『色街をゆく』 若月編集長からの要望
月刊誌『ドンドン』(日本ジャーナル出版・現在休刊)で連載を始めた「日本性風土記」は、池袋を皮切りに、五反田や西川口など都内近郊からレポートをはじめた。
やがて慣れてきた筆者は、船橋、土浦、宇都宮などとやや離れた土地にも足を伸ばし始めていった。
ところがある日、編集長の若月氏から声をかけられた。
「都心だけじゃなくて、地方も回ってよ」
そこで筆者は、水戸や群馬なども取材予定に入れていることを告げた。すると若月氏は、やや顔をゆがめて言った。
「いやそうじゃなく。関東ばかりじゃつまらないよ。関西とかも書いてよ」
この若月氏の希望に沿うため、予定を大幅に変更し、関西方面の色街を取材をすることになったのである。
(つづく)