今日は、終戦記念日ですね。9年前に 鹿児島で講演をしたときのこと。主催者に知覧にある 戦争博物館 に連れて行っていただきました。知覧 と言えば、神風特攻隊の聖地。以前から行きたかったので、とても楽しみにしていました。

館内には戦没者たちの手紙や遺品が所狭しと展示してある。入館して30分も経たないうちに涙が止まらなくなりました。どの手紙も『お母様、先立つ親不孝をお許しください!』と書いてあります。彼らは何も悪いことはしていないだけに謝罪の文章は心が痛みます。特攻隊の方々が遺された手紙を読んで、亡くなられた尊い犠牲の上に、平和な私たちの今があることを実感。それらの手紙を端から読みましたが、次第に涙で読めなくなりました。 


展示してあるパネル写真に特攻隊に出陣する前夜の様子があった(写真)。驚くことに 皆、さわやかな笑顔。明日死ぬのが分かっているのにどうしてあんな笑顔になれるんだろう?と不思議に思う。もちろん軍から強制されていたのだろう。

特攻隊員の多くは20歳前後。17歳から23歳ほどの前途有望な若者ばかり。苦労して産んで育てた母親の気持ちはどうだったんだろう?子供に先立たれた彼女たちも犠牲者だった。特攻隊員たちは、敵艦に突っ込む時は『おかあさ~ん!』と叫んで行ったに違いない。

館内には特攻隊の映像がありました。最初の数機は、確かに敵艦に当たった。米軍も『まさか突っ込んでくるとは!』と驚いたのでしょう。しかし次第にほとんどは迎撃され、海上で桜のように散って行っていきました。 将来を担う多くの尊い命が、あの戦争で犠牲になったのです。『戦争』という狂気の状況だったとはいえ、すでに敗戦が決定的だったのになぜあんな作戦を決行したのか?

今思えば、第二次大戦は最初から無謀な戦いでした。時は空前の不況。ドイツはヨーロッパで連戦連勝。パリもロンドンもあっという間にドイツ軍が占領と破竹の勢いだった。日本の世論はドイツからのラブコールに酔いしれた。時の内閣も世論の勢いに負け、ついに開戦に踏み切る。真珠湾攻撃の際、イギリスのチャーチルは『これでアメリカが参戦してくれる!』と泣いて喜んだ。プライドの高い英仏もナチをやっつけるには、アメリカに頼るしかなかった。

しかしこの戦いを最後まで反対したのが名将 山本 五十六 であった。彼は『半年は頑張れるが長期戦になれば相手にならない』と冷静に分析。結果、不幸にも彼の読み通りになりました。ミッドウェイまでは確かに善戦した。しかしここから流れが完全に変わり、その後の3年半は防戦一方で犬死を待つだけの戦い。日本中が狂気に巻き込まれて行き、気がついたときは後に引けなかった。

山本 五十六の提唱していた<講話>に持ち込む作戦を実行できてれば、今の極端な日米関係もなかった。そうなれば日本の財政赤字もここまで酷くならなかったし、我々の生活ももっと豊かになっていたでしょう。こう思うと残念でなりません。

人類はなぜ戦争を繰り返してきたのだろうか?土地・資源・食料の強奪の結果が戦争です。その根底には『人間の欲望』しかありません。殺人をはじめすべての犯罪が肯定される狂乱の状況が戦争。絶対に許されるべきではありません。

あなたも機会があれば、是非 知覧に行ってみてください。きっと人生観が変わるでしょう。そして同じ日本人としてこの神風の歴史を忘れてはいけないと思います。 合掌