会長のタカハシです。
しりとりブログ『み』ということで考えたのですが、“ミル・マスカラス”は造詣が深くないので違うことを書きます。
み...
み...
ミイラ!!
“ミイラ”というのは人工的、自然的に長期間原型をとどめている死体のことを言います。
エジプトの...なんてのは有名ですな。
ミイラというのはもともと、防腐剤として用いられてた油のことを言いまして、アラビアやエジプトなどではこの油と言いますか薬を死体に塗って布で包んで腐るのを防いでたのでございます。
もともとはポルトガル語で「没薬」という意味でございます。
漢字で書くと「木乃伊」です。
ミイラ取りがミイラになるなんてコトワザもございますな。
人を連れ戻しに行った者が、その目的を果たせず帰ってこなくなってしまうことです...。
「まったくせがれは何をしてんだ!!」
得意先へ集金に出した息子が店に戻らず、吉原で遊んでいると知った店主。
番頭の佐兵衛を迎えに出すが、これまた二日、三日経っても帰ってこない。
「せがれと一緒に遊んでいるに違いない」と考えた店主、次は妻のすすめで、店に出入りの鳶(とび)の頭(かしら)に頼むことにした。
頭なら吉原のことも詳しいので心強い。
頼まれた頭も「よござんすよ」と二つ返事で実に頼もしい。
威勢よく吉原へ向かった頭。
途中で野だいこ(素人の太鼓持ち)の一八に会ってしまったのが間違いのもと。
息子や番頭のいる部屋に入ったはいいが、一緒になって遊びだし、これまた七日経っても帰らない。
木乃伊取りがミイラになるばかりで店主は腹が立つやら情けないやら。
「まったく自分は若いころから外で道楽なんかしたことないのに」と呟くと、横から妻が「そのかわり女中には全部手をつけて」なんて返すから、しなくていい夫婦ケンカを始めてしまう始末。
そんな揉めているところに、奉公人で飯炊きの清蔵が顔を出し「だったら、おらが迎えに行きましょうか?」と申し出た。
はじめは、田舎者のやれることじゃない、と渋っていた店主だったが「困っている主人を助けるのが奉公人の務めでねぇですか」と言う清蔵を信頼し行かせることにした。
出かける支度を終えた清蔵の格好は、田舎から持ってきたゴツゴツの着物に古い帯を締め、熊の皮の煙草入れをぶら下げたスゴイ格好。
お内儀(おないぎ)から巾着を預かり、昼間の吉原へと向かった。
異様な風体の清蔵に驚いた店の者が、二階にいる三人に「変わった人が来ましたが...」とご注進。
番頭が「飯炊きの清蔵だ」と言うと、店の者は「あんなのを奉公人にしてるのですか!?」と大笑い。
そこへ上がってきた清蔵が「あんだと、この野郎!!」と店の者を怒鳴りつけ、その勢いでそばにいた番頭や頭にもめちゃくちゃに当たり散らす。
それでも、まだまだグチグチ言っている若旦那にはついに怒りが爆発し「若旦那つっても容赦しねぇ!!」と鬼の形相でわめきまくる。
その剣幕に圧倒された三人はしぶしぶ帰ることを承知したのだが...
どうせならにぎやかに帰ろうと、清蔵も機嫌直しにちょっと一杯となった。
「そんじゃ、一杯だけ...」
ところが清蔵、
酒が入ると様子が一変。
そばについた若い女郎に何度も酌をされてデレデレになってしまう。
「こんただアマッ子とええ事しとるんだなぁ。
こりゃ帰れちゅうのは無理かもしんねぇなぁ。
何?もう帰るってか???
んだば、おらはもう二、三日ここにいるべぇ...」
古典落語『木乃伊取り』でございました。。。
m(_ _)m