真夜中に拓海が優菜の家に行ったその日。


拓海は2通の手紙を優菜からもらった。


その手紙に書いてあったことは、別れともとれるような内容だった。





拓海へ


私は今回の件で拓海のことが信用できなくなりました。


これからどうなるのか、どうすればいいのか分かりません。


今までどおり付き合っていっても心のどこかで疑ってしまうし、拓海にもつらい思いをさせると思う。


本当はこのままキッパリと別れるのが一番いいのかもしれない。


でも、拓海にはもう少し待っていて欲しい。


私が拓海を許せるときまで、待っていて欲しい。


すごく勝手なお願いだけど、私の気持ちの整理が今は全く出来ないから。


それがいつになるのかも分からない。


半年後か、1年後か、ひょっとするとずっとかもしれない。


ずっと待った後、そのまま別れるかもしれない。


今は、そんな先のことは考えられないけど。


だけど、いつかまた拓海と一緒にいれると信じたい。


                                             優菜より





拓海は、手紙を見るまでは別れを覚悟していた。


だが、その手紙には別れることよりもつらい内容が書かれてあった。


呼称も、今までずっと “拓海くん” だったが、この手紙では完全に “拓海” と書かれてあった。


このまま別れることができたなら、どんなに楽だろう。


直感的に拓海はそう思った。


だけど、これは自分がまいた種。


優菜は自分よりもつらい思いをしている。


拓海もできることなら優菜とやり直したかった。


ただ、いつまで優菜を待つことができるのか分からない。


拓海に選択権はなく、優菜の気の済むようにしてあげることしかできなかった。


手紙に書いてあった最後の言葉を信じるより他に道はなかった。。。