11月2日〜4日の3日間で群馬県東部地区アンサンブルコンテストの審査員を昨年に引き続きして参りました。

昨年と会場が変わり、伊勢崎市境総合文センターという会場。吹連の方にお話を聞いた所、こちらでやるのは初めてとのこと。

袖から大きなマリンバが搬入できず、後ろの反響板を上げて搬入というハプニングがあったり、他にも幾つ思ったりして運営側も毎年ご苦労されているのだなと、シミジミ。
本当に毎年関わっている先生方には頭が下がります。

群馬は1校につき3団体出場が可。

東京は、2団体ですが、2チーム出れるのも抽選だし、1チームは4分の演奏時間。

群馬の中で地区が別れているからできるんですね。東京も東西とか、市部、区部とかで別れてくれればいいのになとつくづく感じる。ホールの空き状況や関わる人、予算など問題はたくさんあるのでしょうが。。。


演奏を軽く振り返ると、

技術と表現って項目について、いつも考えるけど、音楽的表現も技術の部分の割合が多いので、2つの点数が似てくるのは当たり前のことなのだけど、表現が技術を上回ってくる場合もちゃんとあるのです。
寧ろ、中高生にはそうあってほしいという気持ちも強い。しかし現状は少ないなと感じましたし、前々からそう感じていました。

音楽の持つ内面のキャラクター、内面の表情を認識してそれを伝えようとしているか。これが優れた演奏に必要だと思います。
伝わってくるものが、集中力の高さや一生懸命やってるというのものは、大前提の話で音楽ではないのです。美しいフレーズに一生懸命の「頑張る」の要素は入って欲しくないのです。

そこの音楽を汲み取ってみんなで没頭してほしいのです。人生経験の少ない中高生にとって、そこから汲み取って行くことも、大変だけど、それを理解していくからこそ、心が豊かになっていくわけで、それを学べる吹奏楽部の強みだと思うわけです。
ホールへ観客へ、その表情をより説得力を持って伝えるために技術が必要になってくるんです。練習が必要になってくるんです。

私はこのポイントを重要視して中高生の演奏は聴いています。曲の理解と表現です。
もちろん、先の大会を意識して何を優先されて演奏されているかも、こちらには伝わっています。

先が楽しみだなー、県大会のこのチームの演奏聴きたいなと思わせる演奏もありました。よく先を見据えて1つずつステップをクリアしてくる学校はやはりそう思わせてくれます。

私は仕込まれた演奏はありなのですが、
好きではありません。
もちろんきちんと演奏されていますし、先程言った通り表現も技術でできます。曲の表情にあっていない奏者達の音は冷たく事務的に聴こえます。もちろん上手いのですが、音楽ではなく、集団美です。
ただ誤解してほしくないのは、じゃあ曲を理解してぐちゃぐちゃでも雰囲気が伝われば良いのかというとそうではないです。こっちから汲み取ることができても、説得力のある演奏としてホールには伝わらないからです。私が汲み取ってあげることと、表現できていることは違います。
(表現したいことと表現していることは別ということ)
そういう面では、仕込まれて統一感がある演奏の方が良いと思う面もありますね。
ただこちらの場合のデメリットは練習時間がメチャメチャかかる。今年度は部活に対して「時短」がキーワードになっています。
昨年から聴いて、仕込まれた演奏をしている学校の技術レベルが格段に落ちていました。昨年より2週間演奏時期も早いのも影響あるでしょう。

集団美の演奏でも心惹かれるものはあります。一朝一夕ではできないものですし、凄いって思わせてくれます。今回そのような演奏は10団体もなかったように感じます。

とある打8は音楽的でとても良かった。
とある木8もとても良い演奏で、
曲の持つ、内面の美しさと畏怖さの狂気の面の表情が出てきたらと想像させてくれる、次がとても楽しみな団体の2つがかなり印象に残っています。

いくつかのチームは環境がとても心配になりました。
たぶん、楽譜を間違えたまま気がつかず練習をし本番もそれで演奏したのか、BとFの切り替えがわからず運指を間違えてしまい続けているのかのどちらかのチーム。
誰も音が違うのに気がつかなかったのかな。
4度とか5度とかの違いだから偶然ハマってしまう音も沢山あるのだけど、、、
仲間にも気がついて欲しいし、チーム外の部員の誰かが気がついてもいい、顧問の先生でもいい。
そこの環境が気になってしまった。
どうか良い環境になりますように。

メンバーでやってるところがズレても、そのまま続行し続けたチーム。うーん、ズレたのには気がついたのだろうか?聴こえていない気もした。
一緒に演奏して欲しかったな。

良くも悪くも印象に残る演奏は10団体ほどでした。
160団体の1つ1つのチームに事情があって、過程があって、その様子が垣間見えつつ本番があるわけで、本番を通じて、また新たな想いが出てそれをどう扱うかで、次の成長に繋がる。
その1部分を審査という形で共有させて頂く、貴重な仕事を頂け、自分自身もこうやって想いが出てくるので成長させて頂けてる。有難いなと思います。

アレルギーでお弁当が食べられなかったりする自分に対して、温かいお米を炊いて頂いておにぎりを用意してくださったり、ブログを確認してまで、私の食べられるものを用意してくださったりと心の暖かさまで頂けました。本当に感謝しております。

もし見てくださっていたら、この場ですみませんが、その節は本当にお世話になりました。ありがとうございます。

審査員のメンバー達も本当に優しく温かいメンバー達でした。控え室でもリラックス出来て良かった。

2年やってだいぶ土地の名前、学校名を覚えて、地域差を感じ始め、東部地区の内情が見えつつあります。
私はティーチングアーティストととして思うけど、音楽を通しての人間教育はこれからとても必要な時代になると思う。
時代は逆光しているように感じるが、行くところまで行くなら早く行ってしまって、早く戻ってくるといいな。
ただ、人間教育を音楽を仕込む事と勘違いしてほしくはない。

生徒一人一人の目をみよう。
その表情が真剣かどうかは大切だが、そこに暖かな光は見えるだろうか。たくさんの表情があるだろうか。
私も本当にたくさん学びたい事がある。

今回も群馬東部地区吹奏楽連盟様を始め、東部地区の皆さんにお世話になりました。
心から応援していますので、一緒に成長しましょう。ありがとうございました。

2018.11.6
石黒琢也