来未は今年の冬もスノボに行きたかった。


去年、新潟でスノボを初体験して楽しさを覚えてしまった。


拓海も一緒にスノボを始めれば、今年はもっとたくさん滑れると思っていた。



来未 「ねぇ。 今年は一緒にスノボを始めない?」


拓海 「いやだ。」


来未 「え~何で? 面白いよ。 絶対ハマるって。」


拓海 「寒いから。」


来未 「ウェア着て滑ればそんなに寒くないよ。 一度でいいからやってみようよ。」



夏生まれの拓海は寒いのが大の苦手。


冬に外へ出るのが嫌で、雪の上を滑るなんて考えられなかった。


冬生まれの来未は夏は大嫌いだが、冬は大好き。


ウインタースポーツが好きで、スノボと出会ったのを運命と思っていた。


去年の新潟ではボードをレンタルしていたので、今年は全て買い揃えていた。


同じ職場でスノボをする人たちが何人かいたので、その人たちから拓海を誘ってもらうようにした。


拓海は “みんなで行って、ちゃんと教えてくれるのなら・・・” ということで一度だけ行ってみることにした。


また、今年からスノボを始めたいという人もいたので、スノボを初体験する気持ちにもなった。





ゲレンデには先輩の車2台で行くことになった。


途中、車から焦げるような臭いがしたり、オートマの変速時にタイムラグが生じていたので、


“ミッション系のトラブルだと思うからちょっと見ましょうか?” と拓海が提案したのを除いては順調だった。


ただし、拓海の提案は誰も聞き入れず、そのままゲレンデに到着した。


拓海の初スノボは何事もなく無事に終了した。


“木の葉” で降りてくることは出来たが、エッジを使ったターンが出来るようになるまでには至らなかった。





そして、事件は帰り道に起きた。


みんな疲れていたので、早く帰りたかった。


途中の高速道路で車のギアが空回りして、低速ギアしか使えなくなった。


高速を降りて、コンビニに停車してJAFに電話する先輩。


拓海はミッションオイルの残量を調べたが、オイルは全く入ってなかった。


辺りには焼け付くような臭いがしていた。


今更ミッションオイルを入れても無理だと思った。


ゲレンデに行く途中に強引にでもオイルの残量を調べておけばよかったと後悔する拓海。


程なくJAFが到着し、エンジンルームを調べたが、拓海と同じことを言っていた。


結局、レッカー移動できる自動車会社を紹介してもらい、車ごとローダーで運ばれることになった。


こうして、拓海の初スノボはドタバタのうちに終了し、夜遅く家に帰ってきた。


スノボを初めて経験した拓海は、少しスノボを好きになっていた。


また、機会があれば滑ってみたいと思っていた。


来未の作戦は成功に終わり、今後、拓海と一緒に滑りに行くことが増えていったのだった。。。