拓海の両親の印象もよく、すべてがうまくいっていた3月の下旬。


拓海と優菜にとって最大の試練が訪れた。


それは、優菜が拓海の家に初めて来たときのこと。


拓海はブログを書いていることを優菜に話しており、優菜も少し前から自分のブログを書いていた。


拓海のパソコンを使って、ブログを見ていた優菜。


何気なく “お気に入り” を見てしまった。


その中にある来未のブログ。


たくさん登録されている “お気に入り” の中で、来未のブログの題名だけが優菜の目に止まった。



優菜 「これ、なに?」


拓海 「あ? あぁ…、友達のブログ。」


優菜 「見てもいい?」


拓海 「それよりさぁ、自分のブログ更新しないの? 人の見てる場合じゃないでしょ。」





結局、このとき優菜は来未のブログを見なかった。


しかし、その題名だけはしっかりと頭の中に刻まれた。


翌日、自分の家に帰った優菜は好奇心から、頭に刻まれた題名をアメブロで検索する。


もちろん同じ題名が出てきて、そのブログを読んでいるうちに誰のブログなのかも理解できるようになった。


そして、そのブログには元カレと4年半付き合って去年の夏に別れたと書いてあった。


つまり、このブログの管理人と元カレは5年前から付き合っていたことになる。


優菜の妄想力はとどまることを知らない。


ただこの時の妄想は、完璧に事実を捕らえていた。


このブログの管理人=来未。


元カレ=拓海。


来未と拓海は5年前に付き合い始め、半年前に別れている。


でも優菜の記憶だと、4年前に拓海と付き合い始めたのは優菜自身だった。


半年間、優菜は二股を掛けられていた。


その事実にたどり着くまでに、そう時間は掛からなかった。


これで、あのとき別れた理由に説明がつく。


優菜はパニックになり、夜遅くに拓海に電話をする。


自分で何をしているのかも分からずに、拓海に家に来てもらうように言った。


1時間半かけて拓海が来る間、優菜は自分のブログにその事実を書き留めていた。


何もかもが分からなくなり、ただ妄想だけが膨らんでいく優菜。


優菜と来未が持っていた二つの爆弾。


そのうち、優菜の持つ爆弾が弾け飛んだ瞬間だった。。。