母は、国家機密レベルの極秘事項「とどがバレエを習っている」を知る、数少ない一人です。
(他に知る人は、お教室の先生とメイトさんたち&ブロ友のみなさま方のみです)
70代も後半ですが、年齢からくるちょっとした不調はあるものの、幸いなことにおおむね健康で、そして今も未知なるものへのピュアな好奇心を失っておりません。
例えば。
弟が「今から図書館に行くけど、一緒に行く?」と連絡を寄越したことがありました。
母は、用事があるので行けないけれどお料理マンガが読みたいから借りてきて、と頼んでいました。
わたしは内心、料理にもマンガにも疎い弟に頼んで大丈夫か?と思いましたが、クッキング・パパくらいは知っているだろうと成り行きに任せたのです。
その夜、母は借りてきた本を読みながら、
「意外な組み合わせだけど美味しそうよ」とか
「これ、すぐに作れるわね」とか言っていたので、
どうやら弟は無事に任務を達成したのだと思っていました。
ところが!
突然、母はわたしに言ったのです。
「ねぇねぇとど、ハッテンバって知ってる?」
………
………
………
は、は、発展場ぁぁぁ!!!???
腰を抜かしかけている娘を尻目に、母は楽しそうに続けました。
「ゲイのみなさんって、お相手を見つけるのに苦労しているのねえ。
でね、角刈りにして身体を鍛えて、ピチピチのTシャツを着たりしているそうよ」
( ̄□ ̄;)
( ̄□ ̄;)
( ̄□ ̄;)
いったい何をどうリアクションしてよいのかわからぬまま、わたしは心の中でつぶやきました。
上記の外見に相当する、ゲイもしくは非ゲイな方々。
もしも自分をやたらにこやかに見つめる老女と出会っても、どうぞ気になさらないでくださいませね…
ちなみにどうしてこういう話の流れになったかと申しますと、弟が借りてきたマンガの主人公が、お料理好きなゲイという設定だったんです^^;
さて、そんな母ですが、わたしのバレエに関しては当初ひたすら静観の構えでした。
無理もありません。
今を去ること45年前、幼稚園のお遊戯会で一人だけズレたテンポで動き、みんなが右を向いて終わっているのに左を向いている娘の姿が、母の脳裏に刻み込まれているに違いないのですから。
けれど1ヶ月が経ち2ヶ月が過ぎ、どうやらこれは続きそうだと思ったのでしょう、少しずつバレエを話題にするようになってきました。
最初は
「先生はどんな方?」
「生徒さんは何人ぐらいなの?」といった一般的な質問だったのですが、
最近では
「大人から始めてもトウシューズって履けるようになるの?」となかなか鋭いことを尋ねるようになりました。
そして先日
「バレエって、おうちで練習しなくてもいいの?」と言い出したのです。
おそらく母の念頭にあるのは、昔々その昔、娘を毎日ピアノの前に座らせて練習させていた、あの光景だと思われました。
そんな母には、台所でどこでも踊リーナしているぐらいでは練習しているうちに入らないようです。
「練習した方がもちろん良いけど、けっこう場所がいるじゃない?」
「だったら、猫部屋を使わせてもらえば?」
猫部屋とは2階の空き部屋のことで、クローゼットには季節外の衣類や寝具、旅行用のスーツケースなどが入れられています。
ここは猫の治外法権で、物の出し入れや掃除で部屋に入る時は、すべからく猫の監督・監視下におかれます。
(この部屋に入ると、猫は家のどこにいても、何をしていてもすっ飛んでくるのです^^;)
フローリングだし、家具は小さなソファぐらいしかおいてないし、家で踊リーナするには良い場所だとは思うのですが…
長らく居室として使っていないため、エアコンが故障したままなんです!
しかも、西向きの大きな窓あり。
今の季節、インドと同じ環境でするというホット・ヨガや、試合前に減量したいボクサーにはぴったりの環境なんですね。
あ~、でもここで汗だくになって踊ったら痩せられそう。
ストレッチだけでもここでやろうかな…
どうやら、娘を通じて知ることになったバレエの世界が面白くて仕方がない様子の母。
今も「ちょっと見せてね」と言って、クロ○ゼを読みふけっています。
この調子なら、ボケることもなく長生きしてくれそうだなと思う、今日この頃なのでした。