続きです。
今回は(光道編)でございます。
長くなった二人の結婚式話。ダラダラ書いてるなぁと反省しつつ、彼等とのダンス。皆様はもう終えましたか?
女性は男装しておりましたからね、そりゃあの兄さんを華麗に先導した事でしょうっ(え
優男さんとダンスしたーって方は後で優男とのやり取りを教えて下さ(やめろ
と、そんな事をツラツラ思いつつー。
それでは本編に参りましょうっ!!
長い披露宴にいい加減お尻痛くなってきたぞ?お酒も残り僅かだし、そろそろお開きもイイんじゃなーい?と言いつつも幸せそーな二人を眺めてたいんだよーっなーんてヤケ食い混じりにヤンヤンしちゃいそーな方はどぞっ!!
【正しい気持ちの伝え方(光道編)】
披露宴には付き物のお色直し。元々は何着かドレスを着る予定だったものの、サプライズの数々にそんな時間も無くなり。
ならばと一度だけのお色直しとイェソンがその身に纏ったのは、上質な黒のタキシード。
白い襟がその細い首を覆い隠し、幅広のタイを絞め。
中には薄い灰色と黒のストライプが入ったベストを着て。
スラリと細い体を一層際立たせるそのタキシード姿に、キュヒョンは柔らかな笑みを向けると、イェソンの肌触りの良い頬をサラリ撫でた。
「ドレスも素敵でしたが、貴方にはその姿が良く似合う……」
そのまま頬に掠めるだけのキスを仕掛けてくるのだから、イェソンは目元をポワリ染め慌てて辺りを見回した。
「……人、いる。」
未だ触られた場所が熱く火照っている。会場入り口の装飾の成された扉の前。そこに二人は立っていた。
「新郎新婦なんですから、これ位は許されるでしょう?」
クスリ笑む姿が何だか何時もよりも割り増しで男前に見える。
それが今彼が着ているタキシードのせいなのか…はたまたこの場の空気の成せる技なのか……
キュヒョンは今、全身を白のタキシードで包んでいた。
同じデザインの色だけが違うモノ。なのに、全く別のモノに見えてしまうのだから色彩効果は本当に凄いと思う。
そんなトンチンカンな事を思っていたイェソンは、腰に腕を回されてまた目元をポワリ染めてしまった。
「ほら、そろそろ時間ですよ……?」
そう。もう終わりが近付いている。その最後にと態々お色直しをしたのだ。
「………みんな、驚くかな…」
ポツリ呟き仰ぎ見てくるイェソンに、キュヒョンはやっぱり彼の大好きな笑顔を向けてやる。勿論それは、イェソンの姿にではない。皆が驚いてくれる事……それを二人は用意していたのだ。それだけは、外せない二人だけのサプライズ……
「全員、泣かせてやりましょ?」
驚くよりも泣かせてやる。大き過ぎる想い達をくれた、それが自分達からのお礼だからと。
悪戯を成功させる前の子供の様なキュヒョンの笑顔に、イェソンは一瞬キョトンとした後で。弾ける笑顔をその顔に浮かべた。
扉が開いた先。そこには既にざわめきが広がっていた。二人の登場に取り敢えずは皆そちらへと目を向けるものの、直ぐに件のモノへと目を戻してしまう。
それがイェソンとキュヒョンには面白くて仕方ない。
だって、予想通りの反応だから……
「あー、新郎新婦の再度登場ですっ!皆様拍手っ!!」
勿論進行役のシンドンとソンミンですら、この事だけは知らせていなかった。だからなのだろう、しどろもどろな司会ぶりにキュヒョンは元来の腹の黒さからか、ニヤリ嫌な笑みを二人へと向けている。が、そこをイェソンは何故か見逃すのだからキュヒョンとはつくづく運の良い男と言えよう。
拍手に合わせて二人は様変わりした会場内をユックリと進んでいく。会場の丁度真ん中を囲むように設置された客席。
その客席は腰辺りの位置に走る、白く細長い道の様なモノを取り囲む様に形を変えていた。
そして会場中央。
客席から伸びた道を全て繋ぐ、デカくて白い楕円形の物体が一つ。
皆なんだろうと、こぞって其方を見ている中。二人はその前に立つと、会場内をグルリ見渡した。
「今日は僕たちの式に参加頂き、ありがとうございます。」
横に置かれたスタンドマイクでキュヒョンが話し出す。
「僕達が時間を掛けて計画したこの披露宴……皆様の力で見事に180度変えられてしまいましたが……」
チラリとイェソンへと目を向けたキュヒョンは、誰もが見惚れる優しい微笑みを浮かべ。
「僕達にとってとても忘れられない、最高の式にして頂いたと思っています。」
笑って泣いて、騒いで驚いて……その全てが二度と味わう事の出来ない、掛け替えの無い時間……
「僕も、そしてジョンウニヒョンも。とても幸せだと……今までの人生の中で、最高の日だと……」
だからとキュヒョンは言うのだ。
「なので……これは僕達二人からの、贈り物です。」
言うと同時に会場内の明かりが全て消された。そして二人だけに仄かな光が当てられ、今度はイェソンの声が響き渡る。
「俺達を此処まで連れてきてくれた、お礼に……」
スタッフに渡されたのだろう、一つのナイフを二人が握る。それは、ケーキカット用のナイフ。
取手の部分に白い花とリボンが施された、綺麗なソレ。
「みんな……ありがとう。」
ニッコリ微笑んだイェソンの腰を引き、キュヒョンはその笑顔を見つめる。重なり合った手から互いの体温を感じて、二人の笑みが深くなる。
それを合図に、二人はナイフを白い楕円形のモノへと触れさせた。
瞬間的に会場内へと大きく響き渡った弾ける様な音。同時に中から吹き出したのは、色とりどりの花弁達。
楕円形のモノは風船だったのだろう、それを割った瞬間に吹き出した花弁達を皆の目が追う。そして中央から伸びていた道達。その両端へとゆっくりと炎が灯っていく……
まるでその道を主張する様に。
暗くなった会場内が仄かな灯り達で照らされ、舞い降る花弁達が皆の頭上を彩る。
そうしている内に、その白い道へと何かが流れてきた。
それは、光る水。恐らくは底にライトが仕掛けられていたのだろう。水に反応する様に優しいブルーの光が無色透明な液体を染め上げる。
彼等のシンボル。パールサファイアブルー……
その色が暗闇へと浮かび、青い道たちが作り出された。
「これが僕達からの、贈り物です……」
静まり返った空間。照らされた道たちは、その場に居た全員と繋がる。
とても不思議な空間だと、皆が感じていた。光に照らされた道が、自分達を照らし出す……穏やかな優しい空間……
「俺は、皆に道を作って貰った……」
それは勿論、キュヒョンにも言える事で。だからこうして今がある。
「だから今度は、皆の道を……僕達が。」
間違えたっていい。色々な道があるだろうその場所を。どんな形で歩いたとしても、繋がりは……この道だけは消えないと。
「この砂時計と……一緒に…」
割れた風船の中央、ソコには台に乗せられた砂時計が一つ。
イェソンがキュヒョンから貰った、大事な大事な。
時の刻みをユックリと流す、砂時計。
その砂時計をイェソンは静かな笑みと共に、コトリと返して。
「ずっと一緒に、歩いてく。」
繋がった道たちと照らし出された仲間たち。その一つ一つを心に刻み付ける様に眺めて、皆の大好きなあの笑顔を弾けさせた。
何処にいたって、自分達の道は繋がっている。それを二人は形にしたかった。だからとこのサプライズを決めたのだ。ケーキカットという、夫婦となる二人の初めての共同する行為。そして幸福を皆へと分けるケーキ達。それを、二人は道で示した。
大切な仲間へと分けるのは、自分達との道。例えこれから先、何があっても無くなる事のない道なんだと……
そうありたいと、それが二人の……願い。
そして花弁達が降り止んだと同時に降り注いできたのは、白く冷たいモノ。
それに気付いたイェソンが天井へと目を向ける。
そこで目にした光景に、イェソンは目を見開いて思わず声を上げた。
「……きれー………」
降り注いでいたのは、雪。本物では無いだろう、だが青い道に照らし出された天井から降る白い雪が、その場の皆へと笑顔を広げていく。
こんなサプライズは、計画に無い。
だとするととキュヒョンが会場を見渡せば、視線が合ったのは……イトゥク。
彼は司会の元へと行くと、マイクを手にし既に正装へと着替え直したその姿で天井を見上げた。
「雪は、色んな道をその上から隠す……それはきっと、新たな道を築けと……そう言ってるって、思うんです。」
皆その言葉に耳を傾けつつ、降り注ぐ雪を眺めたまま。
「今日この時から、新しい時間を刻み始めたあの砂時計。その時計と共に、足跡すらまだ無い真っ白な雪の上を……」
そう言うと、イトゥクは二人へと視線を向けて、天使と呼ばれるあの最高の笑顔で。
「彼等が作ってくれたこの道に、新しい足跡を…皆で。」
向けられた笑顔を受け取って、キュヒョンはイェソンへと目を向ける。純粋で綺麗なその瞳は降り止まない雪を眺めたまま、ただ静かに涙を零していた。
自分達と同じ様な事を考えて演出してくれたイトゥク。
その心が痛い程に胸を締め付ける。
でもそれは、嬉しさからくる痛みだから……
「やっぱり僕達のヒョンは、最高のヒョンですね…」
イェソンの手をソッと握ってやると、キュッと握り返してくる小さな手。
「ん………世界一の、ヒョンだもん。」
そうして微笑んだ姿が、今までのどんなイェソンよりも綺麗だと。キュヒョンはその姿に目を細めた。
こんな式を経験出来た自分達は、大袈裟でも何でもなく。
きっと今、世界で一番幸福な人間だ。そう、二人は胸に抱きながら。
「今よりももっと、幸せになりましょうね……皆と。」
「………ん………約束。」
そう密やかに誓いの言葉を述べて、二人は強く手を握り合った。
※長らく続いた披露宴編、これにて終了でございます。
如何でしたでしょうか?共にこの披露宴、楽しめました?
なーんて、やりたい放題な私が言うのも何なのですが。
私はこの二人の式を書けて本当に良かったと思っております。
え?自己満?そりゃあねぇ……知らない聞かない(待て
さて!まだ二人のお話残っております故!!
後少しだけ、お付き合い下さいませ。
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