真似事 | 包丁研ぎ師月山の包丁研ぎ磨ぎブログ

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人として包丁研ぎ師としての日常や発見、気づきなどを書いています。

目指すは包丁研ぎ世界一。みなさんに少しでも刃物に興味を持っていただければ幸いです。

高級鍛造刃物販売、修理研ぎをする三代目です!

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非常にブログの更新が空いてしまいました。
 
昨年末から研ぎ依頼が集中したこともあり連日夜中まで仕事をしてはおりますが、なかなか消化できず研ぎ依頼も通常より少し多く時間を頂くような状況となっております。
 
誠に申し訳ございません。
 
本来そのような状況である中でさらに時間を割くのは気が引ける部分もありましたが、なかなかないチャンスであったため、2月の初めになべきち工房で楽園さんと切り出しを作らせていただきました。
 
 
 
 
 
 
鍛接&鍛造、整形してからの焼き入れです!!
 
 
 
焼き入れ後です。
 
やっぱり刃物ですから、切れ味はもちろん、硬さ、研ぎやすさ、粘りなどが大事。
 
この時点での出来不出来はよくわかりませんが、研いでみればすべてがわかる!!
 
ということで実はなべきち工房から帰ったその日、夜中の1時まで研いでました(笑)
 
 
 
製造の途中で裏を漉いたのは良かったのですが、焼き入れ前に裏出しをするのを忘れてしまうという失敗をしたため、研磨しながら金床で裏出しして刃を付けました。
 
 
とりあえずブログで見せられるレベルにまとめることができました。
 
 
天然でキンキンに研ぎましたよ!!
 
なかなかいい仕上がりです。
 
ただし!!
 
軟らかい(笑)
 
焼き戻しを長時間しすぎたのか、原因は正確ではありません。
 
また鋼材は白紙二号なのですが、温度を上げすぎて炭素が抜けたのか、切れ味が白三かそれ以下のように感じます。
 
切れ味が滑らかすぎます。
 
研ぎやすい反面、泥が勝手に研げなくてもいいところを研いでしまうようで、きっちりと仕上げるのに苦労しました。
 
また軟らかい刃物特有の天然での仕上げた際の光り方が少し違います。
 
やはり硬さや炭素の多い少ないで仕上がりが変わるのも面白いですね。
 
 
 
そしてここからが本番です!!
 
かなり硬い樫の木をえぐるように削ります。
 
あえて欠けるようなひねりを入れたような切り方をしながら一時間ほど検品しました。
 
 
 
刃先は木に負けているように見えますが、他の切り出しで欠けてしまうような使い方でも欠けは出ませんでした。
 
鋼が軟らかいので問題が出るかとも思いましたが、これはこれでいいですね。
 
ただ長切れはしない可能性はあります。

 
 
最近の包丁は硬さを求めている傾向が強くHRCで60くらいが標準となってきているような感じですが、昔は55~58くらいだったと聞いたことがあります。
 
もちろんまな板が木製から樹脂製に変わったことで硬さを上げる必要があったのだと思いますが、研ぎができればあまり硬さは必要はないのかもしれません。
 
硬い刃物も、軟らかい刃物も研いで刃物の特徴を知り、お客様の要望に合ったものをしっかり提供することができるようになりたいですね。