中丸シオンという美しい友人のこと | 高野 愛のブログ

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中丸シオンさんが亡くなったという文字を
ご機嫌で開いたスマートフォンの中に見つけて

それから24時間が経とうとしている今も
ずっと時が止まってしまったかのように
目の前がぼんやりして音が遠くに聞こえている
大好きな音楽も聞けず
大好きな食事も味がせず
ただただ時間の経過の中にいる

嘘でしょ

必死に仲間に連絡をして
必死にそれが嘘である理由を探して

でも本当のことのようだ

同性の役者の友人は少ない
後輩はいても、
先輩や同世代の女の子の表現者の仲間はとても少ない

しーちゃんは、唯一といっても過言ではない
素直に感想を伝えてくれる
素直に感想を伝えられる
尊敬できる表現者の一人だ

なんでも話せる友人というよりは、
芝居の話しばかりしていた
つかさんの作品を愛してくれていたし
なにより役者としての私のことを
たくさん愛してくれた

不安を聞いてくれたし
あなたはピュアだと
それがいいのだと
愛していると
たくさん伝えてくれた人だ

ここ数年は会いたいねといいつつも、
お互い舞台の上にいる姿を
一方的に見つめるばかりだった

しーちゃんのあまりの優しさに
周りの人たちは今全員
びっくり仰天してて
今は「やだぁ、たかのさん、嘘よ嘘。」
とあの声で笑ってくれるのを期待しているけど

どうやら私は結局最後の最後まで
しーちゃんに愛してもらってばかりで
励ましてもらってばかりで
あの人は静かに美しく旅立ってしまったようだ

木村伝兵衛をいつか演じてみたいと言っていたシオン
私はそれをいつか実現させたいと思っていた
必ずそれをカタチにするつもりでいた

まったく言葉がまとまらない
でも
動けない自分のために
言葉にしないといけないとおもった

きっとこんなわたしを
しーちゃんは望んでいないと思うから

どんなきもちで、いつもわたしに言葉をかけてくれていたんだろうか

最後の連絡は春だし
その時私はすごく短いお返事をしただけだった

七月の頭の私のインスタグラムには
しーちゃんからのいいねがついている
ねえ、どんな気持ちでそのボタンを押してくれたの

しーちゃん
あなたはあまりにも優しくて
あまりにも美しい魂で
私の中に生き続けてる

まださよならは伝えられないけど
溢れる気持ちを言葉にして

ちゃんと生きるよ

ちゃんと食べてちゃんと眠るよ
しーちゃんしーちゃんしーちゃん