昨日は母の日。
皆お母さん孝行したかな?
私は昨日は実家に帰れなかったんで、電話だけして、近いうちになんかご飯でもご馳走しに帰る予定。
皆さ、大人になると離れて暮らしてたり自分の生活のペースとかで、お母さんとちょっと疎遠になっちゃう場合も多いと思う。
でもさ、私わかってる。
あんたたち、皆、お母さんのことが大好きだってこと。
どんな人生送ってようが、皆、木の股から生まれてきたわけじゃない。
「お母さん」から生まれてきたんだものね。
もちろん私もお母さん大好き。
私が前に書いたお母さんの記事http://ameblo.jp/soyonoameblo/entry-10011602995.html
を読んでから、今日のこの記事を読んでね。
時々無性に戻りたくなる。
子供の頃、学校からの帰り道。
家が近づくにつれ、美味しそうなカレーの匂いがどこからかして、
「うちだったらいいな~」なんて思いながら玄関のドアを開けたら、お母さんが台所でカレー作ってて。「おかえり」っていつもみたいに笑ってくれる。
そんな何でもない毎日に。
私が作るカレーは甘口のハウスバーモントカレー。
安っぽい味だけど、私の中ではこれが「カレー」。
小さい頃からお母さんが作るカレーはこの「ハウス バーモントカレー」だったから。
もっと色んな香辛料たくさん使った本格的なやつの方が美味しいのかもしれないけど、私はこの水っぽいしゃばしゃばのカレーが好き。
お母さんの味ってさ、やっぱりいいね。
ずっとその味で育ってきたから、体が覚えてるんだ。
私、最初料理できなかったんだけど、
ある程度基本の「てにをは」を覚えれば、案外楽にどんな料理もできるようになった。
それってやっぱりお母さんが小さい頃からちゃんと私に「お母さんの味」を教えてくれたからだと思う。
私の味付けはやっぱりお母さんとそっくりだから。
どんな高いものを食べても、結局一番美味しいと思うのはお母さんのきんぴらごぼうだったりする。
でも一度だけ、そんなお母さんの料理が嫌になったことがあった。
中学生の頃だった。
私のお母さんはよくお弁当に煮物なんかを入れてた。
友達は皆色とりどりのお弁当。
私は煮物の汁がご飯に染みちゃったりする、茶色い地味なお弁当。
それがなんか無性に恥ずかしくなって。
お母さんに「これからお弁当は自分で作る」って言った。
突然のことにびっくりしたみたいだけど、お母さんは何も言わなかった。
それからは自分で早起きして色とりどりのお弁当を作った。
当時ほとんど料理らしいことは出来なかったけど、卵焼きを焼いてみたり、ウィンナーをタコにしてみたり、フルーツだけ別にタッパーに入れてみたりと好きなように。
でもそれを昼に食べてもそんなに美味しくは感じられなかった。
お弁当を作るためにはいつもより1時間ほど早く起きなきゃならない。
眠くて眠くて朝はギリギリの日が続いた。
ある朝。
起きたらすでに8時前。
あぁ今日はお弁当なしやぁ・・・とノロノロキッチンに行くと、
テーブルの上にはお弁当が。
「あんた、起きてこんから」
お母さんは洗い物をしながらちょっと笑って言った。
私はなんだかすごく恥ずかしくなって。
毎日毎日朝早くからお弁当を作ることがどれだけ大変か。
その作ってもらったお弁当を恥ずかしく思った私が一番恥ずかしかった。
「いってきます!」
お礼を言うのが照れくさかったから、すばやくお弁当をつかんで登校した。
その日のお弁当もいつも通り地味だったけれど、本当に美味しかった。
お母さんに作ってもらうお弁当は世界にたったひとつ。プレミアつきの私だけのお弁当だった。
私が受け継いだお母さんの味、愛情。
私は自分の子供には教えることはできないけれど、これから愛する誰か。
それは恋人だったり友達だったり、もっと色んな人。そして私自身も。
そんな大切な人たちに料理を作ることは私が受け継いだものを皆に分けていくことなんだろうなと思う。
そしてそれはとても「あたたかい、美味しいもの」であって欲しいと私は願う。
「家族」が一緒に過ごせるのは人生の中で、ほんの短い期間でしかない。
そんなことも知らずに、両親に甘えたり頼ったり、喧嘩してむくれたり、兄弟と遊んでみたり、時には家族っていうものを疎ましく思ったりしながら、宝物みたいな時間をどんどん消費してしまった。
家族と過ごす時間は、決して尽きない、永遠に湧き出る泉のように思ってた。
その時その時が「価値のあるものだ」と気づかないことが、生きていくということなんだろうけど。
大人になって、どうしようもなく行き詰った時。
ひとり、唇からこぼれた言葉は「お母さん・・・」だった。
その言葉を口にするだけで、胸の一番弱い部分がぎゅっと絞られて、でもあったかくなって。
凍った気持ちがじんわり溶けるように涙がぼたぼた落ちた。
私は号泣しながら何度も何度も「お母さん・・・お母さん・・・」と呼び続けた。
耳が痛いと泣く小さな私を、夜通しあやして撫でてくれたあの手が心底恋しかった。
魔法の言葉、「お母さん」。
私はいつまでも子供なんだ。
きっと死ぬまで。
わんわん泣いていたあの小さい頃のままなんだ。
きっと皆も同じ。
それでも私たちは平気な顔をして毎日過ごしていく。
大人のフリをして歩いていく。
胸の奥の、誰もさわれない、甘い蜜がとろりと詰まった場所に、それぞれ大切な「お母さん」をひっそりと抱きしめて。