なぜ父親は無治療を選んだのか?
それは検査をしていた大学病院の専門医をはじめ、現主治医にもそれがいいと言われたからでもあるが、
第一の原因は、キーパーソンである兄の言葉にある。
『抗ガン剤治療はしない方がいい』
まだ検査中から、兄はしきりにそう言っていたそうだ。
理由は、医師たちが言っていたことと同じでもあるだろうが、何と言っても癌治療は高額だ。
母のこともあり、その上私は働いていない。
兄は自分のお金を出す気はなかったのだと思う。
だかり刷り込みのように父親に言って聞かせていたのかもしれない。
キーパーソンである兄が治療方法を探そうとしなかったら、高齢である父親は自分でどうやって探したらいいかわからず、頷くしかないではないか。
私が母を病院に預け、父親のために早くから奔走すれば良かったのか。
すべて私がキーだったのか?
何をして、何をしなければ良かったのか。
誰か教えて欲しいものだ。