イングランド北部のニューカッスル出身のスティングは、伊勢正三さんと同じ1951年生まれです。

1972年、スティングは、地元のニューカッスル・ビッグ・バンドのベーシストとして、初のアルバムを発表しました。その後、1974年に、スティングは、地元ニューカッスルで、ジャズ・フュージョン・バンド「ラスト・イグジット」を結成し、音楽活動を展開していました。

しかし、1976年末、スティングのステージを見たドラマーのスチュアート・コープランドの説得によって、「ポリス」を結成し、1978年にデビュー・アルバム「アウトランドス・ダムール」を発表しました。

翌1979年、2ndアルバム「白いレガッタ」が、全英で1位を獲得し、シングル「孤独のメッセージ」も全英1位を初めて獲得しました。

この1979年という年は、TULIPが「虹とスニーカーの頃」を、N.S.Pが「青い涙の味がする」を、ふきのとうがアルバム「人生・春・横断」を、松山千春がアルバム「空を飛ぶ鳥のように、野を駈ける風のように」を、さだまさしがアルバム「夢供養」を、イーグルスがアルバム「ロング・ラン」を発表した年です。前年には、ビリー・ジョエルが名盤「ニューヨーク52番街」を発表しています。

それから、ポリスは、徐々に、世界規模でメジャーになっていきました。

そして、デビュー6年目の1983年には、5thアルバム「シンクロニシティー」が、初の全米1位を獲得しました。

この1983年には、ビリー・ジョエルが、アルバム「イノセント・マン」を発表しています。また、日本では伊勢正三が、アルバム「ORANGE」を発表しています。

しかし、その後、ポリスは、1984年以降、活動を停止してしまい、現在に至っています。

そして、翌1985年以降、スティング自身は、ソロ活動を本格化させ、その活動を現在まで続けています。

ここでは、1979年発表のポリスの2ndアルバム「白いレガッタ」から、1993年発表の5thソロ・アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ」までの15年間の範囲から、ベスト20曲を、独断と偏見により選びました。

曲順は、発表年時順によります。

20曲中、歌詞のあるものは19曲。そのうち、恋愛・失恋をテーマとしたものは9曲です。残りの10曲は、それ以外の人生のテーマ、例えば、孤独や信仰、成長や信念といった個人的な問題や、社会の抱える問題について歌っています。

 

 

①孤独のメッセージ(Message in a Bottle)

作詞作曲 スティング

◯シングル(1979年発表/2nd/全英1位・全米74位)

◯アルバム「白のレガッタ(1979年発表/ポリス2nd/全英1位・全米25位)」初収録。

ポリス最初の全英ナンバーワン・ヒット曲。イングランド独特の雰囲気と個性を持つスティングの声とメロディー、そして、内省的で物語のようなイメージ喚起力のある歌詞が、とても印象的な曲です。

岸を離れた小島でひとり、誰も耐えられないほどの孤独の中にいて、絶望に陥る前に助けてほしいと書いた手紙を入れて、ガラスの小瓶を海に流しました。さて、どうなるでしょうか?

「絶海の孤島で、ひとりぼっちの漂流者になってしまった。自分以外に誰もいない小島で、また1日が過ぎる。耐えられない孤独に苛まれている。絶望に陥る前に、誰かに助けを求めなければ!」

「世界にSOSを送ろう。誰か、ガラスの小瓶に詰めた僕の手紙を見つけて読んで欲しい。」

「手紙の入ったボトルを海に流してから1年が過ぎた。こうなることは、初めから覚悟しておくべきだった。かろうじて正気が保てたのは、まだわずかでも希望があったからだ。愛は命を長らえさせる一方で、心を破壊していく。」

「今朝、浜辺を歩いている時、僕は信じられない光景を見た。数えきれないほどのガラスの小瓶が、波打ち際に打ち寄せられていた。どうやら、ひとりぼっちなのは僕だけではなかったようだ。千億もの漂流者たちが、家に帰るすべを探していた。」

Just a castaway, an island lost at sea.

Another lonely day with no one here but me.

More loneliness than any man could bear.

Rescue me before I fall into despair.

I'll send an SOS to the world.

I hope that someone gets my Message in a Bottle.

A year has passed since I wrote my note.
I should have known this right from the start.
Only hope can keep me together.
Love can mend your life but love can break your heart.
Walked out this morning, don't believe what I saw.
A hundred billion bottles washed up on the shore.
Seems I'm not alone at being alone.
A hundred billion castaways looking for a home.

 

②見つめていたい(Every Breath You Take)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「シンクロニシティー(1983年発表/5th/全英1位・全米1位)」初収録。

◯シングル(1983年発表/8th/全英1位・全米1位)

ポリス最大のヒット曲で、初の全米ナンバーワン・ヒット曲。スティングの曲では、もっとも有名な曲だと思います。

一聴すると、素敵なラブソングなのですが、実は、この曲は、今で言う「ストーカー行為」にはしる男(スティング?)の歌です。スティング本人は「嫉妬と監視と独占欲に満ちた、意地が悪く器量の小さい、相当にたちの悪い男の歌」と説明しています。

「君の呼吸のすべてを、君の動きのすべてを、君がちぎり捨てたすべての絆を、君の足どりすべてを、僕は見逃さない。一日も欠かさずに、君の言葉を一言も聞き逃さないで、君が遊ぶゲームのすべてを、君が過ごす夜のすべてを、僕は見ているよ。ああ、君はわからないのかい。君は僕のものなんだ。君が一歩歩くごとに、僕のかわいそうなハートが、どれほど痛むことか。君の動きのすべてを、君が破った約束のすべてを、君のすべての偽りの微笑みを、君の固執する主張のすべてを、僕は決して見逃さないよ。」

Every breath you take and every move you make,
Every bond you break, every step you take,
I'll be watching you.

Every single day and every word you say,
Every game you play, every night you stay,
I'll be watching you.

Oh can't you see.
You belong to me.
How my poor heart aches with every step you take.

Every move you make and every vow you break,
Every smile you fake, every claim you stake,
I'll be watching you.

 

③セット・ゼム・フリー(If You Love Somebody Set Them Free)

作詞作曲 スティング

◯シングル(1985年発表/1st/全英26位・全米3位)

◯アルバム「ブルー・タートルの夢(1985年発表/1st/全英3位・全米2位)」初収録。

スティングの1stソロアルバムの最初の曲であり、ソロ活動での初のヒット・シングルでもあります。

スティング本人は、「この曲は、『見つめていたい』の支配と監視に対する解毒剤なんだ」と語っています。

「もし、君が、誰かを必要としているなら、僕を呼んでくれ。誰かにそばに居て欲しい時にもね。もし、君が、何か貴重なものを、手元にとっておきたいなら、鍵を掛けた箱の中に入れて、その鍵を捨ててしまえばいい。君が、誰かを所有し続けたいのなら、僕のことは忘れてくれ。君が、誰かを愛しているなら、本当に愛しているのなら、その人を縛り付けようとするな。」

If you need somebody, call my name.
If you want someone, you can do the same.
If you want to keep something precious,
You got to lock it up and throw away the key.
If you want to hold onto your possession,
Don't even think about me.
If you love somebody,
If you love someone, set them free.

 

④フォートレス・アラウンド・ユア・ハート(Fortress Around Your Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ブルー・タートルの夢(1985年発表/1st/全英3位・全米2位)」初収録。アルバムの最後の曲。

◯シングル(1985年発表/3rd/全英49位・全米8位)

タイトルにあるように「あなたの心の周りに築かれた要塞」について書かれた歌です。このアルバム中で、私が一番好きな曲です。

「この監獄は、今や、君の住居となった。君は、判決を受け入れて、償う準備ができているのだろうね。」

「そして、もし、僕が、君の心の周りに、堀と有刺鉄線で囲われた、この城塞を築いてしまったのなら、僕には、その堀を埋めることはできないから、橋を架けさせてくれないか。そして、その胸壁に砲撃を加えさせてくれ。」

This prison has now become your home.
A sentence you seem prepared to pay

And if I built this fortress around your heart,
Encircled you in trenches and barbed wire.
Then let me build a bridge for I cannot fill the chasm.
And let me set the battlements on fire.

 

⑤バーボン・ストリートの月(Moon over Bourbon Street)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ブルー・タートルの夢(1985年発表/1st/全英3位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1986年発表/5th/全英44位)

渋い燻し銀のような味わいの佳曲です。「夜明けのバンパイア」という小説に刺激を受けて書いた作品とのことです。この曲、ラブソングなのですよね。

バーボンストリートは、ニューオーリンズにある有名なフランス植民地時代の面影が残る歴史的な通りで、名前の由来はブルボン朝から来ているそうです。

「今夜、バーボンストリートには月が出ている。青白い街灯の光の下、通り過ぎる人々の顔を私は見ている。私は、その声に従うよりほかに道はなかった。まばゆい繁華街の灯り、往き通う人々、そして月、すべてが…。私は、日々、強くあろうとして祈る。私がすることは間違っていると知っているがゆえに。君は、私の影を見ることはない。私の足音を聞くこともない。バーボンストリートに月が出ている間は。」

There's a moon over Bourbon Street tonight.
I see faces as they pass beneath the pale lamp light.
I've no choice but to follow that call.
The bright lights, the people, and the moon and all.
I pray every day to be strong.
For I know what I do must be wrong.
Oh you'll never see my shade or hear the sound of my feet,
While there's a moon over Bourbon Street.

 

⑥ザ・ラザラス・ハート(The Razarus Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

アルバムの最初を飾る、軽快なテンポの美しい曲。

アルバム制作の前年(1986)に、スティングのお母さんが癌で亡くなったことが、アルバム制作に大きく影響していると言われています。そのためか、このアルバムは、前作に比べて、非常に女性的で繊細な味わいに仕上がっています。

特にこの曲には、亡くなったお母さんへの想いが溢れている気がします。

「今日、彼は、自分のシャツの下を覗いた。彼の胸部の肉には、深くて大きい傷があった。その傷から可憐な花が咲いていた。深い内部の何処かから。彼は、母親の方へと振り向いて、焼き印のように燃えている、その胸の傷を見せた。けれども、彼の胸を切り開いた、その剣が、母親の手に握られていたのだ。」

「日々、新しい奇跡が起こる。死だけが、私たちを引き離す。あなたの命を救うために、一つの命を捧げねばならないなら、私はラザロの心臓の血になろう。」

He looked beneath his shirt today.
There was a wound in his flesh so deep and wide.
From the wound a lovely flower grew.
From somewhere deep inside.
He turned around to face his mother to show her the wound in his breast that burned like a brand.
But the sword that cut him open was the sword in his mother's hand.
Every day another miracle.
Only death will tear us apart.
To sacrifice a life for yours
I'd be the blood of the Lazarus heart.
The blood of the Lazarus heart.
 

⑦ビー・スティル・マイ・ビーティング・ハート(Be Still My Beating Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1987年発表/8th/全米15位)

「静まれ、僕の心臓の鼓動!」というタイトル通りの曲です。これも、とても印象的な曲です。

アルバム「Nothing Like the Sun」には、こうした自由で繊細で軽やかなタッチの曲が多いです。名盤です。

Be still my beating heart.
It would be better to be cool.
It's not time to be open just yet.
A lesson once learned is so hard to forget.
Be still my beating heart or I'll be taken for a fool.
It's not healthy to run at this pace.
The blood runs so red to my face.
I've been to every single book I know to soothe the thoughts that plague me so.

 

⑧イングリッシュマン・イン・ニューヨーク(Englishman in New York)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1988年発表/11th/全英51位・全米84位)

ロックとジャズのテイストを見事に洗練されたバランスで融合させた奇跡の曲。スティングの代表曲です。歌詞もカッコいいです。

「私はコーヒーを飲まない。ティーを飲む。トーストは片面しか焼かない。私の話すアクセントを聴けばわかるだろう。私はニューヨークの英国人だ。5番街を歩く私を見るがいい。私は杖を持っている。私はどこへ行く時も杖を持つ。私はニューヨークの英国人だ。誰かが言うように、マナーが人格を形成するとするなら、彼は現代のヒーローだ。無知な者たちの嘲笑に耐え、笑って受け流すことができるのが、大人というものだ。他人がなんと言おうと関係ない。大切なことは、どんな時も、偽らずに自分自身のままでいることだ。」

I don't take coffee, I take tea, my dear.
I like my toast done on one side.
And you can hear it in my accent when I talk.
I'm an Englishman in New York.

See me walking down Fifth Avenue.
A walking cane here at my side.
I take it everywhere I walk.
I'm an Englishman in New York.

If "manners maketh man" as someone said,
He's the hero of the day.
It takes a man to suffer ignorance and smile.
Be yourself no matter what they say.

 

⑨フラジャイル(Fragile)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1988年発表/12th/全英70位)

1987年、アメリカ人ベンジャミン・アーネスト・リンダー(当時27歳)は、ニカラグアの戦闘地帯で、村に電力と水を供給するダムで働いていました。彼は、米国に支援された反革命軍に殺されたのです。

そして、この曲は、スティングが、ベンジャミンの死を悼んで作った曲です。

2021年発表のアルバム『デュエッツ(Duets)』では、フリオ・イグレシアスとデュエットしています。

「肉と鋼鉄が一つになって血が流れ、夕日の色に染まって乾いていくとしても、翌日の雨は、その痕を洗い流してしまう。それでも、私たちの心に、いつも、残るものがある。おそらく、この最後の行為が、生涯にわたる論争に終止符を打ったのだ。怒りの星の下に生まれたすべての者たちにとって、暴力からは、何も生まれないし、暴力は何事もなし得ないということだ。私たちがいかに脆いかということを忘れないように、雨は、いつまでも、星からの涙のように降り続ける。雨は、私たちがどれほど脆いのかを、繰り返し、私たちに伝え続ける。」

If blood will flow when fresh and steel are one,
Drying in the colour of the evening sun,
Tomorrow's rain will wash the stains away.
But something in our minds will always stay.
Perhaps this final act was meant to clinch a lifetime's argument
That nothing comes from violence and nothing ever could
For all those born beneath an angry star.

Lest we forget how fragile we are,
On and on the rain will fall like tears from a star, like tears from a star.
On and on the rain will say how fragile we are, how fragile we are.

 

⑩孤独なダンス(They Dance Alone)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

◯シングル(1988年発表/13th/ー)

チリの独裁者であるピノチェト政権によって、夫や息子を連れ去られた、妻や母が、自分の愛する人の写真を服にピンで留めて、グループで出かけ、警察署の前で、見えないパートナーとフォーク・ダンスを踊る様子を、スティングは目撃したそうです。

その女性たちへの敬意を込めて、スティングは、この歌を作りました。

「なぜ、ここで、相手もいないのに、ひとりで踊っている女たちがいるのだろう? なぜ、その瞳には哀しみが宿っているのか? なぜ、兵士たちが、ここにいる? なぜ、兵士の表情は、石のように硬いのだ? 兵士たちが、何をそんなに忌み嫌っているのか、私にはわからない。女は、行方不明者と踊っている。死者と踊っている。女たちは、眼に見えない相手と踊るのだ。その苦悶は語られない。女は、父親と踊っている。息子と踊っている。夫と踊っている。女たちは、ひとりで踊る。相手もいないのに、ひとりで踊るのだ。」

Why are there women here dancing on their own?
Why is there this sadness in their eyes?
Why are the soldiers here.
Their faces fixed like stone?
I can't see what it is that they dispise.
They're dancing with the missing.
They're dancing with the dead.
They dance with the invisible ones.
Their anguish is unsaid.
They're dancing with their fathers.
They're dancing with their sons.
They're dancing with their husbands.
They dance alone. 

They dance alone.

 

⑪ストレート・トゥ・マイ・ハート(Straight to My Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

「100年後には、科学的に至福を与える方法が、キスに取って代わり、原子核内部の連鎖が、脳に電流を走らせて、あるいは生化学的にもたらされる恍惚状態が、ロマンスを消し去るに違いないと言われたとしても、僕の心に真っ直ぐ突き刺さる、古代の恋人たちのわざで造られた、この〝矢〟があるのだから、何を気にすることがあるだろうか?」と、スティングは、この曲の詞に書いています。

とてもストレートな「愛への讃歌」です。

Well, in a hundred years from now, they will attempt to tell us how

A scientific means to bliss will supersede the human kiss.

A sub atomic chain will maybe galvanize the brain

Or a biochemic trance will eliminate romance.

But why ever should we care when there are arrows in the air

Formed by lovers' ancient art that go straight to my heart?

 

⑫シスター・ムーン(Sister Moon)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

歌詞の中に、アルバムタイトルの「Nothing like the sun」が出てきます。この曲も、非常に女性的な歌詞です。

「月よ、あなたは私の道標。あなたの青い影に私は隠れることができる。今夜、善人たちは、皆、眠りについている。私はひとり、あなたの銀色の光の下にいる。私は、よく一晩中、あなたの横顔を見つめていた。あなたのこと以外、何も考えられなかった。」

「彼女の眼差しは、太陽とはまるで違う。彼女への飢えは、一晩中、月に向かって吠えたり、私がしてきたあらゆることの理由なのだ。私がそうしても、誰も気にする人はいない。私は、あなたのこと以外、何も考えられない。」

Sister moon will be my guide.
In your blue blue shadows I would hide.
All good people asleep tonight.
I'm all by myself in your silver light.
I would gaze at your face the whole night through.
I'd go out of my mind but for you.

My mistress' eyes are nothing like the sun.
My hunger for her explains everything I've done.
To howl at the moon the whole night through.
And they really don't care if I do.
I'd go out of my mind but for you.

 

⑬リトル・ウィング(Little Wing)

作詞作曲 ジミ・ヘンドリックス

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。

ジミ・ヘンドリックスの名曲のカバー版。これもまた女性的な曲で、普遍的な〝母性〟をテーマとした曲です。

「彼女は雲の中を歩いている。そぞろに自由に動き回る心で。蝶にシマウマ、月光に御伽噺。彼女の心は、風に乗ることでいっぱいだ。私が悲しい時、彼女は私のところへやってくる。千もの笑顔を惜しげもなくふりまいて。『大丈夫、いいんだよ。何でも持っていきなさい。ありったけ、何でも!』そう言いながら。飛んでいけ、小さな翼。」

Well she’s walking through the clouds
With a circus mind that’s running round.
Butterflies and zebras and moonbeams and fairytales.
That’s all she ever thinks about riding with the wind.
When I’m sad, she comes to me.
With a thousand smiles she gives to me free.
It’s alright, she said, it’s alright.
Take anything you want from me,
Anything, anything.
Fly on, little wing.

 

⑭シークレット・マリッジ(The Secret Marriage)

作詞作曲 スティング/ハンス・アイスラー

◯アルバム「ナッシング・ライク・ザ・サン(1987年発表/2nd/全英1位・全米9位)」初収録。アルバムの最後を締める佳曲。

静かな曲ですが、人を落ち着かせるヒーリング曲です。

「私たちの結婚を祝福する地上の教会はなく、私たちに婚姻の許可を与える政府もない。私たち二人を結びつけた家族の絆、家同士の繋がりもなく、二人の仲介をして報酬を得た会社もない。」

「二人の婚姻を飾る花はなく、花嫁を飾る白いベールもない。バージンロードを歩く白いドレスはなく、互いに手を置いて誓う聖書もない。」

「秘密の結婚の誓いは、決して口に出されない。秘密の結婚は、決して破られることはない。」

No earthly church has ever blessed our union.
No state has ever granted us permission.
No family bond has ever made us two.
No company has ever earned commission.

No flowers on the alter.
No white veil in your hair.
No maiden dress to alter.
No bible oath to swear.

The secret marriage vow is never spoken.
The secret marriage never can be broken.

 

⑮オール・ディス・タイム(All This Time)

作詞作曲 スティング

◯シングル(1990年発表/14th/全米5位)

◯アルバム「ソウル・ケージ(1991年発表/3rd/全英1位・全米2位)」初収録。

このアルバムの制作直前に、スティングのお父さんが亡くなりました。そのことが、アルバム制作に大きな影響を与えたと言われます。この曲は、このアルバムの中では、一番好きな曲です。

「教師たちは、この地はローマ人が建設したのだと、僕たちに言う。彼らは、帝国の城塞都市の縁に、城壁と教会を建設した。彼らは生き、そして、死んだ。彼らは、彼らの神々に祈った。しかし、その石の神々は、何も言わなかった。やがて、彼らの帝国は崩れ去り、残ったのは、労働者たちが造った礎石だけだった。」

「そして、その間、ずっと河は、北国の陽の光の下、流れていた。もし、できるなら、僕は、その河に、一艘の小舟で漕ぎ出すだろう。男たちは、群れていると、ろくなことにならない。彼らは、一人きりになれた時、初めて、少しは、まともにモノが考えられるようになる。」

The teachers told us, the Romans built this place.
They built a wall and a temple in an edge of the empire garrison town.
They lived and they died. They prayed to their gods.
But the stone gods did not make a sound.
And their empire crumbled, 'til all that was left were the stones the workmen found.
And all this time the river flowed in the falling light of a northern sun.
If I had my way I'd take a boat from the river.
Men go crazy in congregations.
But they only get better one by one, one by one...

 

⑯セント・アグネス・アンド・ザ・バーニング・トレイン(Saint Agnes and tne Burning Train)

作曲 スティング

◯アルバム「ソウル・ケージ(1991年発表/3rd/全英1位・全米2位)」初収録。

インストルメンタルのギター曲です。本当に渋くていい曲です。

 

⑰イッツ・プロバブリー・ミー(It's Probably Me)

作詞作曲 スティング/エリック・クラプトン/マイケル・ケイメン

◯シングル(1992年発表/18th/全米20位)

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

もともとは、1992年公開の映画「リーサル・ウェポン 3」のサントラに含まれていた曲。

曲調も、歌詞も、地味ですが、味があります。ハードボイルドです。

2021年発表のアルバム『デュエッツ(Duets)』では、エリック・クラプトンとデュエットしています。

「世界が狂気に満ちて、理不尽がまかりとおるようになっても、お前を守るために、声を上げるやつが1人だけいる。陪審員が部屋を出て行き、残った被告人のお前が、傍聴人で埋め尽くされた部屋を見渡す時、お前が探し求めるのは、ただ一つの親しい顔だけだ。もしも、お前の前に身を投げ出して、お前のために死ぬやつが、この世に、たったひとり、いるとするなら、言うのは難しいが、言いたくはないのだが、それは、おそらく俺だ。」

When the world's gone crazy and it makes no sense,
There's only one voice that comes to your defense.
And the jury's out and your eyes search the room,
And one friendly face is all you need to see.
If there's one guy, just one guy who'd lay down his life for you and die,
It's hard to say it, I hate to say it, but it's probably me.

 

⑱セブン・デイズ(Seven Days)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1993年発表/20th/ー)

スティングにしては珍しく、明るく軽快なテンポの佳曲。歌詞もコミカルで可愛らしい。ちなみに、スティングの身長は181cmだそうです。ぜんぜん低くない。

「〝1週間〟それが、彼女が書き置きしてあった伝言のすべて。一種の最後通牒だ。それを彼女は僕に送ってよこしたのだ。一つの問題を解決したかなと思っていると、別の訴訟が起こるみたいな感じだ。僕の苦難は続く。決断が苦手なのに、僕の選択肢は、急速に減っている。う〜ん。今回は、脅しじゃなさそうだ。なんとしても、彼女を僕のものにしなきゃならない。それは明白だ。彼か、僕か、だ。」

「彼は、他人に恐怖を覚えさせる2mを超える巨人だという事実がある。一方で、僕はそうではない。ただのノミみたいなもんだ。はたして、僕はネズミなのか人間なのか…。鏡を覗くと、ちゅーちゅー泣いているじゃないか。僕は逃げ出した。彼は、紅茶の時間までに、僕を殺すだろう。それが、何か問題になるかな? 僕のライバルは、言わば、ネアンデルタール人だ。たぶん、僕にはお酒が必要だ。IQは、ここでは問題にならない。僕と彼女は、恐ろしい彼女お手製のスクラブルで遊んでいるわけじゃない。僕にはビールが必要だ。」

「1週間は、すぐに終わる。残るのは、僕が彼女を愛しているという事実だ。1週間あれば、いろんな手を思いつく。けれど、僕は逃げることはできない。月曜日、僕は火曜日まで待てる。もし、覚悟を決めさえすれば、水曜日は素晴らしい日になる。木曜日が待ち遠しい。金曜日、まだ時間がある。土曜日、まだ間に合う。でも、日曜日では手遅れだ。」

「僕らが最初に出会って以来続いている、数限りない雨の日にまつわる話を、君にするべきかな? 僕らは、二人が十分入れる大きな傘を、一緒に差して歩くんだけど、なぜか、いつだって、ずぶ濡れになるのは、僕の方なんだよ。」

"Seven days" was all she wrote. A kind of ultimatum note.
She gave to me, she gave to me.
When I thought the field had cleared, it seemed another suit appeared.
To challenge me. Woe is me.
Though I hate to make a choice, my options are decreasing mostly rapidly.
Well, we'll see. I don't think she'd bluff this time.
I really have to make her mine. It's plain to see. It's him or me.

The fact he's over six-feet ten might instill fear in other men.
But not in me. The mighty flea.
Ask if I am mouse or man. The mirror squeaked, away I ran.
He'll murder me in time for his tea. Does it bother me at all?
My rival is Neanderthal, it makes me think. Perhaps I need a drink.
IQ is no problem here.
We won't be playing Scrabble for her hand I fear. I need that beer.

Seven days will quickly go. The fact remains, I love her so.
Seven days, so many ways. But I can't run away. I can't run away.
Monday, I could wait till Tuesday.
If I make up my mind, Wednesday would be fine, Thursday's on my mind,
Friday'd give me time, Saturday could wait, but Sunday'd be too late.
Do I have to tell a story of a thousand rainy days since we first met?
It's a big enough umbrella. But it's always me that ends up getting wet.

 

⑲フィールズ・オブ・ゴールド(Feilds of Gold)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1993年発表/21th/全英で16位・全米23位)

名曲です。スティングの代表曲のひとつ。

「あなたは、大麦畑の上を西風が吹く時に、私を思い出す。私たちが、金色の麦畑を歩く時、あなたは、嫉妬深い天の太陽を忘れるだろう。それで、彼女は、少しの間、大麦畑を見つめるために、恋人を連れて行った。彼女の髪が垂れかかり、彼女は恋人の腕の中に落ちた。金色の麦畑の中で。」

You'll remember me when the west wind moves
Upon the fields of barley.
You'll forget the sun in his jealous sky
As we walk in fields of gold.
So she took her love for to gaze awhile
Upon the fields of barley.
In his arms she fell as her hair came down
Among the fields of gold.

 

⑳シェイプ・オブ・マイ・ハート(Shape of My Heart)

作詞作曲 スティング

◯アルバム「テン・サマナーズ・テイルズ(1993年発表/4th/全英2位・全米2位)」初収録。

◯シングル(1993年発表/22th/全英50位)

映画『レオン』のエンディング・テーマ曲です。これも名曲。

「彼は、瞑想の中で、カードをひく。彼には確固とした目的がある。お金を稼ぐのが目的ではない。尊敬を得るためでもない。彼は、答えを得るために、カードをひく。聖なる物の幾何学的形状を理解する数学的手法によって、可能な結果を得るための隠された法則に基づいて、数字は、一つの結論へと彼を導く。」

「スペードは戦士の剣、クラブは戦争の兵器、ダイヤはお金を意味する。けれども、それは、私のハートのかたちではない。」

He deals the cards as a meditation.
And those he plays never suspect.
He doesn't play for the money he wins.
He don't play for respect.

He deals the cards to find the answer.
The sacred geometry of chance.
The hidden law of a probable outcome.
The numbers lead a dance.

I know that the spades are the swords of a soldier.
I know that the clubs are weapons of war.
I know that diamonds mean money for this art.
But that's not the shape of my heart.