北風ふきすさぶ東京。


ビルとビルの合間を埋めるように咲く街灯。


雪が降る振るとばかり聞くけれど、去年のような大雪はまだ、ない。


コートの襟を立て、身体を丸め歩いていく。


そう。


また、一人だ。


独り、と書く方が正解かもしれない。


行きかう人々はどうしてこんなにも幸せそうに見えるんだろう。


待っている人がいるから?


時間を共有する仲間がいるから?


どちらにせよ、重い脚をひきずる私は。東京にそぐわない人間であることだけよくわかる。


ズキン


痛みが走る。


これは業だ。


業の痛み。カルマにとらわれた私はどこに行くんだろう。





さまよい、たどりついたその入り口は、想像より雑然としていた。


「このビルの…五階…」


みあげると。

街明かりを反射したグレーの夜空に、吐く白い息が吸い込まれていく。


グレーの隅っこ、星が所在なげにチラリ瞬いた。






5階。


エレベーターを降りるとすぐ靴置き場が。


入り口のドアの前に、だ。


意表をつかれながらも、そっと。


そっとドアを、開けたのだ。



「こんばんは」


案内されたテーブルの上には、骨だ。


おそらくは…大腿骨。


どうしてこんなもの…


いぶかしがる私に、男は言った。


「こちらでお着替えください」






通された部屋には、ポツンと上下セットの寝巻のようなものが置かれていた。


ユニ…クロ…だと??


ひどいめまいにおそわれたわけは、ユニクロだからじゃない。


同じ。


まったく同じセットを私も愛用しているからだ。


そう、確か昨日も着た。


このユニクロセットを。




上着もデニムも脱ぎ捨てる。


自室以外で服を脱ぐという行為。


見慣れない部屋で脱いだ服は妙に色っぽい。




部屋の片隅には。


恐竜の化石のようなものが鎮座していた。


なんだ…これは…


いや、そんなことはどうでもいい。


カルマだ。業だ。


自嘲気味に目を閉じる。


聞こえる北風のうねり音。


外は、一月。


そして、私は。


ユニクロを着て、ここにいる。



ガチャっ



整体師 「こんばんはーあんどうさんーじゃあ今日から背骨☆整えましょうねー☆」


私 「はーい☆よろしくおねがいしますー☆」




そう!


ぜんぜん股間使ってねーのに???


股関節に痛みが出て???


そしたらどうも姿勢が悪いことからくる痛みみたいで???


整体院に通い始めましたー!!


さぁどうなるあんどう!愛の背骨折り体験、幕開けするよー!!!



次回 「あぁ!ダメ!初対面でそんな!(パキ) そんな激しくしちゃいや(パキポキ)」の巻。





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