こちらは、りーちゃん&セーちゃんによる【反撃の乙女と狼狽える破壊神企画】です。

コラボ連載作『純情乙女の危険なあしらい』は、元旦からスタートしています。

もう少しだけ続きますので、お楽しみ頂けたら嬉しいです♪

 

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スタート話はこちらです。

→『破破壊神がやって来た』(一葉梨紗作)

1 /  /  /  /  /  /  / 9・完結

 

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反撃の乙女と狼狽える破壊神企画

『純情乙女の危険なあしらい 14』

 

 どうしても、どうしても、今日のうちに、蓮を懲らしめたい!と、キョーコは、二人のグラビアアイドルの会話を聞いてすぐに古賀に連絡をとった。

 

 幸いにも古賀とは即座に連絡がつき、頼もしいアドバイスをもらうことに成功した。

 

 古賀との会話を終えたキョーコは、携帯電話を握りしめなら、自分にしては珍しく運が良いんじゃないかと考えていた。

 

 実はキョーコは、未だ続くあの先輩との次回攻防に備え、今日のこの時間、ある人物に教えを乞うために、この衣装室を訪ねていたのだ。

 

 

「 もっと大人の余裕を漂わせるためには、やっぱり色気が必要だと思うんです!どうすれば色気が出せるようになりますか? 」

 

「 色気ねぇ……付け焼き刃で身につくものではないと思うけど、う〜〜ん、そうだね。俺は君の先輩として、君のレベルアップの手伝いをする気でいるけど、色っぽい服を選ぶぐらいならともかくとして、立ち振る舞いの指導ができるかと言えば、それについては自信がないし……ああ!そうだ!いる!いるいる!適任者がいるよ!!君、今日の夜T局に行けるかい?行けるなら…… 」

 

 

 過去の蓮とのやりとりの経験を得て、あの先輩のあしらいに対し、少しばかり自信の様なものがついてきたキョーコは、本日昼間に古賀に会った際にこう相談し、自分を指導してくれる適任者を紹介してもらっていたのだ。

 

 その適任者……この局で来月に放送予定の番組の中で、オトナ女性の立ち振る舞いや洋服のコーディートを紹介するコーナーを受け持つことになった、30代前半の売れっ子モデルであるその女性は、古賀の紹介で訪れたキョーコを大歓迎してくれた。

 

 番組の打ち合わせのためにこの局の衣装室やメイクを頻繁に訪れているというそのモデルは、自身が175センチという高身長なため、お茶の間の一般人に紹介する服を自分で着ることはできない。

 

 衣装やメイクの人間も常に丁度良い体型のアシスタントを横に置いているわけでもなく、打ち合わせのたびに専門アルバイトモデルを雇うのは面倒だ。

 

 そんなときに相談という理由で飛び込んできた、適度なサイズ感なキョーコはとても便利な着せ替え人形となってくれた。

 

 お互いに都合の良い相手となったことで、センセイとなったモデルも、キョーコも双方気兼ねなく頼みごとができ、打ち合わせも相談も実にスムーズに進んだ。

 

 1時間程言われるがままに、着せ替えモデルをし、その間に色気についての相談をし、普段の歩き方や座り方、腕の組み方や視線の送り方など、非常に有意義な指導を受けることができたキョーコはご機嫌だった。

 

 

「 だから、こんな風に変身すればいいのよ、簡単でしょ? 」

 

 

 そう。こういうことが知りたかったのだ。キョーコから見て、綺麗で格好良くて、色っぽいと思える現役モデルによる授業は、本当にためになった。打ち合わせに参加していたベテランの衣装さんやメイクさんからも数々の教えを受けることができたのもラッキーだった。

 

 更に有難いことに、手持ちにはない、大人美人向けの服や小物数点の買取をさせてもらうことまでできた。

 

 

「 ああ!ピンヒールは女の武器だから、外せないわ!この服に丁度良いのがあるはずなのよっ!京子ちゃん、ちょっとだけ待ってて?今とってくるから! 」

 

 

 打ち合わせは終わり、メイクさんは別の現場に移動してしまったが、モデルのセンセイと衣装さんは、階下の倉庫に保管しているという靴をキョーコの為に探しに行ってくれていた。

 

 それを待っている間にお礼の飲み物でも買いに行こうと廊下に出た際、キョーコはさっきのアイドルたちの話を聞いてしまったのだ。

 

 今現在のキョーコは、持ち帰り予定だった買取衣装を身につけ、セクシー女性になりきっているところだ。ヘアメイクは先程プロに施してもらったので、完璧だ。あとは、今倉庫に取りに行ってくれている、この服に合うというヒールを受け取って履き、戦いに赴くだけなのである。

 

 

「 京子ちゃん、お待たせ!!あ、やっぱり似合うわね、そのワンピ!!凄く色っぽいわ!! 」

 

「 エヘヘ、有難うございます。幾らプロに魔法をかけてもらっても、ボンキュッボンにはなれないですけど……この際シージー扱いでもなんでも、化けれるもんならなんでも良いです! 」

 

「 CGって!もう!京子ちゃんったら、面白いんだから!わかりやすいサイズなボぉぉ〜〜〜ンキュッボぉ〜〜ンじゃなくても、胸ウエスト腰のバランスが綺麗だから、京子ちゃんはスタイル抜群よ!  」

 

「 えへへ、お世辞でも嬉しいです。普段の私と雰囲気が違うから、このままの姿で街を歩いても平気そうですよね。今日教えていただいたことを活かせるように、大人女性になりきりながら、帰ってみますね!色々有難うございました! 」

 

「 うん、頑張って〜!あ!京子とはバレなくても、凄く綺麗だから、変な男に追いかけられないようにね! 」

 

「 あはは!大丈夫です。そんな人がもしもいたとしても、返り討ちにしてやりますから!ほら、足に凶器を装着しましたし! 」

 

 

 本当に凶器にする訳ではないが、これを自分を守るお守りだと思えるなら、そう思いたいとキョーコは思った。

 

 

「 ぶっ!ピンヒールで、返り討ち?もう、本当に面白い子ね〜。うん、京子ちゃんを襲った相手が死なないを祈ってるわ〜 」

 

「 は〜い、半殺しレベルで我慢しま〜す。では、お先に失礼します 」

 


 果たして、半殺しにされるのは誰なのか。

 こうして、戦装束と怒りの炎を身にまとった乙女は、禍々しくも美しい笑顔で本日最後の仕事場を後にしたのだった。

 

 

 

 

 10分後。上手くおびき寄せた相手の前を、キョーコは走っていた。追われていたからではなく、追わせるために。

 

 

「 最上さん!どうして、逃げるんだ!君が俺を呼んだんだろう? 」

 

「 そうですけどっ、どうしてでしょう?でも、敦賀さんがなんだか怖いから!? 」

 

 

 確かに、携帯の留守電に話があるからとメッセージを入れたのはキョーコの方だ。そして、予想通り、この男からは「すぐ近くにいるから迎えに行く」という電話が入った。

 

 またしつこく自分を捕まえようと企んでいたのか、それとも余程あの巨乳アイドルとよろしくしたかったのか、今二人で駆け上っている非常階段の最下層にある駐車場入り口に彼はいたのだ。だから、携帯に連絡をして5分もしないうちに……キョーコが7階フロアから非常階段につながるドアを開けた瞬間、下から階段を駆け上る蓮の足音が聞こえてきた。

 

 今回は待ち合わせなのだから、自分も階段を降り、迎えに行くのが普通である。だが、7階より上の、もう少し人目がなさそうな階に移動したかったキョーコは、わざと階段を駆け上ってみせた。

 

 勿論、キョーコの計画通り、蓮は追いかけてきた。

 

 

「 怖いって……酷いな! 」

 

「 そうですか、事実ですけど〜! 」

 

「 わかった!いいよ、それでっ。あ!でも、待って!止まって!そんなヒールで階段を上ったら、危ないから! 」

 

 

 9階まで駆け上ったところで、漸くキョーコは足を止めた。そうして振りかえってみれば、高い靴を履いた自分の転倒を心配する瞳が……ある筈もなく、未だグラビアアイドルのボンキュボンボディを忘れていないらしい、熱い目をした蓮の姿があった。

 蓮の様子を確認したキョーコの背中の炎は、ますます大きくなり、誘い出した獲物に襲いかかろうとしていた。

 

 

「 あ!敦賀さん!今、見ましたよね? 」

 

 

 やっと立ち止まったキョーコだったが、蓮を見下ろす普段より大人びた顔に浮かぶその表情は女王の様に気高く、そして厳しかった。

 

 

「 え?な、にを? 」

 

「 何って。このスカート短いですから、真下から見上げるなんてことされたら…… 」

 

 

 お尻を蓮に向かって突き出す様にして立つキョーコから、スカートが短くて下着が見えることをアピールされてしまえば、確認の為と言い訳しつつも、ついガン見してしまうのは、蓮的には当たり前というもの。

 

 超ミニスカな服から出ている美味しそうなお尻と足。それだけでも堪らないのに、何故か日中に会った時とは服やメイクを変え、セクシーな大人美女姿になっているキョーコが相手だ。

 

 当然、今見せられている色気は、半端ないレベルで、蓮はお尻と足から視線を外さなくてはマズイという意識はあるのに、餌に食いついた獲物にようにそこから離れられなくなってしまう。それはもうキョーコの狙い通り、バッチリ食いついてしまっている。

 

 

「 へぇ……ふっ……ふふ、やっぱり、ミ・タんですね? 」

 

 

 階段を少し降りてきたキョーコが蓮の肩に両手を乗せて意味深に笑えば、蓮は誘ってもらった様な気になってしまう。

 

 

「 敦賀さん、ヤダ、目つきが…… 」

 

「 え!あ!!ご、ごめ、つ、つい 」

 

「 シンジラナイ、そんな目で…… 」

 

「 ごめん!本当に! 」

 

「 やだ、エッチ……やだっ……! 」

 

 

 キョーコから非難されて慌てて謝罪する蓮だったが、怯えられたのか、またもや上の階に向かって逃げ出されてしまった。

 

 

「 ごめん、待って!何もしないから! 」

 

「 キャっ、どこ触って!! 」

 

「 ご、ごめっ 」

 

 

 慌てて追いかけて、捕まえようとした蓮だったが、焦りすぎた為かどこか不味い場所に触れてしまったらしい。キョーコの腰に巻きつけていた不埒な自分の腕を慌てて放しはしたが、時既に遅し。

 

 キョーコは、両腕で自分の身体を守る様に抱きしめながら、蓮に好意的とは言えない視線を投げつけている。

 

 

「 敦賀さん……の、エッチ…… 」

 

「 いや、あの、わざとじゃ!その、ごめん、あの!あ、待って! 」

 

 

 自分は今触れてはいけない場所に触れてしまったのだと理解した蓮は、動揺が止まらない。まともに謝罪もできず、どうすれば良いのかわからない。ちょっとしたパニックに陥って、自分を見失っていた。

 

 だけど、もう逃げられたくはないと思う気持ちが身体を勝手に動かしたのか、それとも蓮の痴漢行為を非難をしている筈なのに、それでもやけに色っぽく見えるキョーコの魅力のせいなのか、気がつけば蓮は自然とキョーコを抱きしめていた。

 

 

「 お願いだから、逃げないで!あっ…… 」

 

 

 少しでも身を離したいのだろう。しっかりと腕の中に閉じ込めたキョーコは蓮の身体に手を当てて隙間を作ろうとする。だが、そのせいで、キョーコの胸元がモロに目に入ってしまった蓮は、日頃の妄想鍛錬の成果なのか、即座に反応させたくない場所に効果をもたらせてしまい、更に動揺するという悪循環に陥ってしまう。

 

 そんな蓮に、キョーコは情け容赦無く、追い討ちをかけてくれた。

 

 

「 もしかして、また…… 」

 

 

 何故か真顔なキョーコの視線は、蓮の顔の上で数秒止まり、そこから、下半身へと移動していく。

 

 

 「 えっ、あのっ……な、何……かな 」

 

 「 ?ナニ……が? 」

 

 「 ナニって、何……かな 」

 

 「 ……今日も私で鍛えようって言うんですか? 」

 

 「 え? 」

 

 「 ああ、だから……こんな…… 」

 

 「 え? 」

 

 

 ナニって、あれのことか、そうなのか?とキョーコの視線と言葉に耐えられなくなった蓮が顔を強張らせながら、意味を問えば、メイクで大人びた顔に無邪気な表情を浮かべたキョーコが視線で問うた。

 

 

「 だからもう、こんなにカタくなっているのですね?」

 

 

 蓮にはそんな無言の……実に無慈悲な質問が聞こえた。

 

 実際には声が聞こえようが聞こえまいが、蓮にまともな返事を返す能力はない。意識が半分、ハッスルスイッチの入ったナニに持って行かれていることもあり、全ての動きを停止させるしかなかったのだ。

 

 蓮の腕の中から、いつの間にやら抜け出していたキョーコは、蓮を置き去りにして、また階段を上がっていった。

 

 

「 敦賀さんの……変態…… 」

 

 

 そんな囁きを蓮の耳に落としたのは、空耳だったのか。蓮にはもう判別がつかなくなっていた。この時の蓮は何も言えずにただキョーコの離れていく後ろ姿を見送るしかなかった。

 

 だが、非常階段からまたビル内に戻ろうしたらしいキョーコが発した小さな悲鳴により、蓮はキョーコを逃さないで済む糸口を掴んだのだった。

 

 

 

 

「 今日はちょっと階段の上り下りが多くて疲れただけで、全然平気です、ちゃんと一人で帰れます!今は歩きにくいピンヒールだから、少しバランスを崩しましたが、スニーカーに履き替えれば余裕で歩けますし! 」

「 その服でスニーカーはおかしいし、足がガクガクしたりはしてなくても、さっきみたいにコケそうになって怪我したり、明日筋肉痛で変な歩き方になったりしたら困るだろう?!今日は俺が!送るから!これは先輩命令だから!」

 

 

 1日足を酷使していたのにピンヒールを履いていたせいでちょっとバランスを崩しただけで、平気です!なんてキョーコは言っているけれど、蓮には降って湧いたこのチャンスを逃す気なんてなかった。ここんところずっと逃げ切られていたのが嘘のように、先輩として後輩を送迎する権利と義務があると、問答無用でキョーコの主張をしりぞけることに成功した。

 

 さて、これからどうするか。蓮の中での答えはもう決まっている。ゆっくり話ができる、自分の家に連れて帰るのだ。うん、このまま行ってしまおうと、キョーコをエスコートした蓮は、非常階段10階にあるドアからビル内に入り、今度はエレベーターを利用して階下の駐車場に向かうのだった。
 

 

リーちゃんの第15話に続く。

表に出すのが微妙に恥ずかしいこのシリーズのネタ(←だんだん何を目的に書いてる話がわかってきましたよね?)部分。

限定にすると桃色だと期待されちゃうし、難しいところ。

多分、次で完結?

リーちゃんは、心置きなく、破廉恥してくらはい。←

ヾ(*ΦωΦ)ノ ヒャッホゥ

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