少し期間が空いてしまいましたが。
今回は(深愛編)でございます。



このお話も残す所、あと数話……
このサブタイトル(~編)と付けるのに実は結構苦労しておりましたよエエ(笑)
それも後少しで終わってしまうのですねぇ……
なーんてしみじみ言ってても進まない!!
さて。披露宴の続きでございます。
なんやかんやとサプライズだらけのこの披露宴。
次は何をやらかしてくれる事やら…


それでは参りましょうっ!!
期間空いたけどまだまだ楽しむ準備は出来てるよっ!ほろ酔い気分で騒ごうじゃない?二人に祝いの言葉をあげるんだーーいっなーんてグラス片手にダンスが大好きだと豪語出来る方はどぞっ!!(は?







【正しい気持ちの伝え方(深愛編)】



挙式からして一般とは異なったこの日。披露宴は輪を掛けて異なっていたというか……まだまだ皆の女装等は序の口だったと、この日二人は思い知らされる事となった。
そしてまたそれは、一生忘れる事の無い深い想い出ともなる……


「ジョンウナ、緊張……抜けた?」

楽しむ事が好きな人間達が集まったこの場。先に余興だと女装した後輩達が自分達の曲を本気で歌い踊る様に、イェソンは呆気に取られて見つめていた。そこに声を掛けてきたのは、やはりというか女装をしたイトゥクその人。

「抜けたっていうか……ビックリした。」

言いながらも目線を彼へと移しジーッと見つめる先。イトゥクは栗色の髪をウィッグで自然と横へと纏めており、その身は仄かな灰色の生地で白い肌を覆い隠していた。

「………で、貴方は何でまた着物を?」

窮屈だろうに、髪と同じ様な色の帯をキツく締め、その薄い灰色の着物は足元と袖辺りへと金の刺繍が施されている。
胸元から裾までを、これまた薄い水色で染め上げられた部分がその見事な刺繍を際立たせていた。

「だって一度着てみたかったし……」

こういう時のイトゥクはまるで子供の様だ。そう二人は思う時がある。嬉しそうに袖を掴み着物を見せる姿は天使と呼ばれるに相応しいモノ。

「孫にも衣装……ってぇ言葉、確か日本にゃあったなぁ。」

後輩達に混じり、自分達の曲を踊り出すウニョクやシンドンを面白そうに見つつ。そんな事を無遠慮に言えるのはこの会場でただ一人だろう。

「孫?オレ、孫じゃないけど。」

ポカン素っ頓狂な事を口にするイトゥクに、イェソンも可愛らしくコクコクと頷く。それを横目に何故ヒチョルがそんな言葉を知っているのかと若干驚きながらも、キュヒョンはワインを傾けつつヒチョルを仰ぎ見た。

「ヒョンは一人タキシードですか……」

黒のタキシードをスマートに着こなしたヒチョルは、窮屈そうに細いネクタイを緩めている。

「俺様が女装なんざしたら……ここに居る全員が可哀想だろ。」

ニヤリ笑む姿は何とも男らしい。が、言ってる事はただの俺様道でしかない訳で。
から笑いしか出ないキュヒョンと、男らしい笑みに思わず見とれたイェソンとイトゥク。
そんな三人を尻目に、ヒチョルはシンドンへと目を向けた。

それまで後輩達と騒ぎつつ踊っていたシンドンはその視線に気付いたのだろう。ピタリ動きを止めると何処に持っていたのだろう、マイクを取り出し流れる音をストップさせた。


「それではこれから、新郎新婦へと皆様からの祝辞をお届け致しましょうっ!!」


これまた大々的とばかりに声高らかに言い放ったかと思うと、それまで騒がしかった会場が一変し、緩やかなワルツの音が会場内へと響き出す。

「…………ヒチョリヒョン…?」

戸惑いを隠せないイェソンへとヒチョルは先程とはまた違った笑みを垣間見せた。これまで時間を掛けて打ち合わせをしてきた式。その式がイェソンの知るモノとは全く異なるモノになっているのだから、仕方の無い事だろう。それさえ無視する様に、ヒチョルはイェソンの手を取り席から強引にその腰を上げさせた。

「普通じゃ、面白くないねぇだろ……?」

フッと微笑む姿に思わず息を飲む。ヒチョルはこうした笑みで人の心を掴むのだ。

「ほら……皆待ってんぞ。」

そのまま勢い良く押し出された場所。
先程まで広がっていた客席は手際良くスタッフ等が端へと寄せ、そこには小さなダンスフロアが出現していた。
先に手を差し伸べてきたのは年下で、だけどとても大切な仲間として共に時を過ごしたユノ。その彼が手を差し伸べていて。

その手に誘われる様に差し出したイェソンの手が、強く引かれてダンスフロアの中央へと導かれる。



「結婚って聞いて、正直ビックリした。」


ニッコリ笑む姿は彼独特の、優しく誰もを包み込む大きな心を感じさせる。

「何時も真面目で、時々危なっかしくて。ボーッとしてるヒョンを、俺は支えたいって思ってた。」

リズムに乗って軽やかに踊り出すユノに、イェソンはどうにか追い付こうと必死だ。こうしたダンスなんて初めての事。不慣れな足元が覚束無い。それでも懸命に追い付こうとする足を、ユノはスマートに先導していく。

「ずっと、心配だったって……知ってた?」

気軽に声を掛けてくれるユノ。落ち込んだ時にはその強い微笑みで、大丈夫。そう言ってくれる彼に、イェソンは何度となく救われた。

「違うグループだって、俺はヒョンを……イェソニヒョンをずっと守りたいって……思ってたよ……?」

告げられた言葉はずっと感じていた想い。だから胸が熱くなる……ユノは誰もを守ろうとする、とても強い男なのだと。
改めてその想いを受け止めて。

「だけどもう、その心配は無さそうだなぁ…」

ニッコリとまた微笑んだその姿に。女装をしたままの姿だというのに、元の彼の姿を見た気がした。

「キュヒョナになら、任せられる。」

だからヒョン……

「ずっと、幸せに……」

心からの言葉。それにまた目頭が熱くなった。
前は辛さや悔しさから流していた涙が、今は違った形で流れ出てくる。それを止めようとはもう、思わない……

「ほら、チャンミナが待ってるよ?」

クスリ笑んで不意に腕を離されて。倒れかけた体を支える様に進んできたのは、昔から可愛がっていた弟の一人。


「貴方は本当によく泣く……綺麗な顔が台無しですね。」


体制を整えたかと思うとチャンミンは恭しく膝をつき、そのまま手の甲へと唇を触れさせた。これまた女装をしているというのに、何だってこの男はその素振り一つで男前に見えるのだろう?
イェソンの思考を呼んだのか、チャンミンはフッと笑むと軽く肩を竦めて見せた。

「僕の男前は、昔からです。」

憎たらしい言葉はヒチョルに匹敵するかもしれない。しかしそれがまた嫌味に聞こえないのだからタチが悪い。

「僕の他にもまだまだ言葉を贈りたい人達は沢山居ます。ですから、僕は一つだけ……」

メロディに合わせて腰を取られて。先導するその流れにイェソンはただ無言でチャンミンを見上げた。

「貴方は人を幸せに出来る力がある……だから……」

ソッと耳元へと唇を寄せられて、一言。


「僕の親友を、ずっと幸せにしてやって下さいね……」


目を見開くイェソンへと、チャンミンは一つ綺麗に片目を瞑って見せた。こうして相手の事を任される言い回しは殆ど耳にしなかった。だからこそ、逆に嬉しいのだイェソンは。

「………ん……約束…」

守られてばかりだけれど、キュヒョンだってまだ年は若い。自分よりも若い彼なのだから、絶対に支えが必要になる時がある。それを任された様で、認められた様で……


「俺……キュヒョナの事、幸せにする。」


潤んだ瞳はそれでも強い光を内に秘めたまま。その瞳にチャンミンは同じ様に嬉しそうに微笑んで、次の相手へとイェソンの手を導いた。



流れる様に皆からの賛辞は続く。イェソン同様、同じフロアで同じ様に友人達と踊るキュヒョンは何を言われているのだろう?気にはなるが、こうした言葉を直接聞けるこの時間がとても大事なんだと思う。だから今は皆からの言葉に耳を傾けて……
次は誰だろうと振り返った先……
そこには恥ずかしそうにドレスの裾を少し上げて、ペコリお辞儀をするファンの姿があった。

自分達を応援してくれていたファン達……その声も届けてやりたい。そんな想いからのヒチョルのこの図らいだったのかと、この時初めてイェソンは気付く。
そのファンへと手を差し伸べて、イェソンは柔らかく微笑んだ。

「今日は俺達の式に、ありがと。」

告げられて、その少女はほんのり目元を赤く染める。
そしてフルフルと首を振るのだ。

「私がありがとうなんです…」

「……え…」

コテリ首を傾げたイェソンに、少女は目元は染めたまま。それでも楽しそうな笑みを見せるのだ。

「そうやって可愛いオッパを見れるのを、いつも楽しみにしてたんです。」

甘える姿も怒る姿も、泣く姿も拗ねる姿も……その全てが可愛く見えるのだと彼女は言う。そして、色々な事を自分達から教わったと……だけどそれをこれから先、自分達は見れなくなってしまうだろうと彼女は言うのだ。

「でも、二人が幸せになるのを見守れたから…だからもう見れなくなっても……」

「見れる。」

「……え?」

彼女の言葉を遮る様にイェソンは声を上げる。そして向けたのは、彼女が大好きだという可愛らしい笑顔……

「俺達は、終わらない。この先も、ずっと皆と一緒だって…」


約束……


な?なんてまたコテリ首を傾げてくるのだ。そんな姿を見せられたらもう頷くしか無いじゃないか。根拠の無い約束……それでもイェソンの言葉には嘘が無い様に思えるのだ。だからと彼女は言う。

「これからも、オッパの可愛い笑顔……見てるって、約束…」

そう言って離れた彼女の笑顔に、イェソンは優しく頷いた。


次の相手は大人の女性。彼女は落ち着いた表情でイェソンとステップを踏む。

「どんな事も頑張って乗り越える貴方達を、ずっと見てた。一時はね?どうなる事かとも思ったけど……」

クスクスと笑う彼女は自分達をやはり見守ってくれていたらしい。少し寂しさを帯びた瞳が印象的な彼女は尚も言う。

「時々それは違うなってね?思う事もある……人それぞれの考え方は違ったりね…けど貴方達には、今のままで居て欲しいって……私みたく弱い人間にも元気をくれる、そんな貴方達のままで……」

ゴメンなさいね?勝手な事言って……そう告げる彼女へとイェソンはユルリ首を振って。

「俺を……俺達を見ててくれたんだって、判るから。」

きっと見ていて辛い時もあっただろうに。それでも見守ってくれた彼女へと。

「ヌナ……俺達は変わらない。変わらないでいるって、約束。」

年下全開の笑顔を見せたイェソンに、彼女は柔らかな光をその瞳へと宿して。笑顔を向けて頷いた。

そらからもファン達の声は続く。
自分達の言葉に勇気を貰った……幸せな気持ちを分けてくれてありがとう……二人を見る事が何時も楽しみで、元気になれた。
その何れもが本心なのだと判る言葉達……

「落ち込んでいた心を、救って貰った。」

そんな言葉にも出会い、自分達がどれだけの人達に見守られ。
大切なモノを与えてそして、与えられていたのか。その事が改めて胸の内へと広がっていく……

「この日をずっと待ってた……皆で。随分待たせるから、挙式前に思わず泣いちゃったけどね?」

フフッと笑ったその女性が、このダンスの最後の相手。

「でも、待った甲斐……あった。私達を幸せにしてくれて、本当にありがとう……貴方達を私は、私達は…ずっとずっと、大好きです。」

長かった道程を、これからも二人で……

「心の……言葉の伝え方…もう、大丈夫だね…」

彼女の言葉に、イェソンは一度瞳を閉じた後で。踊るキュヒョンへとその瞳を向けて一言。



「……ん………長い間、俺達を…ありがと……」



そのまま彼女へと視線を戻して。


「気持ちを、ありがと。」


人懐っこい皆が大好きな笑顔での言葉に。彼女はその瞳から一筋の涙を零すと、幸せそうに深く優しく微笑んで、キュヒョンの元へとイェソンの手を導いた。






※(深愛編)如何でしたでしょうか?ファン達の声……これは私が皆様から貰った声達でございます。書き切れない声達ばかりで纏まってもいないけれど、二人に直接伝えて欲しかったので……
こんな粋な事をしてくれたレラパパにお礼を言わないとですねコレは(笑)もっと沢山の声達、それはきっともう伝わってますからね。

そこは許して貰うとしてっ!!(ぅおいっ

あ、因みに最後の女性はちこっと私がチラホラですがソコも許して下さいねって…あ、ダメ?(笑)

さて。次は披露宴最後になる……かな?←長過ぎ陳謝





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