第一話-3 & 最悪のルームシェア | 月夜の宴

月夜の宴

今宵、お嬢様と一緒に同じ時間を共有できますことを嬉しく思います。


●【コミック】最悪のルームシェア、始めました




俺の初恋は小学校6年生の時、クラスの病弱な男の子。
退院してきて始めての登校。
不安そうな顔を、俺は何とかしたくて声をかけた。

<病弱な男の子>
「どうして休み時間なのに、君は他の子と外へ行かないの?」
<木村 遊>
「だって、俺がいなくなったら、この教室にお前一人になっちゃうじゃん」
<病弱な男の子>
「それって同情・・・?」
<木村 遊>
「え?」
<病弱な男の子>
「僕が病弱だから、健康な俺が側にいてあげようみたいな」
<木村 遊>
「違うよ」
<病弱な男の子>
「嘘だ・・・」
<木村 遊>
「嘘じゃない」
<病弱な男の子>
「じゃぁ何で?」
<木村 遊>
「お前の・・・お前の笑った顔、見てみたい」
<病弱な男の子>
「え・・・?」
<木村 遊>
「だってお前、まだ今日一度も笑ってない。
 ずっと眉毛下げて、不安そうに見えたから」
<病弱な男の子>
「そっ・・・か。ごめん」
<木村 遊>
「なんで謝んの?」
<病弱な男の子>
「だって僕、君にひどいこと言った」
<木村 遊>
「いいよ、そんなの。
 それに謝るくらいなら、少しくらい笑え」
<病弱な男の子>
「うん・・・でも、何も面白いことないのに、どうやって笑うの?」
<木村 遊>
「知らねーよ。自分で考えろ」
<病弱な男の子>
「それ、無責任っていうんだよ」

これが最初の出会い。
この時のあいつのはにかむように笑った顔が、まぶたに焼き付いて離れなかった。
それから卒業するまで毎日のようにつるんで、あいつが連絡もなしに卒業式に来なかった時、何かあったんだと分かった。
卒業式の後、あいつの家に急ぐと、家には誰もいなくて、後日・・・


――あいつが死んだことを知らされた・・・。