敦賀さんを見ちゃったんだ〜〜! 」


「 えぇ〜〜?ホントに?って、ヤダ!!まさか!?もしかして、もしかしたら、敦賀さんったら、私のことを追いかけてきたとか……? 」


「 はぁ?何言ってんの?夢でも見てんの?だとしたら、早く起きなさいよ。まったくもう!敦賀さんがアンタなんか追いかけてくるわけないつ〜の! 」


「 そんなことないもん!実は私、今日のお昼間に、別の現場で敦賀さんと一緒にお仕事させてもらったの!私ってば、敦賀さんの大ファンじゃない?だから、ちょっとでもお近づきになれたら良いなぁって思って、仕事前に気合い入れて、挨拶に行ったのよ! 」 

 

「 ああ、それで、撮影用衣装でもないのに、そんなに露出過剰なんだ 」

 

「 もう、過剰とは何よ。私の胸は見せてナンボよ!鎖骨のくぼみ、腰のくびれ、素足を隠しもしない大胆なミニスカート。今日の私のこの完璧な姿は、敦賀さんに見せる為にあると言っても過言ではないんだから! 」

 

「 へ〜。でも、敦賀さんなら、スラッとしたモデル体型なのに、胸もくびれもある完璧美女を幾らでも見慣れてるだろうし、私らみたいな結構加工済みでもこのレベルな女なんてそこらの石ころレベルじゃない? 」

 

「 そんなことない!整形だってメイクだって、綺麗になったもん勝ちだし、男の人にはモデルみたいにガリガリじゃない巨乳な女の子の方がモテるもん!それに、敦賀さんは私のことが好き……なんじゃないかと思うのよ?だって、挨拶した時、上から下まで、全身舐め回すように見られたんだもの……あ、あんな熱い目で見られたら、私もう…… 」

 

「 へ〜、まあ敦賀さんも男だし、そういう気分の時はあるかもしれないわね。アンタのご自慢のその身体に、本当に興味を持ってもらえたんだとしたら、ラッキーだったじゃない。(まあ、100パーセント、やり. も .くだろうけど…)で?ホテルにでも行こうって誘われたわけ? 」

 

「 ううん、私が彼の視線に普通に反応しちゃったから、マズイって思って……なんでもなくないのに、なんでもないよ?って素っ気なくそっぽを向いて、誤魔化してたわ! 」

 

「 視線とか、全部気のせいだったってことじゃないの? 私の身体を見てっていうアンタの願望から来る妄想だったとかさ〜 」

 

「 違うもん!ほら、マネージャーさんの前だったし?敦賀さんも口説いたり、ホテルの話なんかできなかったから、追いかけてきたと……あ!!でも、どうしよう!私らこれからbスタジオに移動して撮影だよね……?やだ〜仕事なんてキャンセルして敦賀さんと一緒にいたいよ〜! 」

 

「 好きにすれば?あ、アンタ確か、仕事のドタキャンの前科アリだよね?アハハハ、ヤバイじゃ〜ん。まあ、アタシも鬼じゃないから、100パーセント敦賀さんからは誘われず、仕事もクビになることはちゃんと予言しといてアゲるね? 」

 

「 何その予言!もう、ヒドイよ、鬼だよ〜〜!でも……実際のところ、敦賀さんと親しくなれたとしても即結婚とかは絶対無理だし、その後業界干されたら、イメージ悪いし近づくなとか……ああ、だめだぁ!すっごく、残念だけど、今日は仕事頑張るぅ! 」

 

「 別に干されてくれても良いけど、今日の仕事に穴開けられると私が迷惑するから……あ、マネージャーからタクシーもう来るからすぐ来いってラインきてる!行こ!! 」

 

「 うん、急がないと〜! 」

 

 

 これは、二人のグラビアアイドルが、つい10分ほど前にしていた会話だ。

 

 あの先輩のナチュラルすぎる悪行について、被害者とも言える軽い脳みそと重そうな胸が自慢のグラビアアイドルが、辛口が売りの同業アイドルに語っていた内容からすると、某先輩はいつもつけている爽やか紳士な仮面を被らず、あの女の子にバレるレベルで、全身舐め回すように見たらしい。

 

 

「 あんな熱い目で全身舐め回すように見るなんて?はぁ?敦賀さんからそんな目で見られたら、普通の女性なら誤解して当然でしょうがっ!! 」

 

 

 常日頃、あの先輩が自分に向かってああいう危険な言動を晒すたびに、こんなことしてたら誤解されますよ!と、注意していたキョーコである。そして、その度に毎回毎回「 こんなこと君にしかしないから 」な〜んていう反省のカケラもない返事を聞かされていたのだ。

 

 

「 何ぁにがっ、君にしかよ〜〜!あんっのっ大ウソつきが〜〜!ホイホイホイホイやりまくってるじゃないの!!きっと相手がああいう反応することをわかっていてやっているんだわ!で、最後はああやって逃げるのね!!わかりました!敦賀さんが、ああやっていつも、誰にでも天然タラシでコマシな態度で、女の子を弄んでるってことが! 」

 

 

 今は一人とはいえ、衣装室で大声を出し怒鳴る訳には行かない。だが、声量は控えめに抑えつつも口から出る言葉は呪詛レベルに禍々しく、キョーコが背中に背負った闘志の炎はどす黒い赤色に染まり、どんどん大きくなっていく。

 

 

 「 敦賀さんがどんなにタラシでコマシでも、私は絶対に騙されないって誓うわ!それにしてもムカつく〜〜!!次にあんなことされても、私は絶対に赤面なんてしてあげないんだから!イヤイヤ、次っていつよ!ムゥ〜〜〜!ダメだわ、我慢できない!思い立ったら吉日、善は急げよ!今日中にギャフンと言わせてやるんだから!もう、みてらっしゃいっ! 」

 

 

 バッグから取り出した文明の利器は、怒り狂うキョーコに恐れをなしたか、それとも応援なのか。普段より若干早く、それは目指す相手と繋がったのであった。

 

第14話に続く。

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