その日、来未は朝から体調が悪かった。
休日だったが、年が明けた頃から仕事が忙しくなり、出勤しなければならない。
拓海も同じ係で忙しいのだが、かなり遠く離れたサーキット場に行くと言って休みを取っていた。
その分来未は頑張って出勤する必要があった。
朝、風邪気味かなと思ったが、大丈夫だろうと思って出勤準備をしていたところに電話が鳴った。
拓海 「おはよう!起きた?」
来未は拓海にモーニングコールをお願いしていたのだった。
来未 「起きてたよ・・・」
拓海 「おっ?めずらしい! 元気ないね?寝ぼけてる?」
来未 「ちょっと風邪気味かも・・・」
拓海 「大丈夫?休めば?」
来未 「誰かさんのせいで休めません!」
拓海 「・・・ごめん。 でも無理しないようにね。」
来未 「うん。 おみやげヨロシク!」
拓海 「了解!」
来未はなんとか出勤し午前中仕事をしたが、体力も限界だった。
次第に体調も悪くなり、午後から休むことにした。
途中、レトルトのお粥とカレーを買った。
家に帰ると、薬を飲んで布団に潜り込むと同時に眠りについた。
電話が鳴っている・・・
あたりは既に暗くなっていた。
眠い目を擦りながら来未は電話に出た。
拓海 「もしもし。 体調はどう? 病院には行ったの?」
来未 「う~ん。 病院には行ってないけど、昼から休んで寝てたから少しは良くなったかも。」
拓海 「ご飯食べた?薬飲んだ?」
来未 「お昼に薬を飲んだ。 夜は食べてない。 今起きたところ・・・」
拓海 「さっき帰ってきたから、今からそっちに行こうか? お粥でも作るよ。」
来未 「おみやげは?」
拓海 「・・・持ってきます。」
来未はとても嬉しかった。
知り合いもほとんどいないこの町で初めての1人暮らし、風邪でダウンしても誰も頼れる人がいない。
そんな時に優しくされると自分の全てを委ねてしまいそうだった。
来未がこの時から拓海のことを気になり始めていたのは、紛れもない事実だった。。。