移植キャンセルの現実に
あまりにショックを受け、

すっかり母親に
連絡するのを忘れていた。







昨日母からの電話に
“ハッ”とした。






そう言えば今回は私の実家に
ワンコを預けるお願いをしていた。






「どうなってるの?
そろそろ移植の頃じゃなかったの?
まだ日本にいるの?
ワンちゃんはいつ預かればいいの?」






矢継ぎ早に繰り出される質問に
重々しく答えた。




「えっと、その・・・
今回は無しになったの。
内膜があまりに薄すぎて、
無理に引っ張らずにリセットさせて
また来月1からやることになりそう・・・」





「それならそれですぐに教えてよ。
こっちにも都合があるのよ。
来月は京都旅行があるから無理かもよ」




「・・・。」





「内膜が薄いって大丈夫なの?
もう無理なんじゃないの?
まだやるつもり?」




「一応、まだ凍結胚はあるし・・」




「難しいことわからないけど、
その凍結胚は絶対に移植しなきゃならない
契約がある訳じゃないでしょう?」






「契約とかそういうことじゃないよ」




「もういいんじゃない?
あなた、里親登録もするんでしょ?
お母さんはそっちは賛成よ。」




「それは考えているけど、
お義父さんがよく思ってないみたいだし。」





「とにかく前にも言ったけど
お母さんはあなたの出産は反対よ。
お母さんがあなたの年齢の時、
あなたはもう社会人だったのよ。
その年齢で赤ちゃんなんて考えられないわ。
出産なんて無理よ。命落とすわよ。
今回キャンセルには意味があるんじゃない?」





「・・・。」




「これをきっかけに諦めたら?
キャンセルになって良かったのよ。」





「お母さんの気持ちはわかってる。
だから何となく連絡しづらかったの。
でもどうするかは主人と話し合うから。
来月はワンコはペットホテルに預けるから
大丈夫。今回はごめんね。」





そう言うのが精一杯だった。




こう言われるのが
わかっていたから、

キャンセルせずに
薬を続けようかと悩んだ。





でも前回はそれで失敗してるし、
無理して移植しても意味がない。





母に理解しろとは言えないけど、
理解して貰えないのはとても辛い。





一人ぼっちのあたし・・。




いや、
主人だけがわかってくれてる。





それでいいじゃないか。




薬の副作用の酷さで
挫けそうになってたけど、

母の反対にあい
逆にこのまま終わりたくない!
という気持ちが湧いてきた。





薬もあと僅かだ。




頑張って飲んでやろうじゃないか!




飲み終わったら
きっちりリセット出来るはずだ。




今回はカウフマンだったと
思えばいい。




むしろホルモンバランスが
整ったはずだ。




次の生理がきたら
今度こそ上手くいく!



そう信じて頑張るのみ!!