デニス・テン | 高橋大輔 輝く道と共に。

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7月19日。

 

この日は仕事が休みだったので、正午からレディースデイで映画を見て、行きつけの漢方薬局で処方して貰った漢方を受け取り、その後友達と合流して、とあるビルの屋上のビアガーデンに出向き3杯ほど飲んでから河岸を変え、そこでワインと肉料理を堪能しかなり気分がハイなまま終電の少し前に電車に乗りました。いい1日だったなあと思いながら、その日はずっと開けていなかったスマホを手にし、Twitterを見るとそこには、目を疑うようなツイが目に飛び込んできました。それは、テンくん、3Lもの血液を失なうって・・・というもの。え、テンくん、3L、血液、どういうこと!そう思いながらも私は何故かずいぶんゆったりと構えてました。大丈夫大丈夫、大事には至らないって、などとバカみたいに本気で思ってました。でも3Lもの血が流れて、大丈夫なわけはないのにその時は何故かそう思ってました。でも、そんな思いはたった数秒であっけなく消されてしまいました。次にTwitterに目を落とした瞬間、テンくん死亡の二文字がそこにあったのです。うそでしょ・・・それはこの一報を目にしたスケートファンなら恐らく誰もが抱いた感想ではないでしょうか。その後もうそである事の確証を得たくてTwitterを遡ったりFBを見たりして急いで情報を集める事に専念しましたが、返って事実である様を突き付けられ、愕然としながら帰路に着いたのを覚えています。

 

目が覚めたらうそだった、なんて事は絶対にないのだという状況は嫌でも分かった。ニュースはカザフスタンから出ているもので、決してフェイクではない。犯人はふたりだという、脚を刺されたのだという、病院に運ばれた時は既に遅かったという、そんなネガティブな情報に溢れていた。私の思いは、なんて理不尽な、なんて不条理な、神は何をしていたんだ、そういうものでした。

 

情報に間違いがなければ、デニスが亡くなった日はローリーのところに行って振り付けをする予定だったらしい。しかし愛する故郷にもう少し滞在するほうを選んだ。そうしなければデニスはむざむざと・・・そう思うと悔しさは隠しきれないが、それだけ彼は故郷を、カザフスタンという国を愛していたのでしょう。それは私達日本人が自国を愛するのとは少し違う、もっと重く、覚悟の伴う思いであったかも知れない。なぜそう思うにいたったのか、知人が私にくれた下記のメッセがデニスの置かれた立場を如実に物語っているような気がしたからです。〇〇さま、ここで公開させて頂くのをお許し下さい。

 

葬儀の様子を見て自分も参列しているように思えましたが、
多民族国家の実際を見ることができました。
さまざまな人が穏やかに寄り集まっていましたが、
それでも五輪のメダルを取るまでは

>ワールドメダリストだったけど、デニスのファンですと言うとカザフの人からは「でも彼はカザフ人ではない」って必ず言われた。それが五輪のメダル獲得を境に扱いが変わり、名実ともにカザフスタンの英雄になった。

ということです。
デニスの老成ぶりや自制心、自律心は、こういう中で養われたのだなと思われます。彼は、国内では移民系国民の代表だったかもしれない。

 

これは一個人の感想に過ぎないかも知れませんが、デニスの人と成りの一面と、その置かれた状況がよく分かる文章ではないでしょうか。サッカーW杯では、ドイツ代表であったトルコ系移民の選手が差別に耐え切れず代表を辞任した。ドイツのために戦うという気力がなくなったという。(サッカー ドイツのエジル選手 “移民差別”で代表引退の意向https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180723/k10011544531000.html

 

勝てば国を代表する者として認められるが、そうでない者は淘汰される世界というのは実に厳しいものだけど、先住民が自分の国を無意識でも守ろうとするのは正常な判断だと思う。だからといって相手を侮辱していいわけではないが猿や猫でさえよそ者はそう簡単に受け入れない。だからこそデニスは必死に頑張って認められる人間になろうとしたのではないだろうか。カザフスタンに大輔さんや真央さんを迎えホストとして立派にアイスショーを仕切っただけじゃなく、その後も参加スケーターらを連れて見事なおもてなしをしてくれた。あの時まだデニスは21歳?普通の若者なら社会人として駆け出しのはずで、そこまで気が利くデニスはずいぶんと大人だなと思ったものだ。パリでテロがあった時はGPシリーズのフランス大会期間だった。この時参加していたデニスはいち早くSNSで追悼とカザフタン人の滞在者向けにカザフ大使館の連絡先を発信した。ほんとうに、ほんとうに出来た人だった。そして優しかった。これは彼と拘わった人はみな抱いた気持ちのようだ。特にアレクセイ・ヤグディンは泣きながら動画で彼の無念を訴えた。そしてデニスの家族に「彼を守ってあげられなくてごめんなさい」と悲痛な声をあげていた。私はまだこの動画を全て見る事が出来ないでいるけど、いつかちゃんと向き合える日が来るのだろうか。

 

デニスよ、永遠に。そして安らかに。

 

 

 

 

大輔さんの公式から。

 

スケートの仲間、生涯の友、親愛なるデニス・テン選手の突然の悲報に接し、
痛恨の極みです。
一緒に戦ったこと、ショーでスケートを楽しんだこと、
彼が主催するカザフスタンのショーに声をかけてくれたこと、
彼との思い出は数えきれません。
ご遺族皆様の悲しみをお察し申しあげますとともに、
安らかなるご冥福を心からお祈りいたします。

 

 

 

 

 

 

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