はじめに

 オレが10代の頃は矢沢栄吉(以下エーちゃん)がなんと言ってもサイコーだった。エーちゃんの歌は、どれもアメリカンドリームに満ちていた。
 「ウイスキーコーク」、「アイラブユーOK」など。特に「ゴールドラッシュ」。ゴールドラッシュは、1848年1月24日、アメリカのカリフォルニアで始まり、川で開拓民が、豆粒半の大きさの金を発見。当初この事実は秘密にされていたが、翌年にはニュースが世界中に広がり、一攫千金を夢見る人びとが、当時無政府状態同然であったカリフォルニアに押し寄せた・・・。
 ここで言うゴールドは、アメリカのサクセスストーリー、当事広島から東京に向かい心境だったのだろう。この歌が流行った頃、日本には暴走族がいて、彼らはある意味の落ちこぼれで、レールの上を行くのをやめ、飛び出す若者に夢を与えた。とにかく日本全体「カネ」さえあれば幸せを得られると思わされていた時代だった。
 あれから20年以上経った今、日本人の価値観は、代わった。
オレがスペインやイタリアという地中海を求めたのが88年だった。90年ごろからイタメシとかイタリアの観光も増え、日本で「イタリア」が取り上げられるようになった。そして、ここ数年日本人は観光ではなく、イタリアを生活に取り入れるようになってきた。そのためにイタリアに住む人が増えてきたのである。

資料

日本人出国者数が横ばい状態となった後も、海外で暮らす日本人の数は増加し続けている。在留届を元に外務省が発表している海外在留邦人数調査統計によると、2002年10月1日現在の在留邦人数は約87万人。内訳は永住者が約29万人で、長期滞在者が約59万人となっている。10年前に比べると、それぞれ約3万人、約16万人増えており、増加が目立つのは、留学生や駐在員、ロングステイヤーらを含む長期滞在者。前年比では長期滞在者総数が8.2%増加、地域別では、オーストラリアやニュージーランドを含む大洋州が16.9%増と著しく伸びている。

なぜイタリアか

 時代はアメリカからアジアに移ろうとしているのは知っている。だからこそ、オレは東から西へと流れとは逆に東に向かった。いや、時代の流れに従ってさらに西へと向かった。そこには「カネ」を求める人々ではなく、成熟した文化、本当の価値観を探したのだ。これからもオレは、ここイタリアで発掘したいいモノを神出鬼没に爆撃して皆を驚かせようと思っている。覚悟してね。
 イタリアがなにを与えることが出来るかは、日本でも見られるファッション雑誌をみてもわかる。CREA「欲望のイタリア」marie claire japan「イタリアの快楽」など、まだまだある。オトナの魅力なのである。

 「美」に幸福観を求める

 「カネ」が私たちの生活に必要不可欠なのは、当然のことである。が、その「カネ」というものは価値がなくなることもある。永遠の価値を持つものは「芸術=アート」つまり「美」なのである。
 我々日本人には、本来「美」に対しての意識が高い。それを取り戻す時が来たのだ。でも、どうやって?私たちを認めてくれて、いろんなことを与えてくれる人々。だから「イタリア」はやめられない。