「もう私達も今年で○○歳やで・・・色んな意味でギリやんなぁ・・・」


 ユウ子は電話口で寂しそうにつぶやいた。


てか、つぶやくな。んなもん。


「私、最近街歩いててもキャッチにすら声かけられへんようになった・・・・」


 男達の視線が自分をスルーして、若い子の方に一直線に向きまくることを嘆くユウ子。

深く頷く私。


男って。


男って!


結局は若さ溢るる若人がいいのですか!老兵は消え行くのみですか!




女友達とのHotな話題に、「あがき系」がある。

やれあのファンデは若々しい艶が出るだの、このサプリが老化を防止するだの、垂れてきた乳蘇生計画だの。


前向きな後ろ向き?

ポジティブなんだかネガティブなんだか皆目わからない。

stop the 老化。

それに命懸けてる節がある。



独り者の友達連中が、口を揃えて言うのは


「フリーのイイ男ってどこに生息してんの?同じ宇宙船地球号のクルーとして知る権利がある!」


 だったりする。


基本、「イイ男」にはすでに彼女もしくは妻がいて。


ある意味、男が「イイ女」を取り合うよりも、女が「イイ男」を取り合う方が壮絶な気がしたり。





数ヶ月前にかかってきたユウ子からの電話もご他聞にもれず、男関係の話だった。



「最近な、知り合った人がおるんやけど」


「どこで?」


「まぁそれはええやん。」



 この時点でおかしい。


5W1H(いつ どこで 誰が 何を なぜ どのように)を答えられない出会いほど胡散臭いもんはない。大体そういう出会いって、結婚式では「友人の紹介」っていうのに強制変換される。



「それで?」


 まぁ怪しかろうがなんだろうが、そこはユウ子の意を汲んで優雅に聞き流す私。大人の余裕?みたいな?


「それがなー」


 ユウ子が電話口の向こうで身を乗り出してくるのがびんびん伝わってきた。


回線を凌駕する女、ユウ子。鼻ワーラー女は伊達じゃない!(この記事
参照。)





「すごい私の事気に入ってくれて、すぐに付き合おうって言ってくれたんやけど、

やっぱりすぐに返事したら軽く思われるやん?だから『考えさせて・・・』って言ってるんやけどなー。

なんていうか、保留?」



 あぁ、なるほど。これが言いたくてしゃかりきに電話してきたわけね。理解。


私だったら保留とか以前に、その場で結婚式場に予約いれるけどね。すかさず。根こそぎ。



「そうなんや。すげー。てか何歳の人なん?」


「30代後半かな?」


何そのあいまい推定年齢グラデーション。


年齢くらいもっとこうストライクど真ん中で来いよ。

36歳!とか38歳!とか!



「え?だから正確な年齢は何歳なん?」


「それはわかれへんねんけど、多分30代後半。」


「ふ、ふ~ん・・・・じゃあ何してる人なん?」


「○○辺りで働いてる人。」


「じゃなくて。職種とかそういうの」


「サラリーマンかな?スーツ着てるし。」


「・・・」



 なんとなく怪しい雲行き。


「デートは結構してるん?」


「うん。らぶらぶやでー」


「今日日曜日やのに、デートせぇへんの?」


「週末はいつも忙しいみたい。」



・・・・。


私はここで極めつけの質問をしてみた。


「あんた、彼の携帯番号知ってる??」


「あ、そういえばメアドしか知らんなぁ」




この数週間後。


彼が実は妻帯者だったということが判明し、ユウ子と彼に永遠のアディオスが訪れた。




私達くらい気合が入った年齢になると、


「もう付き合う相手ってより、結婚相手探してる会」みたいな。


人生懸かってるのおお!!!!



私は女の人生っていうの?そういうのは途中参加だから、いまいち追い詰められる感がよくわからなかったんだけど。


戸籍も変わって、実際に男性と結婚できるようになった今。


お母さんが「あんたも早く身を固めなさい」とやけに連発する。


どうしたマイ・マミー!乱心だよ乱心。


今になって結婚しろと!?


てか誰としろと!?


誰もしてくんないわ!!!


こんなドブみたいな性格&すくいようのない年齢の私!!




年齢も脳内も色んな意味でギリな私とユウ子。


今日も「1歳でも若く見られる方法」を求めて研鑽の日々を送るのであった。




「あ、そういえばやっぱ年齢にはコラーゲンごときじゃ太刀打ち出来んらしいで。ヒアルロン酸が鬼熱いって!」


ユウ子の耳より情報発動。


「まじでー!?早速買う買うヒアルロン!」



翌日。5歳は若返るというヒアルロン酸をガンガン飲んでいる私がいた。5歳も若返ったら、今17歳の私ってば12歳になっちゃうー。



・・・・年取るってなんかリアル!!