とにかく階段がキツくて、やっとこさ家に着いて玄関のドアを開けると
母が血相変えて出て来た。
「いま病院から電話があって、ご家族と一緒にすぐ戻ってくださいって!」
え?これから?
なんで??
あの時家に入れなかった、玄関から見た光景は忘れない。
ドアが閉まるように、今までの当たり前だった生活が閉ざされた。
病院に向かう車中、悪い知らせなのは確実に分かっていたけれど、予想もできなくて全員普通だった。
なんだろうね、大した事ないといいねえ・・・
くらいしか言えず。。
休日でもう夕方近かったので、病院はほとんど人がいなかった。
案内された診察室に入ると、さっきの先生が神妙な面持ちで
「採血結果でおっしゃっていた症状も納得がいきました。私よりも専門の医師がいるので、詳しくはその者から説明します」
なんだこの流れ…。
さらに隣の診察室へ移動すると、年配の先生が待っていて私を見て開口一番
「あ、以外と普通に動いてるんですね…」
え、どういう意味!?
先生は話し始めた。
採血の結果、白血球が64万というあり得ない数値だった。
(ちなみに病院によって異なりますが、基準値は健康な大人だと
4000~9000くらいです)
症状から推測するに…
と手元の紙にゆっくり書いた。
『急性リンパ性白血病』
空気が止まった。。。
告知の瞬間。
状況についていけなくて、それでもまさしくテレビドラマみたいだな…って思って口が半笑いしてました。
この数値で、いま風邪なども引いておらず普通に動いているのは信じられない。
でもこのタイミングで分かったのも幸いです、とにかく今日からすぐ入院した方がいいけど、あいにくうちはベッドが空いていない。
だから別の病院をいくつか当たった結果、自宅から近い病院で、しかも無菌室が空いていた。
しかも偶然、当直医が血液内科の先生だった。
こんなにベストな環境はないです!話はしてあるので、とにかく今から向かってください!!
と先生。
病院を出る時、先生と看護師さんが
「大丈夫!治る病気だから!治ったらまた顔見せに来てね^^」
と言ってくれました。
その言葉を聞いてようやく、涙が出てきた。
向かう途中、私は職場に連絡し、友人たちにメールをするのに必死だった。
入院中に携帯が使えるのか分からない。次にいつ連絡がつくかも分からない。心配してくれていた人たちとこの
まま音信不通になるかもしれないのがこわかった。
車内は、なんか大変な事になっちゃったね…。
とみんな無言だった。
かくして、あれよあれよと言う間に入院に至ったのであります。
それにしても、今でも思う。
あの時、もし熱を出していたら。
あの時、眼科に寄らなかったら。
あの時、採血を断って帰っていたら。
あの時、病院の素早い対応がなかったら。
受け入れ先の病院が、近くじゃなかったら。
今の自分はいないかもしれない。
たくさんのラッキーと、たくさんの人のおかげで、私は今日も生きている。
ありがとうございます!!