それぞれのポジション フリージャーナリスト達の活動 | 断片的な日々 

それぞれのポジション フリージャーナリスト達の活動

大手メディアに対する不満は数々あるが、そのひとつが横並び体質である。どの媒体も、同じような内容ばかりを報じる。いろいろな現場に行ってみてわかるのが、各新聞社、各放送局ともに、同じような場所に集まり、同じような動きで取材をするという点だ。だが、それでも視点と思考力があれば、さまざまな事実を把握できる。しかし、結果として似たり寄ったりの記事や映像しか出てこない。これでは、複数の新聞社や放送局が存在する意味がない。


しかも、これも今更ながらではあるが、大手メディアは広告スポンサーには絶対に逆らえない。心ある新聞記者や社員レポーターが勇気を奮って突っ込んだ取材をしても、「上の判断」によって却下されてしまう。筆者も、武富士の関する一連の事件や、SLAPPという言葉と行為を世に知らしめるきっかけとなったオリコン訴訟などで、そのことは経験的に理解した。


その一方で、広告などのしがらみのないフリーランスのルポライターやジャーナリストの活動が注目される。今回の震災とその関連においても、フリージャーナリスト達は様々な視点から独自の取材を進め、大メディアが報じない事実を公開している。


たとえば、ジャーナリスト田中龍作氏は自らのサイト『田中龍作ジャーナル』において、東京電力の記者会見の様子を逐一報じている。以下はその一部である。


『田中龍作ジャーナル』

「東電情報隠し」の裏で進行する放射能汚染 ~その8~
http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/193344574.html

「東電情報隠し」の裏で進行する放射能汚染 ~その9~
http://tanakaryusaku.seesaa.net/article/193425035.html


また、ジャーナリストの篠原隆史氏は、ツイッターにおいて主にトヨタ自動車の実態をしてき続けていたが、今回の震災によって非正規労働者が窮地に追いやられている状況なども報告している。


篠原隆史氏のツイッター
http://twitter.com/#!/gyokaigamieru


さらに、ジャーナリスト寺澤有氏は、自らが運営するニュースサイト『インシデンツ』において、被災地の状況になかで大手メディアが報じない部分を報道している。同サイトは会員制だが、公開部分だけでも熟読に値する。


ニュースサイト『インシデンツ』
元レスキュー隊員・仙波王仁の被災地ボランティア日記(4日目)
http://www.incidents.jp/news/index.php?option=com_content&view=article&id=218:2011-03-31-00-00-39&catid=13:2011-03-25-01-11-03

日本のメディアが報道しない 被災地は『羅生門』の世界(上)
http://www.incidents.jp/news/index.php?option=com_content&view=article&id=216:2011-03-29-01-12-49&catid=12:2011-03-16-17-00-47

 

いずれも、おのおのの視点とポジションごとに、自立した報道を行っている。筆者の知り合いのジャーナリスト諸兄諸氏も、次々に被災地に赴くという。こうした独自報道は、今後さらに増えることだろう。


テレビで頻繁に流れるACジャパンの傲慢極まりないCMのなかに、「被災地の人の気持ちになって考えてみよう」といったものがあった。しかし、被災地のことが、正しく、そして広く報じられていなければ、被災者の方々のことなどどうして正しく考えることができようか。