手紙をもらったあの日以来、まともな会話をしていない拓海と優菜。


優菜の気持ちが落ち着くのを、ただ待っているだけしかできない拓海だった。


それでも、何か気分転換をさせたいと思い、週末に優菜を水族館へ誘った。


優菜も一人で考え込むのが嫌になったのだろう。


拓海の誘いを承諾し、デートを楽しむことにした。


デート中も殆ど会話がない2人。


どこにでもいるようなカップルではあったが、どこかぎこちなさが漂っていた。


特に何の進展もなく終わった水族館デート。


優菜と会って些細な話をすることが、良くも悪くも大きな進展になる。


水族館から出発する車の中で、優菜が取り出したもの。


それは、拓海に宛てた第3、第4の手紙だった。





拓海へ


やっぱり私は拓海と一緒にいたい。


でも、今はまだ心の底からそう思うことができません。


私がいつか過去の拓海を許せて、本当にそう思える日が来るまで私を支えていて欲しい。


いつか拓海と結婚して家族ができた時に、そんな事もあったと笑えるように。


そんな日が来るまで、私をサポートして欲しい。


もう一度、心から愛せるように、拓海には誠意を見せて欲しい。


失ったものを取り戻すのは困難かもしれないけど、私も一緒に頑張ります。


いつになるか分からないけど、また一緒に笑えるようになるまで。

                                             優菜より





手紙を読み終えた拓海は、もう既に心に決めていた。


優菜と別れるのは簡単なことだけど、いつか必ず後悔するときが来る。


今まで優菜に隠してきて、心が痛むことが何度もあった。


今、優菜が知ってどれだけ心を痛めたことだろう。


いつになるか分からない。


でも、それでも優菜と共に歩いていきたい。。。