何故、日本語をイタリアで教えようと思われたのですか?

 

17年ほど前(5年半ほど前のインタビューなので今からだと21年以上になる)になりますが、日本人とイタリア人が出会う場所を作りたいと思いました。

当時は、イベントを開催していて、少なくとも月に1〜3回と不定期ではありましたがイタリアの方々にかなり喜ばれました。

その中で、日本が大好きで日本語を勉強したい!というイタリア人の要望で、小さな日本語教室を作ることになりました。

日本語以外にも、日本食や文化、漫画なども教えています。

 

現在、日本語の先生に出会いました。

とても優秀な先生たちなので、グループレッスンや個別レッスンなど、様々なタイプで日本語教育を実施していただいています。

特にグループレッスンでは、用意したテキストを使用して、会話、読解、筆記の練習を12時間分、8回に分け実施しています。

 

学生の方々は何故、日本語を勉強しようと思われるのでしょうか。

 

多くのイタリア人はアニメ等のサブカルチャーの文化と出会い、日本に興味を持つようです。

また、最近ではイタリアでも日本食もブームですので食事の興味から参加する方もいます。

 

アジアの国々で日本語を学ばれる方は、割と日本で技術を学びたい、日本で働きたいという真剣に将来とリンクさせることが多いように感じます。

ただ、イタリアでは、割と遊び感覚や興味で学ばれる方が多いように感じますね。

もちろん、中には日本で就職したいという方もいらっしゃいます。。

アニメを通して日本とイタリアの距離がかなり縮まることになり、その後に日本をより知ってもらう。

現代的でとても面白い結果が出ているなと思っています。

 

 

 

イタリア人が触れる日本のアニメや漫画は何になるのでしょうか?

 

VF:ドラゴンボールやガンダムはよく聞きます。

 

イタリア人から見た日本人の特徴はどのようなものでしょうか。

 

VF:例えば、雨が「ザーザー」などの表現は、漫画的だとイタリア人は気付くようです。

むしろ我々は気が付かないですが(笑)

現在、こちらで日本語を学ぼうとするイタリア人は、とても日本を理解しようという意識が高い方々ですね。

ひと昔前ですと、君たちはイタリアに来たらイタリアに合わせなさいという感覚だったと思います。

今は、日本について学びたい!と思ってくれる人が増えたように感じます。

 

日本語という言葉の中には、日本のしきたりや文化が込められています。

日本語をそのままイタリア語に訳すと、違和感のある言葉になってしまうことがあります。

例えば「いただきます」という言葉は諸説ありますが、生き物や食材に対する感謝であったり、食事を作ってくれた人への感謝などが込められています。

イタリアでは、食事前の挨拶として「ブオナペティート」と言います。これは直訳すると「良い食欲を!」という意味になるのです。

日本人に「良い食欲を!」と言ってもピンときません。

このように、日本人が普段使っている言葉の一つ一つが奥深く、感謝、尊敬、他者との関係形成など日本人の文化を表している。

イタリア人に日本語を教えながら、自分たちもより日本を知ることになっているなあと感じています。

 

イメージで決めつけない

 

イタリア人とのコミュニケーションを取る上での工夫は何かありますか。

 

VF:日本人からみたイタリア人のイメージは「明るい」「分け隔てなく話す」「フレンドリー」などがありますよね。

ただ、実際には、無口な人も沢山いますし、日本語教室に来るイタリア人は不思議と、元々日本人っぽいという人も多いです。

そこでイタリア人の友人から「日本人みたいだな」と言われて、日本語を勉強しようと思いつくこともあるようです。

 

イタリア人からしたら、無口で、アニメが好き、家の中で過ごす時間が楽しい=日本人っぽいということなのかもしれません。

そういう方々が日本語を学ぶ中で、共通の会話や、安心感のようなものを得て、気持ち的な安定を得るということもあるんですね。

 

10代〜60代まで幅広く

 

イタリアも歴史的な背景からして、北と南で性格的な違いなどあるのでしょうか。

 

 

VF:気候や歴史、土地の形状などから人々の性格も違っているなと住んでみて感じます。

最初は、なぜこんなに複雑な人が多いのかな?と思ったりもしましたが、深くイタリアを知る中で、その複雑性を知っていくことが出来たように感じています。

 

生徒さんの年齢構成を教えてください。

 

VF:10代から60代まで幅広い方々が通っています。

未成年ですと、親御さんが連れて来られるのですが、本人より親の方が熱心ということもあるので、自分がやりたかったことを子供に託しているということもあるようです。

 

 

語学の勉強以外に、日本食なども教えられていらっしゃいますね。

 

VF:我々も日本にいて、イタリア語を勉強するとなると構えますが、ピザを作る教室があるから行ってみよう!というと行きやすくなります。

その感覚で、まず日本の料理から興味を持ってもらうことから、日本を知るきっかけを作っています。

30年ほど前は、アメリカに旅行に行く日本人は既に多くいましたが、イタリアに来る日本人は少なかった。

日本に住んでいた頃、料理をしていましたので、イタリアというあまり日本人にとって未開の場所で第一人者になろうというロマンを持ってイタリアに来ました。

そこで、料理を教えるということも、自分のキャリアに繋がっていましたので、とてもスムーズに開始出来ました。

また、今はイタリアも日本食ブームです。

こうした活動をしながら、時代の流れとあって来たということも、運がよかったかなと思っています。

 

関係構築のヒント

 

イタリア人との関係構築を行う上での注意点は何でしょうか。

 

VF:イタリア人も現実的には、優しい、カッコいいだけではありませんので、幻想は抱かない方がいいとは思いますね(笑)

イメージで優しいイタリア人、女性に優しいイタリア人と思い込んでいるとギャップに驚くことになるのではないでしょうか。

他には、イタリアで有名なこととして、男性はマザーコンプレックスが多いと知られています。

母親の影響が強いと言いますか、母親が子供のことに深く関わるという感じなのかもしれません。

それ以外ですと、日本語を勉強している間は、性格的にも雰囲気もイタリア人はとても優しくなります。

それが、電話であったり、イタリア人同士の会話になると突然厳しくなったり性格まで変わってしまうような事があります。

日本語を勉強している時が全てだと思わない方がいいなと思っています。

 

明るい未来を構築する役目

 

今後の目標や実施したいと思われていることはありますか。

 

VF:この教室の枠を超えて、イタリア人にもっともっと日本に行ってもらいたいと思っています。

実際に日本に行くことで日本を体感してもらえば、より日本を好きになってもらう事が出来ると信じています。

今は日本食ブームもイタリアに来ていますし、日本食や日本の文化に触れるとイタリア人が「優しい気持ちになる」と言ってくれます。

日本そのものが穏やかで、平和的なのではないかと感じる瞬間です。

これを広げて行く事で、多くのイタリア人が穏やかに、平和的に、お互いを思いやるという日本的な思考が広がることを願っています。

 

こちらでは、日本語をイタリア人に教えながら、より広い視野で明るい未来創りを行われていらっしゃるように感じます。

 

VF:そうですね。世直しというか(笑)そうなればいいなといつも思ってます。