優菜の家は喪中だった。


祖母が亡くなったのが、挙式予定日の3週間前に当たる日。


優菜の祖母、父親から見れば母親が亡くなったため、祝い事は慎むべきだった。


挙式を目前に控えて、2人の目の前に暗雲が垂れ込めた。


拓海は披露宴を予定どおり行うか、それとも延期するかの決定を優菜の父親に任せた。


優菜の父親は予定どおり披露宴を行うことを決めた。


招待状を送付して準備も全て整っているため、予定どおり2月10日に式を挙げることにした。


親戚もそのことに関しては何も言わず、優菜の父親に一任していた。





挙式前夜。


優菜は自分の実家に泊まっていた。


優菜はまだ両親に言い残したことがあった。


急に正座して、両親に向き直る優菜。



優菜 「今までこんなに幸せに、育ててくれてありがとうございます。 これからは拓海さんと一緒に、

     力を合わせて生きていきます。 でも、いつまでもお父さんとお母さんの娘だからね。」



そこには、拓海と共に歩くこれからの人生に、何の迷いもない強い意志が現れていた。





翌日、大勢の親戚や友人、職場の上司や同僚などが2人を祝福するために集まった。


祝福されることの喜びを胸に、列席された人々を迎えるためその大きな扉を開けた拓海と優菜だった。。。