第一話 - 2 & 執事のプリンスさま びしょ濡れアフタヌーン | 月夜の宴

月夜の宴

今宵、お嬢様と一緒に同じ時間を共有できますことを嬉しく思います。

<斉木 篤郎>
「お早うございます。
 ちょっとみなさん、集まっていただけますか?」

前髪をワックスで上げた長身の男性が、小柄な男性を連れて部屋に入ってくるなり全員に集合をかけた。
彼は斉木 篤郎(さいき あつろう)35歳。
俺達の部署の最高責任者だ。
あんなに仕事もできてイケメンなのに、結婚もしていないし、いつ見ても仕事ばかりしている。
そんな彼が昨日は定時でさっさと帰る準備を始めたから、真歩がチャンスとばかりに声を掛け、あっさりと振られた。

<木村 遊>
(昨日、真歩があまりに絡んでくるから、彼女でも出来たんじゃないかと言ったら泣き出したんだったな・・・
 ま、あの人なら彼女くらいいても不思議はない、か・・・)

昨日、週始めのミーティングをしたから、今日は何か別の話だろう。

<木村 遊>
(新入社員?
 それにしても、へんな時期に入ってきたな・・・)

うちの会社は年度途中からの採用はしていないと思っていた。
だからなのか、みんなの視線は彼の横に立つ小柄な男性に釘付けだった。

<上村 一樹>
「あれ男か?」
<城谷 真歩>
「きゃ~可愛い子!」
<上村 一樹>
「スーツ姿が違和感・・・だな」

俺達がこそこそと感想を言い合っていると、斉木さんが話を始めた。

<斉木 篤郎>
「今日から俺の補佐をすることになった、雨宮君だ。
 みんな宜しく頼む」
<雨宮 弦>
「雨宮 弦(あめみや ゆずる)です。斉木さんに声を掛けていただき、お世話になることになりました。
 みなさん、よろしくお願い致します」

声変わりしていないのか、高めの声が彼の子供っぽさを一層引き立てた。
深々と頭を下げると、少し顔を傾けて恥ずかしそうに笑顔を見せる。

<木村 遊>
(う・・・か、可愛い・・・)

俺は彼の笑顔に、一瞬にして魅了された。

<斉木 篤郎>
「雨宮の上司は俺になるが、俺がいない間は・・・そうだな・・・
 木村、お前が色々教えてやってくれ」
<木村 遊>
「え、俺っすか!?」
<斉木 篤郎>
「あぁ。よろしく頼む」
<雨宮 弦>
「よろしくお願いします」
<木村 遊>
「あ、あぁ。よ、よろしく・・・」
<斉木 篤郎>
「さっそくで悪いんだが、俺はこれから本社へ一度行かなくてはならないんだ。
 夕方には戻ってくるが、それまでにここのこと教えてやっておいてくれ」
<木村 遊>
「あ、はい!」

<木村 遊>
(俺・・・こんな可愛いのと一緒に仕事して大丈夫なのか?)

<上村 一樹>
「お前、顔赤いぞ」
<木村 遊>
「か、一樹!?」
<上村 一樹>
「お前ー、彼女ができないからって男に手だすなよ?」

茶化すように一樹が俺をひじでつついた。

<木村 遊>
「分かってるよ!つーか、出すわけないだろ!」

俺にはもう・・・そんな勇気はない。






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ある日、広大なお屋敷に連れてこられたあなた。
以前、軽い気持ちで引き受けたアルバイトとして、3ヶ月間、お嬢様生活をすごすことになってしまう。
あなたをお世話するのは3人の執事のうち、選ばれた1人。
その3人はそれぞれ、超有名な芸能人!
彼らには、一人の女性に尽くし磨き上げることでもっと女性への敬いを身に着けてもらう必要があるという。
その3人と過ごす甘いお嬢様生活。
……に見せかけて!?