イーグルスは、ビリー・ジョエルのデビューと同じ、1971年に結成された、アメリカ西海岸を拠点とする伝説的なロック・バンドです。

リーダーのグレン・フライは、ビリー・ジョエルより1年先輩で、財津和夫さんと同じ1948年生まれです。リード・ボーカルのドン・ヘンリーは、ひとつ年上の1947年生まれです。

1971年の結成当時は、リンダ・ロンシュタットのバック・バンドとしての活動がメインでしたが、翌1972年に「テイク・イト・イージー」でシングル・デビューし、いきなりヒットし、その後、「ならず者(1973)」、「呪われた夜(1975)」、「ホテル・カリフォルニア(1976)」と、次々と傑作アルバムを発表して、アメリカン・ロックを代表するバンドとなりました。

しかし、1979年にアルバム「ロング・ラン」発表後、メンバー間の軋轢から翌1980年に人気絶頂の中、バンドは活動を停止し、1982年には正式に解散となりました。

その後、1994年にバンドは再結成され、その活動は現在まで続いています。

けれども、ここでは、1971〜1980年までの10年間に発表された曲の中から、独断と偏見により、ベスト15曲を選びました。曲順は、発表年時順になります。

チャートの順位は、ビルボードによる全米順位です。

15曲中、恋愛・失恋をテーマにした、一般的(?)なラブソングは6曲で、残り9曲は、より深い人生のテーマ、欲望や孤独や葛藤や絶望や幸福や癒しについて、あるいは、社会への皮肉や批評、時代への怒りや感傷、人間への哀しみや慈しみなどについて歌ったものです。

 

 

①魔女の囁き(Witchy Woman)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/バーニー・レドン

◯アルバム「イーグルス・ファースト(1972年発表/1st/22位)」初収録。

◯シングル(1972年発表/2nd/9位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

イーグルスの発表したシングルの中で、初めて全米TOP10圏内に入ったヒット曲。

ボーカルはドン・ヘンリー。また、ドン・ヘンリーが、初めて、イーグルスの楽曲の作詞作曲に関わった曲であり、ファースト・アルバムでは唯一、ドン・ヘンリーが作詞作曲に関わった曲でもあります。もともとは、バーニー・レドンが描き始めた曲ということです。

いかにもイーグルスらしい、暗く妖しい雰囲気に満ちた佳曲。

「カラスのような漆黒の髪、ルビーのような深紅の唇。指先からは火花が飛び、声は夜にこだまする。彼女は、終わりのない飛行を続ける安息を知らない魂、魔女なのさ。彼女が、どんなに高く飛ぶか、見てみろよ。彼女は、瞳の中に、月を宿す、魔女なのさ。」

Raven hair and ruby lips.
Sparks fly from her finger tips.
Echoed voices in the night.
She's a restless spirit on an endless flight.

Woo hoo witchy woman.

See how high she flies.

Woo hoo witchy woman.

She got the moon in her eye.

 

②テキーラ・サンライズ(Tequila Sunrise)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ならず者(1973年発表/2nd/41位)」初収録。

◯シングル(1973年発表/4th/64位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。

2ndアルバム以降、基本、イーグルスの作品は、この作品も含めて、ドン・ヘンリーの書いた歌詞に、グレン・フライがメロディーをつけるかたちで制作されました。

初期のイーグルスに特徴的な、いかにもウエストコースト風の明るくゆったりとしたカントリー・ロック調の佳曲。これも、ラブソングなのかな?

「テキーラ・サンライズをもう一杯。空をゆっくりと見渡して、今日一日に、さよならを言った。彼は、はるかな夢を叶えようと働く、ただの下働きの少年。そして、日々は過ぎていく。太陽が沈んだ後、毎夜、街では、また別の孤独な少年と、彼女は、どこかで浮気をしているんだ。彼女は、他の女とは違う。だから、言い寄ってくる男たちを、近寄らせないでおくことは難しかった。ずっと前からの話さ。友達を分け隔てするハメに陥るなんて、虚しい気分さ。その苦さは、決して消えない。気付けに、もう一杯飲めよ。どうして正しい適切な言葉が思い浮かばないのか、不思議だよ。ただ、呆然として、頭が真っ白になっちまう。テキーラ・サンライズをもう一杯。この古い世界は、依然として、同じことを繰り返しているように見える。同じ夜明けが、新しい映像で繰り返されるんだ。」

It's another tequila sunrise, staring slowly cross the sky, said goodbye.
He was just a hired hand working on the dreams he planned to try.
The days go by.

Every night when the sun goes down,
Just another lonely boy in town and she’s out runnin’ ‘round.

She wasn’t just another woman and I couldn’t keep from comin’ on.
It’s been so long.

Oh, and it’s a hollow feelin’ when it comes down to dealin’ friends.
It never ends.

Take another shot of courage.
Wonder why the right words never come.
You just get numb.

It’s another tequila sunrise, 

This old world still looks the same, another frame.

 

③ならず者(Desperado)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ならず者(1973年発表/2nd/41位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。

シングル・カットはされませんでしたが、多くのアーティストによってカバーされているイーグルスの代表曲で、スタンダード・バラードの歴史的名曲。

肥大した自意識を抱え、人を信じられず、人との絆を結べない若者たちへのメッセージ・ソングでもあります。

「頑固者で、わからずやの君。君はもう決して若くない。心の痛みと飢えが、君の望郷の念を駆り立てる。自由か、自由ね、そんなことを言う人たちもいるな。君は心の牢獄を抱えたまま、ひとりぼっちで、この世界を彷徨い続けている。君の足は、冬の寒さに凍えないのか? 雪も降らないし、陽も照らない。昼なのか夜なのかもわからない。君のすべての感情が、高まりも落ち込みも、消えていく。そんなふうに、すべての感情が消えていってしまうのは、おかしいと思わないか?」

「頑なで強情者の君。そろそろ気づいてもいい頃じゃないか? 君の乗っているフェンスの上から降りておいで。そして、扉を開けるんだ。雨が降っているかもしれない。けれども、君の上には虹がかかるだろう。手遅れになる前に、誰かに愛してもらうんだ。」

Desperado, oh, you ain't gettin' no younger.
Your pain and your hunger, they're drivin' you home.

And freedom, oh, freedom.
Well that's just some people talking.
Your prison is walking through this world all alone.

Don't your feet get cold in the winter time?
The sky won't snow and the sun won't shine.
It's hard to tell the night time from the day.
And you're losing all your highs and lows.
Ain't it funny how the feeling goes away?

Desperado, why don't you come to your senses?
Come down from your fences, open the gate.
It may be rainin', but there's a rainbow above you.
You better let somebody love you before it's too late.

 

④我が愛の至上(Best of My Love)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ/J.D.サウザー

◯アルバム「オン・ザ・ボーダー(1974年発表/3rd/17位)」初収録。

◯シングル(1974年発表/8th/1位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

イーグルス初のNo.1ヒット・シングル。ボーカルはドン・ヘンリー。

これも西海岸風のゆったりとした明るく美しい曲ですが、歌詞をよく聴くと、実は切ない失恋のバラードです。

「毎夜、ベッドの中で、君を抱き寄せて眠っている夢を見る。僕たちが互いに言い合ったことすべてについて考えながら、縫い目を解していく。僕らは、話し合おうと努力した。けれども、言葉は、ひどく荒くなるばかりだった。わかっているさ。君は、精一杯、僕を愛そうととしてくれたんだ。」

Every night I'm lyin' in bed holdin' you close in my dreams.
Thinkin' about all the things that we said,
I'm comin' apart at the seams.
We tried to talk it over.
But the words come out too rough.
I know you were trying to give me the best of your love.

 

⑤呪われた夜(One of These Nights)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯シングル(1975年発表/9th/1位)

◯アルバム「呪われた夜(1975年発表/4th/1位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。

イーグルス初のNo.1ヒット・アルバムとなった名盤「呪われた夜」の表題曲で、イーグルスの代表曲の一つです。ミディアム・テンポの曲なのですが、ロック調で非常に個性的なアレンジがなされています。不朽の名曲「ならず者」「ホテル・カリフォルニア」と並ぶ、イーグルスの代表曲です。

「この昔ながらの狂おしい情念が、心の中で吹き荒れる夜々のうちに、俺たちは、必ず、可愛いお前の心の情念のトリガーを、見つけだすだろう。さあ、何が、お前の心に火をつけるんだ。満月が呼んでいる。熱は上がりっぱなしだ。邪悪な風が、ささやき、うめく。お前は、心の底にうごめく悪魔のような欲望が、突き上げてくるのを感じる。俺の心の底でも、魔物のような黒い欲望が膨れ上がる。光と闇の狭間に、真実の優しい想いを抱く誰かがいる。その誰かは、君のすぐ後ろに来ている。俺は、必ず、君の心を支配する鍵を見つけだすと誓おう。この狂おしい夜々が続くうちに。」

One of these nights, one of these crazy old nights,
We're gonna find out Pretty mama.
What turns on your lights.
The full moon is calling.

The fever is high.

And the wicked wind whispers and moans.
You got your demons. You got desires. Well, I got a few of my own.

Someone to be kind to in between the dark and the light.

Coming right behind you.
Swear I’m gonna find you.
One of these nights.

 

⑥テイク・イット・トゥ・ザ・リミット(Take It to the Limit)

作詞作曲 ランディ・マイズナー/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「呪われた夜(1975年発表/4th/1位)」初収録。

◯シングル(1975年発表/11th/4位)

◯アルバム「イーグルス・グレイテスト・ヒッツ 1971-1975(1976年発表/1stベスト/1位)」収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルは、高音が美しいランディ・マイズナー。

ベーシストのランディ・マイズナーの作詞作曲に、ドン・ヘンリーとグレン・フライが協力して出来上がった作品。これも、スタンダード・バラードの名曲。

「そして、君が、自由を探している時、そして、君が、出口を見つけることができない時、信じられるものが何もない時に、それでも、君は、戻ってくる。また、戻ってくる。だから、僕をハイウェイに連れて行って、標識を見せてくれ。そして、もう一度だけ、力の限り、やってみてくれ。」

And when you're looking for your freedom,(Nobody seems to care)
And you can't find the door,(Can't find it anywhere)
When there's nothing to believe in,
Still you're coming back, you're running back, you're coming back for more.

So put me on a highway and show me a sign.
And take it to the limit one more time.

 

⑦ニュー・キッド・イン・タウン(New Kid in Town)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ/J.D.サウザー

◯シングル(1976年発表/12th/1位)

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルはグレン・フライ。グラミー賞のベストボーカリストとベストアレンジを受賞しました。

J.D.サウザーの作詞作曲に、ドン・ヘンリーとグレン・フライが協力して出来上がった曲。良い曲ですが、実は、大変、皮肉に満ちた内容の歌詞です。

「通りでは噂話が聞こえる。それは、君を思い出させる。君が、どちらの立場でも、構わないんだ。君は歩き去っていく。その後ろで、人々は、噂話を続ける。人々は、君を決して忘れない。新しく誰かがやってくるまでは。最近、どうしてたんだ? 街には、新顔が登場したぞ。みんな、彼のことが大好きだ。そうだろ? 君が、その辺をうろついているうちに、彼が、彼女を抱いている。街には、新しいヒーローがいるってことさ。また、新しいヒーローが来たんだ。」

There's talk on the street. It's there to remind you.
Doesn't really matter which side you're on.
You're walkin' away and they're talkin' behind you.
They will never forget you till somebody new comes along.
Where you been lately, there's a new kid in town.
Everybody loves him, don't they?
And he's holdin' her and you're still around.
Oh, my, my, there's a new kid in town.
Just another new kid in town.

 

⑧ホテル・カリフォルニア(Hotel California)

作詞 ドン・ヘンリー/作曲 ドン・フェルダー

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯シングル(1977年発表/13th/1位)

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。言わずと知れたイーグルスの代表曲。これも、詩の内容が深くてホラーな曲です。1970年代の行き詰まりと閉塞感を抱えて彷徨える若者の魂を表現した名曲。

「それで、私は、支配人を呼んで、ワインを持ってきてくれと頼んだ。彼は、1969年以来、我々は、そのようなスピリッツ(蒸留酒・精神)を持っておりません、と言った。」

「天井の鏡。氷で冷やされたピンクのシャンパン。私たちは、自分自身の都合で、閉じ込められた囚人に過ぎないのよ、と彼女は言った。総支配人の部屋で、彼らは宴のために集う。そして、鋼鉄のナイフで、刺そうとするが、彼らは、その獣を殺すことができない。」

「私が覚えている最後の記憶は、ドアに向かって走ったことだ。私は、自分が以前いた場所へ戻る道を見つけなければならない。私を押し留めて、落ち着いて下さい、とガードマンは言った。私たちは、こうして受け止めるように、あらかじめ指示(プログラム)されています。あなたは、いつでも、好きな時にチェック・アウトできますが、決して、ここを出ることはできません。」

So I called up the Captain “Please bring me my wine.”
He said, “We haven’t had that spirit here since nineteen sixty-nine.”(中略)

Mirrors on the ceiling.

The pink champagne on ice.

And she said “we are all just prisoners here of our own device.”

And in the master‘s chambers,

They gathered for the feast.

They stab it with their steely knives.

But they just can’t kill the beast.

Last thing I remember, I was running for the door.

I had to find the passage back to the place I was before.

“Relax,” said the night man, “We are programmed to receive,
You can check out anytime you like… but you can never leave.”

 

⑨駆け足の人生(Life in the Fast Lane)

作詞作曲 ジョー・ウォルシュ/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯シングル(1977年発表/14th/11位)

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。曲のアイディアはグレン・フライのもの。イーグルスの全楽曲の中でも、もっともヘヴィなハードロック・スタイルの曲です。ドラッグで破滅に突き進むカップルの歌です。

「彼は頑固な男だ。並外れて堂々としている。彼女はこの世のものとは思えないほど可愛い。彼女は彼を支えた。彼にとっては金づるだった。寒い寒い都会のど真ん中で。彼は残酷な男だという悪い噂があった。彼は冷酷で気が荒いと言われていた。二人に共通していることは、ベッドではイイということだった。彼女はよく言っていた。急いで、急いで、信号が赤になっちゃう! 高速道路の追い越し車線上の人生は、人の心を見失わさせる。ついてこれるかい?」

He was a hard-headed man.

He was brutally handsome, and she was terminally pretty.
She held him up, and he held her for ransom in the heart of the cold, cold city.
He had a nasty reputation as a cruel dude?
They said he was ruthless, they said he was crude.
They had one thing in common, they were good in bed.
She'd say, "Faster, faster. The lights are turnin' red."
Life in the fast lane, surely makes you lose your mind,
Life in the fast lane, Huh.

Are you with me so far?

 

⑩時は流れて(Wasted Time)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。失恋をテーマとしたスローバラードの佳曲。

「君は、頭を抱えて立ち尽くしている。信じられない。またしても、こうなってしまった。彼は去り、君は独りきり。どうやら終わりのようだ。君は、通りへと戻って、どうやって以前のように、一人で生きられるのか、思い出そうと努力する。どうしたら、そうできるのか、わからない。見知らぬ人の腕に抱かれるのも気にならない。でも、愛しい人を抱くことは、二度とできない。君は、これほどまでに、自分が独りになるなんて思いもしなかった。君が何を考えているのかわかるよ。君は、すべてが虚しく無駄に過ごした時間だったのでは、と恐れているんだ。」

Well, baby, there you stand with your little head down in your hand.
Oh, my God, you can't believe. It's happening again.
Your baby's gone and you're all alone and it looks like the end.

And you're back out on the street and you're tryin' to remember.
How do you start it over.
You don't know if you can.
You don't care much for a stranger's touch.
But you can't hold your man.
You never thought you'd be alone.
This far down the line.
But I know what's been on your mind.
You're afraid it's all been wasted time.
 

⑪暗黙の日々(Victim of Love)

作詞作曲 ドン・フェルダー/ドン・ヘンリー/グレン・フライ/J.D.サウザー

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

主に、ドン・フェルダーのアイディアから生まれた曲。リード・ボーカルも、最初の数テイクはドン・フェルダーで演奏されましたが、グレン・フライの意向でドン・ヘンリーにチェンジすることになったものです。

ハードロック・スタイルの良曲。

「君は、愛の犠牲、生け贄さ。俺には、君の壊れたハートが見える。俺は間違っているのかもしれない。いや、だが、違う。俺は間違っていないと思うぜ。愛の生け贄、犠牲者さ。俺たちは、似た者同士なんだ。お前は、どんな愛を手に入れたんだ、見せてみろよ?」
Victim of love, I see a broken heart.
I could be wrong, but I'm not, no, I'm not.
Victim of love, we're not so far apart.
Show me, what kind of love have you got?
 

⑫お前を夢見て(Pretty Maids All in a Row)

作詞作曲 ジョー・ウォルシュ/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルはジョー・ウォルシュ。ジョー・ウォルシュの作詞作曲に、ドン・ヘンリーとグレン・フライがサポートして完成した佳曲。

私としては、たいへん良い〝子守唄〟になった曲でした。この曲を聴いていると、いつでも、優しく夢と安らぎの世界へと誘われたものでした。

ところで、この曲、邦題が意味不明です。「お前」って誰ですか?

原題も、マザーグースの一節らしいですが、非常に象徴的で、意味がわかりにくいです。一列に並ぶ『Pretty Maids』は、忘れえぬ「思い出たち?」でしょうか。

このアルバム「ホテル・カリフォルニア」のテーマである1960年代への憧憬と感傷が、この曲の歌詞の中にも、見え隠れしている気がします。

「やあ、元気かい? 久しぶりだね。思えば、僕らは、長い旅をしてきたようだね。でも、僕らは、とてもゆっくりとしか学べない。その間に、すごい奴らが、現れては去っていった。まるで僕らが、その理由を知っていて当然というように、当たり前の顔をして、僕らを置き去りにしていったね。どうして、僕らは、子供時代の大切な気持ちを、捨ててしまうのだろう。なぜ、こんなに急いで、大人にならなきゃならないんだろう。」

「子供の頃、君が純粋な想いで叶うことを願ったすべては、君の幸運を無駄に費やすことになっただけさ。友人から愛を込めて、誰か、君に薔薇を贈るべきだね。また君から便りをもらって嬉しかったよ。そろそろ、物語を読むのは、おしまいにしよう。リボンと蝶ネクタイの時代は終わったんだ。幼い頃の思い出も、すべて封印して、仕舞ってしまおう。愛しく可愛らしい思い出たちを…。」

Hi there. How are ‘ya?
It’s been a long time.

Seems like we’ve come a long way.
My, but we learn so slow.

And heroes, they come and they go

And leave us behind as if we’re supposed to know why.

Why do we give up our hearts to the past?
And why must we grow up so fast?

And all you wishing well fools with your fortunes.
Someone should send you a rose with love from a friend.
It's nice to hear from you again.
And the storybook comes to a close.
Gone are the ribbons and bows.
Things to remember places to go.
Pretty Maids all in a Row...

 

⑬ラスト・リゾート(The Last Resort)

作詞作曲 ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ホテル・カリフォルニア(1976年発表/5th/1位)」初収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

ボーカルはドン・ヘンリー。ドン・ヘンリーは、この曲を、彼自身のベスト・ワークに選んでいます。

『原住民を殺戮して〝新天地〟へと移り住んだ白人たちの罪』を直視した稀有の歌詞が心に響きます。

「君は、そのすべてを残して、ハワイのラハイナへと出航することもできる。ちょうど、宣教師たちが、大昔にそうしたように。彼らは、〝イエスがくる〟と書かれたネオンの看板さえ持ち込んだ。そうして、白人の重荷を降ろさせ、白人の支配をもたらした。誰が、そんな計画を用意するのか? 何が君のもので、何が僕のものなのか? 開拓するべきニューフロンティアは、もうないから、僕たちは、ここで、何とかやっていくしかない。僕たちは、限りのない欲望を満たし、血まみれの行為を正当化する。運命の名の下に、神の名の下に。そして、日曜の朝、君は、そこで、彼らが、立ち上がって、世界のありようを賛美して歌う姿を見ることができる。彼らは、そこを楽園と呼ぶ。なぜなのか、僕にはわからない。君は、どこか、とある場所を、楽園と呼びながら、その場所にさよならを言って、歩み去ることができる。」

You can leave it all behind and sail to Lahaina,
Just like the missionaries did so many years ago.
They even brought a neon sign 'Jesus is Coming',
Brought the white man's burden down, brought the white man's reign.
Who will provide the grand design?
What is yours and what is mine? 
Cause there is no more new frontier, we have got to make it here. 
We satisfy our endless needs and justify our bloody deeds
In the name of destiny and in the name of God. 
And you can see them there on Sunday morning 
Stand up and sing about what it's like up there.
They called it paradise, I don't know why. 
You call some place paradise, kissing it goodbye. 

 

⑭言いだせなくて(I Can't Tell You Why)

作詞作曲 ティモシー・B・シュミット/ドン・ヘンリー/グレン・フライ

◯アルバム「ロング・ラン(1979年発表/6th/1位)

◯シングル(1980年発表/18th/8位)

◯アルバム「イーグルス・ライブ(1980年発表/1stライブ/1位)」収録。

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

リード・ボーカルは、ティモシー・B・シュミット。曲のアイディアも、もともとティモシーのものでした。それを、例によって、ドン・ヘンリーとグレン・フライが、名曲へと洗練させたのです。グレン・フライは、自分が作曲に関わった曲の中で、「One of These Nights」と並べて、この曲をベスト・ワークに選んでいます。

イーグルスの最後のベスト10圏内に入ったシングルとなりました。

でも、この曲もまた、邦題が意味不明です。

原題の「I can't tell you why」は、歌詞の内容からすると「なぜ、これほどまでに、君への未練を断ち切れないのか、自分でも、理由がわからない」という意味になるはずですが。

「自分たちの愛を引き裂くのに、一夜を費やした、僕らの姿を、見てみなよ。本当に、僕らは、その同じ夜を、互いの愛を慈しんで、何年も過ごしてきた、同じ二人なのだろうか? 君から去ろうとするたびに、何かが、僕を振り向かせる。そして、僕を、君の元に止まらせる。何がそうさせるのか、僕にはわからない。」

Look at us baby, up all night tearing our love apart.
Aren't we the same two people who lived through years in the dark? 

Every time I try to walk away.
Somethin' makes me turn around and stay.
And I can't tell you why.

 

⑮ホテル・カリフォルニア(Hotel California)※アンプラグド・バージョン

◯アルバム「ヘル・フリーゼズ・オーバー(1994年発表/2ndライブ/1位)」収録。

1994年、再結成にともなって行われた世界ツアーにおける、MTVで放送されたアンプラグド・ライブから11曲+新曲4曲で構成されたニュー・アルバムがリリースされました。そのアルバムから、収録曲の「ホテル・カリフォルニア」MTVアンプラグド・ライブ版。

演奏は完全にアンプラグドで、アコースティック・ギターとパーカッションだけによる生の演奏を録音したもの。アレンジによって、まったく別物の曲になっています。

オリジナル・バージョンとまったく違うのに、甲乙つけ難い出来の素晴らしい作品です。