優菜には双子の妹がいる。
その内の1人が、拓海を兄のように慕っていた。
4月の初め。
拓海と優菜に交じり、その妹も一緒にスノボに行く計画があった。
拓海の二股が発覚したため、スノボ旅行も一度お蔵入りになっていた。
しかし、妹がスノボをとても楽しみにしていて、拓海の二股など言えなかったため、計画どおり実行された。
拓海の車で目的地まで行く道中、終始賑やかだった。
明るく元気で、どんな時もその場を和ませる優菜の妹。
この時も、拓海と優菜は妹にどれだけ助けられたか分からない。
スノボをしているときも全て妹ペースで、拓海と妹が親しげに話している姿にいつしか嫉妬している優菜だった。
帰りの車の中は、行きのときとは全く違う雰囲気だった。
行きの車の中ではどこか調子の悪い感じでおとなしかった優菜だったが、
帰りの車では、少なくとも表面上はいつもの優菜で口数も多くなっていた。
この何でもないようなスノボ旅行が拓海と優菜の関係を大きく変えることになった。
いつまでも続くと思われた2人のぎこちない関係。
まだまだ完全に優菜の心の氷は溶けていなかったが、この日を境に大きく溶け出していく。
心の底から拓海を信用することは出来ないかもしれない。
でも昔のように、一途に拓海を好きだった頃に戻りつつある自分を肌で感じていた優菜だった。。。