とりあえず、来未の両親に結婚の意図を伝えた2人。


翌週には式場探しに出かけていた。


プロポーズに使った、この辺りでは一番有名なホテルでのウエディング。


拓海と来未の実家と職場の中間くらいに位置するホテルやレストランでのウエディング。


市街地にある式場やホテル、ブライダルサロンにも足を運んだ。


デート感覚でブライダルフェアに参加し、見積もりをもらったり見学したりしていた。


しかし、なかなか決まらない式場。


拓海や来未の職場の同僚たちのことを考えたら、市街地で披露宴をするのが最適だと思う。


しかし、来未の父親は市街地でするなら一流のホテルウエディングでなくてはダメだと言ってきた。


そこは拓海がプロポーズしたホテルであり、それなりの値段がするホテルだった。


様々なことを考慮した結果、実家や職場のほぼ中間地点にあるホテルでのウエディングが有力になっていた。





一方、拓海の実家の方は来未との結婚に反対だった。


来未のことが気に入らないわけではなかったが、来未の家や父親のことが気になっていたためだった。


来未の家のどこが気に入らないのか、父親がどうしてダメなのか。


反対する理由を拓海は感づいていた。


それは、来未の父親の様々な発言の中にあった。


最初に両親同士が会ったときに言った “養子問題”。


来未の父親が結婚するときに用意したという “結納金”。


来未の実家が経営している “合名会社”。


細かなことまで挙げればキリがないが、最初に会ったときから相手方を信用していなかったようだった。


結婚とは家同士の問題である。


どんなに結婚する2人が盛り上がっても両家の親同士が賛成しないと話は一切進まない。


結婚の了承を得るには、2人がそれぞれの親を説得しなくてはならない。


親同士、家同士の誤解を解くために力を合わせる2人。


拓海と来未が力を合わせ、お互いを信用し理解し合って、情報や意志の疎通を図ることが重要だった。


2人とも親の反対を押し切って、駆け落ちするようなことは考えられなかった。


このとき、結婚とは自分たちの意志だけで出来るものではないと思い知らされた。


両家の意志が大きなウエイトを占めることを拓海も来未も初めて実感したのだった。。。