『色街をゆく』補記 吉原 その3 | 断片的な日々 

『色街をゆく』補記 吉原 その3

東京の「吉原」という場所は、とにかく不思議なエリアである。そして魅力ある場所である。動画不思議でどう魅力あるかについては、書き出したらキリが無いので今回はその建物のことだけにしておこう。


吉原のソープランドの建物というのは、現在残っているのは概ね赤線廃止後に建てられたものが大部分である。とはいえ、それでもすでに40年以上経ている物件も少なくないので、それなりに特徴あるものが少なくない。


筆者の感覚としては、吉原ソープの建物といえば、「狭い通路に急な階段」というところだろうか。とくに、階段はとても急なケースが多い。これは、格安店ばかりではなく、高級店でも狭くて急な階段の店はある。その急な階段を、女性がお客を先導しながら個室へと案内する。その途中で、「今日はお仕事の帰りですか」とか「おトイレは大丈夫ですか」などと、女性が話しかけてくる。こういうちょっとした会話を楽しむのも、吉原での遊びのひとつであると筆者は理解している。


とはいえ、筆者は120店以上ある吉原ソープのうち、その中を見たことのあるのはごく一部、せいぜい30店ほどに過ぎない。何より、吉原という場所はとても閉鎖的だ。取材を申し込んでも、なかなか許可してもらえない。閉鎖的というより、そういう習慣がないのだと思う。新宿や池袋の風俗店であれば、取材はもちろん、「予備取材で見学させてください」と頼めば、かなりの割合で店内を見せてもらえた。だが、吉原の場合は、見ず知らずの無名ライターがいきなり出向いても、そう簡単に覗かせてはもらえなかった。おそらく、現在でも状況はそれほど変わっていないと思われる。

(つづく)


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吉原の夜景


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昼間の吉原