朝を歩けば孤独になれる(Blue ice) | 貴方のこゝろにバンドエイドを。(失恋・難病)

貴方のこゝろにバンドエイドを。(失恋・難病)

~14歳の恋愛不能、難病ねこが寂しさと痛みを
ねこセンセーと手放していった宣戦布告手紙集~

 

窓から緑風が踊り込まれてくると、

 

 

そのやわらかく

しなやかな風は

ベッドを優しくなでた。

 

 

パンジーの葉っぱが若い陽射しに

かさかさと秋の音を伝えだしていた

200X年秋口。

 

 

その手紙がやってきたのは

純喫茶ねこの台所でスパゲッティを

茹でながらウインナーをタコ型に

切っていたときだった。そして、

 

 

黄色いスープの上空が白い雲に

覆われているのを眺めながら

手紙をゆっくり読んだ。

 

 

スズメさん

「ねこさん、私乳がんになりました。

あきらめたくありません。なにか助言

いただけないですか」。

 

 

意志と配慮を感じる手紙だった

記憶の手触りがまだ残っている。

 

 

当時まだ荒んでいたねこさんはどうしても

人に役立つことで浄化しようともがいていた

ころでした。

 

 

「いいですよ。おみかん箱100個くださいね」

 

 

契約完了。

 

 

そこから他者のがんと向き合うことがはじまった。

 

 

しかし乳がんの苦しみなどわかりも

しないのにどうしたらいいものなのか、

プレッシャーで重力が1.7倍くらいに

感じる日がはじまった。

 

 

その日から朝方に出会う夢は

いつも決まっていた。

 

 

乳房の部屋を開けると真っ暗。

 

 

暗闇の中にギシギシ音を立てる

廊下がまっすぐに伸びている。

 

 

暗闇の壁を触るとまるで巨大な

ゼリーのように冷たくドロドロだ。

 

 

出口がわからず一人彷徨っているが

遠くで轟音が聞こえている。

 

 

そして薄く目が覚める。

 

 

この繰り返しだった。

 

 

他にも夢はみたかもしれないが

この夢しか覚えていない。

 

 

ねこセンセーに相談したら

ある本を紹介してくれた。

 

 

川村文夫さんの

「幸せはガンがくれた」

という一冊の本。

 

 

イメージ療法で脳腫瘍を完治したプロセスが

掲載されている本だけれど、NHK教育でも

紹介された類を見ない本。

 

 

1978年ギャレット君(9歳)は末期の脳腫瘍と

診断され放射線治療、化学療法そして手術不能で

だめだった。

 

 

しかしギャレット君はあきらめない。

 

 

カンザス州で開院しているパトリシア・ノリス

先生にイメージ療法を受けにいく。

 

 

余命6ヶ月と診断されたギャレット君と

ノリス先生はイメージ療法を徹底的に

活用した。

 

 

単純なイメージではなく起承転結のある

神話(ストーリー)を創作したのだ。

 

 

白血球と脳腫瘍を脳のなかの宇宙戦争として

見立てて、鬼退治のようにガンを退治していく。

 

 

もちろんギャレット君は

戦闘隊の隊長。

 

 

ノリス先生は司令官。

 

 

この二人の見事な指揮者と

奏者のようなSymphonic

スタイルでガンをじょじょに

退治していく。

 

 

神話をつくるためには臨場感が必要だ。

思考は現実化しないじゃないか!と憤慨

してる人は臨場感がないため現実化しない。

 

 

ギャレット隊長とノリス司令官は音響効果もある

テープも作ってさらに臨場感をあぶり出して

ガンを退治していった。

 

 

(宇宙銃の音も音響にいれていたかも)

 

 

ギャレット隊長は毎日毎日このテープを聞いた。

 

 

きっとテープが

擦り切れるほどだっただろう。

 

 

一年後。

 

 

腫瘍は跡形もなく消えていた。

 

 

スターウォーズ(宇宙

戦争)に勝ったのだ。

 

 

この本を読み終えてねこセンセーに報告

する前に根拠のある自信が沸々と湧いてきた。

 

 

自分を鎮めるためにウォーキングをした。

 

 

「もしかして人を救えるかもしれない」

 

 

そこから順調にセッションは進んでいった。

 

 

と言いたいところだが新しい神話を

インストールしようとすると妨害が

はいるものだ。ドラマみたいに。

 

 

ガシガシと砂を歯ですりつぶす

ような時間にしばらく溺れた。

 

 

クライアントの体調が急変したり

病気以外の人間関係の悩みが物質世界に

滲むようにドバっとわきでてきたのだ。

 

 

なにか新しいことをはじめるときは

エネルギーがあがっているときだ。

 

 

周りの人やもうひとりの自分が

それを認識して自分を新しい世界

に行かせないように身動きさせ

ないようにする。

 

(エネルギーを奪おうとしてくる)

 

 

貴方もなにかはじめようと決意した日に

嫌いな親や嫌いな上司旧友から電話や

メールLINEがきたことはないだろうか。

 

 

ギャレット隊長の話をねこセンセー

としたときに教えてもらったことがある。

 

 

それはギャレット隊長と同じことを

していても時間がすごくかかる

だろうということ。

 

 

どれだけイメージ療法をして

テープを聞いていて、周りの環境が

劣悪だと悪いイメージ負けてしまう。

 

 

だから2つのことをクライアントに伝えた。

 

 

・ガンを敵視しないこと

・思考と行動のダンスを忘れないこと

 

 

 

・ガンを敵視しないこと

 

 

新しい世界にいくならば

ガンは敵視しなくてもいい。

 

 

正義感で自分が正義、相手が

悪という構図はわかりやすいが

 

 

足を踏み外すと正義感を利用して

やりすぎてしまうことがあるのが人間。

 

 

お金や恋愛を追いかけすぎて

狂っていく人いますよね。

 

 

ダース・ベイダーみたいに闇落ち

(ダークサイド)してしまう可能性が高い。

 

 

(コロナ禍ではマスク警察がいました)

 

 

ガンを敵視するエネルギーはもったいないし

そのエネルギーを治癒に回したほうがいい。

 

 

乳がんチャンが楽しく幸せなら

スズメさんを必要としないはず。

 

 

スズメさんも乳がんチャンを

必要としないはず。

 

 

そうすることで乳がんチャンは

本来の世界に戻ることになる。

 

 

大切なことは、

 

 

乳がんのある生活から

乳がんのない生活にジャンプ

すればいい。

 

 

・思考と行動のダンスを忘れないこと

 

 

イメージだけでは時間がかかる。

 

 

思考は現実化する。

 

 

が思っただけでは現実化しない。

 

 

臨場感がないと現実化しないって

さっき言ったけれど、

 

 

大切な人と喧嘩してあんなやつ死ん

じゃえばいいと言ってほんとに

死んでしまうと大変なことになるよね。

(刑事事件に)

 

 

なのでこの3次元の惑星では

思考(原因)と行動(結果)の間に

分厚い氷板があるようだ。

 

 

その冷たい氷の板を溶かすには

思考と行動のダンスが必要。

 

 

そうすることで新しい世界(ガンが

人間を必要としない世界)に

ジャンプインできる。

 

 

後ろから長髪を引っ張られて

いるように、初期設定として人の

思考は過去の現実(記憶)に強く

引っ張られているから、

 

 

ダンスを忘れると過去の

思考、行動に戻される。

(昔の嫌な自分にback)

 

 

窮地に追い込まれると人は(過去の)

現実的なアプローチを溺愛して

心を安定させる。

 

 

現実的にネットで病気を調べたり…

現実的に生存確率を調べたり…

現実的に権威の大学病院を調べたり…

現実的に生きろという言葉に屈服したり…

 

 

そして数年後に死ぬための

行動の神話(物語)を創っていく。

 

 

スズメさんもガンのステージ

は小さい数字ではなかった。

 

 

そうならないために現実的な思考行動を

シャットアウトしてただひたすら

思考と行動のダンスを繰り返すように

伝えた。

 

 

思考を地に足につけるには行動が必要。

 

 

行動することで治療法の、何が合うのか

何が合わないのかがうっすらみえてくる。

 

 

小さい行動をたくさんすることで

乳がんチャンのいない生活にジャンプできる。

 

 

病気をすると時間がすり減っていく感覚に

陥ってしまうのでどうしても底上げするには

短期間のエネルギーが必要になってくる。

 

 

スズメさんも乳がんチャンのいない

リアルな世界の物語に紐付けた

幾多の思考と行動のダンス

をとることに決めた。

 

 

・科学的な最先端治療

・東洋的な治療

・非科学的なもの

・トンデモ治療

 

 

それぞれ丁寧になぞっていった。

 

 

無名だけど凄腕の医師に

会いに行くだけでなく、

 

 

できれば今までしてこなかったこと、

映画を見に行ったりご飯を食べに行っ

たり旅行にいったりしてくださいと伝えた。

 

 

人は合理的にデータを集めたり、

直線状に進化しようとしがちだが、

 

 

人はDNAのように螺旋状に成長して

いくので非合理的な行動は生き

詰まったときの媚薬になる。

 

 

映画、外食、旅行、出会い、マンガ喫茶、

銭湯、ゲーム、ショッピング、断捨離…

 

 

最高の時間を最高の人と過ごしてほしい。

 

 

治療と何ら関係なく見えるが人は

リラックス状態の周波数になると

誰しもアイデアや思考が真夏の夕立

のように突然降ってくる。

 

 

大切なことは過去の思考行動に

引っ張られるのではなく新しい

世界に引っ張られるために、

 

 

凝り固まった現実的な

思考行動を手放すこと。

 

 

ねこさんのその頃はどうだったか?

 

 

スズメさんの現実(脳の中)に

入っていったため、朝起きると

枕に髪の毛もすごく抜けていた。

 

 

食べる元気もなくなったので

友達の羊さんに肝臓デトックス

ジュースを作ってもらったこともあった。

 

 

どうすれば病気が治るか?

 

 

ではない。

 

 

病気が幸せならスズメさんを必要としない。

スズメさんが幸せなら病気を必要としない。

 

 

病気は鬼退治のように理詰めと暴力で

追い詰めていくのではなく共に

歩んでいくパートナー。

 

 

そう思うと病気というのは

自分で創っているとも考えられる。

 

 

ねこさんも大腸の病気を患っていた。そう、

病気になることで家庭の安定を図っていたのだ。

病気は必要だったと今なら確信できる。

 

 

病気のある世界から病気のない世界へ旅立つ。

 

 

自分は病気じゃないという信念が必要だから、

新しい思考(イメージ療法)と行動(新しい

非合理的な言動)をプッシュした。

 

 

頭が真っ白になるまで

実践してくださいと伝えた。

 

 

心に突き刺さっている病気の

もとである罪悪感をひとつ

ずつ抜いてくださいとも伝えた。

 

 

人は死を覚悟すると過去を思い出すらしい。

些細な罪も思い出すのかもしれない。

 

 

スズメさんもいろんな罪悪感があったようだ。

蝶々を傘で叩いたり、カエルを川に流したり

親が妹ばかり贔屓するるから妹をいじめたり。

 

 

すべてやりつくしていくと人は根拠

のある自信に包まれる。時間が立つ

ごとにスズメさんの顔色、声のトーン

髪型、服装も変わっていった。

 

 

病気を治すという発想はなくまさに

病気のない世界に飛びだっているようだった。

 

 

乳がんチャンというパートナーとも

終りを迎えていたのだろう。

 

 

スズメさんの表情からは自信のある

別れの予感が漂っていた。

 

 

ベトベトした巨大なゼリー状の

壁が暖色のフワフワで弾力あるの

壁に進化していったのだろう。

 

 

麗しのパートナーだったけれど

お互い別々の道へ。

 

 

 

追伸1

 

 

この場で治ったとかどうかをいうと

問題があるかもしれないので

言うことはできませんが、

 

 

その後スズメさんはパートナー解消を

して新しい未来へ旅立っていきました。

 

 

もちろん報酬のみかん箱は

送っていただけましたよ。

 

 

セッションの最初のほうでは

声を震わしながら小さな声で

 

 

「夜、目が覚めると涙がとまらないんです」

 

といっていた。

 

 

ねこさんの鼓膜は破れそうだった。

 

 

残酷すぎる言葉と感じ

受け止めることができなかった。

 

 

結局人は他者を救うことなどできない。

 

 

なんて傲慢な思考だろうか。

 

 

自分の体験や周りの体験を

シェアすることしかできない。

 

 

そして死というのはエゴだとわかった。

 

 

生きてるふりして死んでる人

死んだふりして生きてる人

 

 

いつ死ぬかなんて決めることはできない。

 

 

追伸2

 

 

みかんのダンボールに手紙が

はいっていたがそれから

一切連絡はなかった。

 

 

焦った。

 

 

なにかあったのか。

 

 

再発したのか。いや、それなら

連絡がくるはずだ。

 

 

言葉の出し違いで傷つけたのかもしれない。

 

 

全身を紙やすりでかけられた気分だった。

 

 

それから毎朝自分の不安を

打ち消すために歩くことにした。

 

 

歩いて歩いて歩いた。

 

 

数ヶ月の疲れを吹き飛ばしたかったの

かもしれないがとにかく歩いた。

 

 

朝を歩くというのはこんなに

静寂に包まれているのか。

 

 

森の中を歩くと蒼い氷のようにひんやり。

 

 

そこから新しいおみかんジュースをつくる

仕事が入ってきたためスズメさんの

ことも忘れていった。

 

 

いや、夏肌が消えていくように

自分のふがいなさも忘れたかったのだろう。

 

 

とにかく前に進みたかった。

 

 

もう花束みたいな春がやってきていた。

 

 

ある日の朝、ウォーキングのために

可愛い靴を履いて玄関を出ようとした

ときだった。ひらめいた。

 

 

連絡がなかったのではない。

 

 

スズメさんはねこさんがいない

世界に旅立ったんだ。

 

 

それがようやくわかった。

 

 

少しの安堵を抱えて

濡れはしないが、

 

 

肌の湿る霧のような雨に

包まれた清涼感のある朝へ

出発した。

 

 

遥か昨日のこと。

 

 

 

ねこ