さて、やって参りました(体温編)
今回もまた、ウチの兄さんってば何かやらかしてる感ありますがー……
ほら、式が近付く花嫁の心情?的なモノを書きたかったのですけども。何だか別の方向に……(待て
しかし今回もまた素敵優男がご降臨しとりますよ皆様!!←
こーんな旦那様なら、両手を上げて迎えるんだけどなぁ(笑)
という訳で参りましょう。
挙式を前に兄さんてばウジウジわーん!なってるよ!!それを優しく包むのはやっぱり優男のお仕事だよねっなーんて理想の旦那様図が成り立ちつつある優男が素敵すぎる!と声高らかに言える優男万歳な方はどぞっ!!
【正しい気持ちの伝え方(体温編)】
二人の挙式まで後一週間となった頃。
イェソンの様子が少しおかしくなった。それは周囲が懸念していた通りの事でもあったのだが、起こって欲しくは無かった現象………
[マリッジブルー]
結婚が決まった頃に一度訪れたソレ。
あの時はキュヒョンが日本へと旅行に連れて行き、イェソンの心を落ち着かせた。まぁその結果、帰国後別居となるような事態に陥ったのは記憶に新しい。
それでも色々な困難を経て、気持ちも強く持てた……筈だったのだが…………
「………ごちそうさまでした。」
カチャリ箸を置いての言葉に、リョウクとソンミンは思わず出そうになった溜息を飲み込んだ。
「ヒョン……今日はちゃんと食べるって、キュヒョナと約束したんでしょ?」
リョウクが言えば、それにはプイッとソッポを向いて無言の抵抗を見せてくる。
子供かとツッコミたくなる所だが、それにも我慢を決め込んで。今度はソンミンが口を開いた。
「これ、リョウギが食べて欲しいなぁって気持ちを込めて作ってくれたモノなんだよ…せめてもう少し食べないと。」
ね?なんて顔を覗き込む様に言えば、潤りと揺れた瞳とかち合った。
瞬間マズイ……ソンミンはと思う。
いくら気持ちは吹っ切れたとしても、これは……
「…………お腹、いっぱい……だめ?」
コトリと首を傾げて。潤んだ瞳でジィッと見つめての言葉。
満腹だからもう食べたくない。それでも食べないとダメなのかと。言葉に起こしてしまえば我儘なだけのモノなのに。
「ソンミナ………だめ……?」
甘える声に思わず胸がドキリとする。
逸らすにも逸らせない目が許して?と愛らしく潤んでいて。
「あー……、えーと……お腹いっぱいなら、仕方ない……よね…」
瞬間、ニッコリ笑顔でコクリ頷くイェソンにキュンッとなる胸は仕方のない事だろう。
既に消した想いとはいえ、惚れた弱み……とでも言うのだろうか?こう甘えられては、許してはイケナイ事まで許してしまいたくなる。天然の甘えん坊程怖いモノは無い。
わーいと抱き着いてきた体に、何だかまた再熱しそうな心を押し止めて。ハイハイとその背中を優しく撫でようとした時。
「……………れたいの……?」
「……………え?」
それまで黙っていたリョウクの小さな呟きに、二人はピタリ動きを止める。背筋に冷たいモノを感じつつ、ソーッとリョウクを見れば。そこには俯いてワナワナと肩を震わせるリョウクが一人。
「えっと……リョウ……」
「二人共……そんなにボクに……怒られたいの……?」
ソンミンの声を無視しての声は絶対零度の音を含み。
「人が優しく言ってあげてれば……」
スッと上げられた視線は何処までも冷たいモノ。
「あ……リョウギ………えと…」
慌てふためくイェソンに一瞥くれた後。
「覚悟……出来てるよね?二人共………」
ニッコリ微笑んだ顔が、今の二人には悪魔の微笑みに見えた。
「ただいま……って………何してるんです?ミニヒョン…」
玄関からリビングへと繋がる通路。そこに這いつくばる様にして動いていた背中へと声を掛ける。
一発で判るその背中がピクリ動き、ゆっくりと向けられた顔にキュヒョンは思わず身を引きかけた。
「…………雑巾掛け………」
ポツリ一言だけ言うと、またゴシゴシと床を吹き始める。
悲壮感漂う表情に瞬時に頭に浮かんだのは、リョウクの顔。
「……リョウギがキレたんですか…」
呆れにも近いその声に、キッとソンミンの鋭い目線がキュヒョンへ飛ぶ。
「っお前が悪いっ!お前がヒョンをしっかり叱らないからっ」
そこまで言って、ハッと口を噤んだソンミンに苦笑が漏れた。
やはりかと予想が当たってしまった事に肩を落としたくなる。
式が近付くにつれて、食欲が減退し始めたイェソン。
それだけでも心配なのに、周囲の言う事を聞かなくなった。
仕事は淡々と熟すが、それ以外の事は全て反抗する。
それも、甘えながら……
「どうにかしろよ……お陰でオレは床掃除だ。」
イェソンの我儘を許してしまうのはソンミンだけでは無い。
確か同じ光景を、二日前にウニョクを通して見た気がする。
普段から綺麗にしている床を、それも夜の11時を回ろうとしている時間に掃除させられるその苦痛。
見ているだけで申し訳無さを感じてしまう所だが。
「リョウギの罰を僕が止められるとでも?」
実は怒らせたら二番目に怖いのではないかと言われるリョウク。そのリョウクがキレたとなれば、そこから発生した命令とも言える言葉は絶対なのだ。兎角この11階では……
「これだけで収まっただけでも、良しとしないと。」
ソンミンの前へとしゃがみ、ね?なんて言い聞かせる姿は一番年下とは思えないモノ。
「またワインを捨てろと言われなかっただけ、マシでしょう?」
以前二人でリョウクを激怒させた時、大切にしていた高いワインを10本程。彼の目の前で全て開けさせられ、流しの中へと破棄させられた事があった。
それよりはマシだろうというソレに、確かにとソンミンも渋々頷く。
「で……僕の奥様は、どんなお仕置きを?」
大の大人が二人。床に座り込んでコソコソ話す姿は何だか虚しさを呼ぶ。
だが小声になってしまうのは、人の性とも言えるかもしれない。
「あー……今回のは、ヒョンにはちょっとキツイかも…」
ソンミンの曇った表情に、キュヒョンも少し背筋を正す。
そして次の言葉を聞いたキュヒョンは、そのまま自らの額を押さえる事となった。
時刻はもう深夜の二時を回ろうとする頃。
電気を消した部屋の扉が、カチャリと音を立てて開かれた。
そのまま静かにパタンと扉が閉まる音が室内へと響き渡る。
季節的にはもう夏と言っていいだろう。
暑さの増す室内は、窓だけを開け放った状態で仄かな暑さを帯びさせる。
ゆっくりと近付いてくる気配に、やっぱりなぁとキュヒョンは瞳を閉じたまま。それでも動く事無くベットへと身を沈めたまま。薄手のタオルケットを捲る動きと同時に、背中に感じた熱………
ベットと体の間に滑り込んできた腕に、少し体を浮かせてやって。そのまま抱き着いてくる腕に、思わず苦笑が漏れた。
「………寝たふり……ばか………」
苦言を呈す口は、そのまま背中へと押し当てられて潜もる。
ピタリと体が密着して、それだけで暑さを感じるけれど……
それすら愛おしいと思うのは、自分の大切な存在だからかもしれない。
「僕と話すのも一緒に寝るのも……禁止なんじゃ?」
リョウクが出したお仕置き。
それは、二日間キュヒョンと接する事を禁止するというもの。
あの別居の時と余り変わらないお仕置きに、一番怒らせたく無い長男と似たリョウクの性格に思わず額を押させたのは数時間前の話。自室へと戻る様に言われたイェソンは、それでも数時間が限界だったらしい。
「別居の時は我慢が出来て、今日はもう我慢出来なくなったんですか?」
意地悪に近い言葉かもしれない。
それでも、リョウクや周りの気持ちも判るから。
だから言った言葉に、イェソンはキュヒョンの背中へと顔を押し付けたままグリグリと首を横に振る。
「………貴方の気持ちは、十分に知っているつもりです…」
回された腕……そこを優しく撫でてやると、ギュウッと音が出そうな程の強い力で抱き締められる。
こうして甘えてくる腕に、どうにも弱い。
だけど今回ばかりは言わなければならないから……
「でも……皆の気持ちも……もう少し、判ろうとしないと。」
近付く挙式に、不安と緊張からイェソンの中で情緒が不安定となっている。気持ちが一杯になり過ぎて、食事が喉を通らなくなり。何に対しても苛立ち反抗したくなっているのは手に取る様に判っていた。
未だ異論を唱える者や、攻撃してくる者もいる。
それでも表面上では強がって見せる心の、弱い部分がメンバー達だけに出て来てしまったのだ。
それが判るから、苦しさが判るから……優しさで包んでやっていたけれど。
「リョウギは貴方が何だったら食べてくれるだろう……悩んで考えて、今日の食事を用意してくれた筈です。」
今日は食べやすい様にと、野菜スープの中にライスが入れられていた。他にも胃に優しく、食べやすく切り分けられた果物や魚等が並んでいた事を思い出す。
「心が一杯になると、他のモノを受け入れられなくなる。でも、それは体に悪い影響を与えてしまう……リョウギはそれを知っているから、頑張って考えてくれた………そうでしょう?」
暗闇に優しい声が響き渡る。
落ち着いたその声と、一定のリズムで叩かれる腕。
それがイェソンの心を少しずつ、落ち着かせていく。
「ミニヒョンだって、同じです。貴方の苦しさを判っているから、その甘えた心を許そうとしてしまった。リョウギに怒られる事を覚悟の上でね?」
ウニョクもそうだと言って、キュヒョンは笑う。
こうした優しさは本人の為にはならない。それでも優しさを向けたくて、だから許してしまう彼等なのだと。
「その優しさを利用しちゃ……いけない。」
無意識だとしても。
その優しさに甘えるにも限度があるのだ。
キュヒョンは回された腕を解いて、体を反転させるとイェソンと視線を合わせた。
暗闇に慣れた瞳は、今にも泣き出しそうな瞳を捉える。
その瞳に魅入りそうになるけれど、今はまだ……
「ここ数日……貴方は誰かにありがとうと……そう、感謝の心を向けましたか?」
「……………あり、がとう……?」
言われて気付く、感謝の心。
周りが甘えさせてくれる事に身を委ねて、それが当たり前だと。苛立つ心のままに、その優しさすら当然だと感謝の言葉すら告げなかった……感謝の心すら忘れていた事に、気付かされる。
「優しさはね?当たり前じゃ無いんです……与えるから与えられる。与えてあげたいと思うから、与えて貰える。」
サラリ撫でられた目元。優しく微笑むキュヒョンの表情は、イェソンの一番大好きな彼の顔……
「人はね……人に必要とされる為に生きてるんじゃない……」
相手が必要だから……大切だと思うから、寄り添って生きるんです………
「皆、貴方が必要だから優しくなれる……大切だから、寄り添ってくれる。」
それなのに、大切なその心を汲み取れないのかと。
与えられるばかりで、それを当然だと思うのかと……
「もし貴方が、寄り添う心を理解出来ないのであれば……そんな貴方を……」
僕は、愛せない………
「………泣かないで下さい……これは、貴方に教わった事ですよ?」
ホロホロと涙を零して、唇を噛み締める姿に笑みが溢れる。
だって、何時だってイェソンは人を必要とするから優しさを溢れさせていた。
誰もを魅了する笑顔で、その優しい心を皆へと。
だからこそ、人を必要と出来るこの相手だからこそ。
好きになったんだから。
「貴方はね……皆が必要なんです。だから、皆も必要としてくれる……そんな貴方の周りは、何時だって温かい心で溢れてる。」
必要だから、必要とされる。
優しさを与えるから、同じだけのモノを貰える。
「与えないまま欲しがるのは……それは、違う……」
判りますよね?愛される貴方だからこそ………
零れたままの涙を掬い上げる様に優しく唇を押し当てていく。
頬に瞼に、苦しさから笑顔すら見せなくなったその顔全てへと。甘く優しい唇が降り注いでいく。
「リョウギの料理……美味しかったですか…?」
「………ん……優しい……味、した……」
イェソンの言葉にキュヒョンは微笑んで、噛み締めて赤くなってしまった唇へと軽くキスを贈る。
「ミニヒョン……貴方の我儘に、どんな顔…してました?」
「…………困って、笑ってた……」
その声に、またキスを一つ。
「ほら……ちゃんと見てる……感じてる。」
本当は感じていたモノを、呼び起こしてくれるキュヒョンの声。それは、見えなくなっていたイェソンの心の、奥深くに押し込んでしまった優しさを引き出す言葉。
「自分の心だけに堕ちないで……もっと必要なモノを……与えて貰えるモノを、素直に感じるその心を……思い出しましょう?」
不安と緊張に押しつぶされそうな時。
優しさは何時だって傍にある。それすら汲み取れない心は、唯の気侭でしかない。優しさの中であって、律してくれるそんなキュヒョンだからこそ……好きになったのだと。
涙のままイェソンはキュヒョンへソロリ目を向けるて。
「……俺……ひどい事…してた……」
言われて改めて気付かされる事もある。それでも、本当は自分で気付かなければイケナイ事……
「………ごめん……リョウギ……ごめっ……ン、ミナ……」
皆、ごめん……
「それは、本人達に……言わないと。」
「………キュヒョナ………きら……に、ならな……」
貰ったモノに気付かないまま、ただ自分を主張した自分を嫌いにならないで………止まらない涙を零したまま、訴えてくる瞳が切ない程に、愛おしい。
「……思い出せる貴方を……周りの心に触れて泣ける貴方を。」
そんな貴方を愛してるから……そんな貴方だからこそ。
「もっと愛したとしても……嫌いになんて、ならない。」
想いやる心は難しい。
上手く伝わらない事だって、沢山ある。
それでも、こうして悩んで考えて。涙を流せる優しい心が……
その深く人を思える心が、大事だから。
堕ちた心を戻せるのは、本人でしか出来ない事。
周りの優しさや言葉はその架け橋でしか無い……
それを正しく汲み取れる心を、皆が支えるのだと。
また一つ、強い想い達に触れ合って。
イェソンは笑顔を増やしていく。
「明日………皆に、ゴメンなさいって………」
未だ泣き止まない、それでも久しぶりの優しい心を取り戻した心へと。
「違いますよ……ありがとうって……皆に、ね………?」
一緒に優しい心にありがとうを言おうと。自分達にとって、とても大事な人達だから。
そう触れた優しい体温と、溢れる優しい心達に。
イェソンは感謝を込めて、涙に濡れた瞳を閉じた。
※そろそろ佳境に迫ってきました、正きも(体温編)
如何でしたでしょうか?優しさって感じる事が難しい。感じてるつもりでも、心が許容範囲を超えるとソノ姿が見えなくなる。それを思い出させてくれるのは、やっぱり優しくも厳しさを持った旦那様のみなのですねぇ(ハイハイ
ラブい二人の結婚式まで、残るは後一週間……
ブーケは一体誰の手にっ(ソコかいっ←
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