これは祖母から聞いた話です。


先のコメントで『日本人の美徳』について触れましたが、

ふっと思い出しまして・・・。






祖母は晩年、着物の仕立て屋をしていました。

明治の気骨オンナを地で行っていた祖母。

仕立ても全て手縫いで寸部違わぬ出来だったので

長崎の花街の芸者さんからも注文を多数頂いていたそうです。



そんな長崎の芸者さん。


長崎では「おくんち」と言うお祭りがあります。


お諏訪様(諏訪神社)に年1回各町内ごとで

蛇踊りや傘踊り、”こっこでしょ”が奉納されます。


http://www.nagasaki-kunchi.com/goannai/goannai.htm



そこで花街のお姉さん方や”おっかしゃま(=女将さん)”も

芸を奉納するのですが・・・


彼女達はこの日の為に最高級の黒を仕立てます。

そして・・・

しなりしなりとお諏訪様の境内に行き

ゴザも何もない石畳に直に正座をし

しゃみ(三味線)や長唄を奉納します。



おんなっぷりMAX


すごいのは

雨が降っても傘を差さず、

びしょびしょの石畳の上に直に座り、

まっすぐ前を見据えて芸を奉納するのです。



おんなっぷりMAX



最高級の着物。

もちろん絹でしょう。



でも、それを露にも気にせず

芸の精進を願う姿。


それに付き添い、自分も雨に打たれながら

お姉さん方の精進と健康、商売繁盛を願う”おっかしゃま”。


そして、それを見守る”旦那さん”。


おんなっぷりMAX



なんだか身震いするほどの

姿勢が感じられます。

どんなことにも触れられない、惑わされない

強さを感じました。


祖母はそれをいつも誇らしげに話してくれました。




今も長崎に住む叔母の話ではそんな慣習も

薄れてきたのだとか・・・しょぼん



でも、なんだか私には忘れられない話として

今も心に残っています。





ちなみに長崎 花街のお姉さん方。


見えるところにはお金をかけなかったそうです。


どこにお金をかけるかはてなマーク



足袋の留め金を『』で作っていたそうですキラキラ



知る人だけが知っている本当の女の価値。



おんなっぷりMAX



なんだか『粋』を感じずにはいられないのは

私だけでしょうか?



※写真は全てお借りしました。