私の人生で唯一学校が楽しかった約半年間のお話!
中学3年生のとき、初めて仲良しのお友達が数人も出来ました。
クラスはバラバラで、みんなオタクであり「HUNTER×HUNTER」が大好き、我々はハンター世界で生きているという概念の元に集った同志達。
どハマりしたヨークシンシティ編ではいてもたってもいられず自らを幻影旅団と名乗り始め、特に何もなくても「揉めたらコインだ」と十円玉を投げて裏表でものごとを決め、何かあると校舎裏のアジトに集合、毎週月曜日には週刊少年ジャンプを全員で集まってアテレコしつつ音読する、と言ったディープな毎日を過ごしていました。
すでに知っている方も多いと思うのですが、水見式の結果で私は特質系能力者だということがわかり、特質系といえばクロロ=ルシルフル団長、そう、私はこのグループのなかで団長と呼ばれリーダーの役割を果たしていました(クロロファンの方許して下さい)。私のほかのメンバーも、それぞれ似ているとか好きとかものまねが出来るとかいろんな理由で各旅団員の役がなんとなくあてられていました。
漫画原作の幻影旅団は当時全部で13人。我々の仲良しグループは6〜9人(旅団だけに出入り自由)、原作メンバーの数には足りてないので適当に誰役とか決めて遊んでいました。
なかでも私の今でも変わらず最大の推しであるヒソカは、きっと誰がやっても荷が重すぎたのでしょう、ヒソカになりきってくれる子はさすがにいませんでした。
私はヒソカが大好きすぎていつもヒソカの話をしては、現実にいたらなあ…どうやって私を殺してくれるかなぁ…という話ばかりしていました。休み時間も、給食時間も体育の時も放課後も通学下校時間もずっと。
メンバーのなかに一人ヒソカの声真似が上手な子がいたので(以下Sちゃん)私はその子にcv高橋広樹をやらせるためだけに毎時間隣のクラスに通いました。
Sちゃんはヒソカとはかけはなれたテンションの低い落ち着いた女の子。温厚で優しくて背が高くて細くてスタイルが良くて、目尻がキュッとあがった美人、腕相撲が誰よりも強かったので、そう、腕相撲ランキングNo. 1のウボォーギンと呼ばれていました。
Sちゃんは私が何をやっても笑ってくれて、どんな無茶なことを言ったりやったりしても優しかったし、やりすぎたときは若干引いていたし、いつも落ち着いて私を構ってくれるお姉さんみたいな人でした。
ある日の体育の時間が終わったあと、なんか団長の机に置いてあるよ、とSちゃんが言いました。そこにあるのは一通のお手紙。
「団長、お疲れさま♠︎今日の体育の授業は大変だったね♦︎ボク疲れちゃった♥︎」
そう、それは紛れもなく我が心の恋人ヒソカからの手紙であったのです…!!!
それから、移動教室のあと、放課後、たびたびヒソカからのお手紙が私に届きました。
「今週号のクラピカ、怖かったね〜♣︎ボクの出番まだかなぁ♦︎」
「体育の時間の団長の華麗なボール捌き、ちゃんと見ていたよ♥︎」
これヒソカから預かってきた〜と言ってSちゃんが直接持って来ることもありました。
私もその都度お返事を書きました。
毎日、このお手紙を開くたびにドキドキして、お手紙が届くのが一番の楽しみで学校に通っていました。
だって、好きな人からのお手紙が三次元でリアルタイムに毎日届くんですよ?もしかしたら夢女子以外には「???」ということかもしれませんが、今でいうと推しから毎日LINEが来るみたいな感じなんです!!!最高に幸せすぎませんか!!!?
私はSちゃんの存在が大切すぎて、愛しくて愛しくてたまりませんでした。
やがて、卒業の時期がやってきました。
私は他市のカトリックの女子校へ、Sちゃんは市内のオシャレ(当時田舎ではそう見えた)な進学校へ通い、なかなか会うこともなくなってしまいました。
Sちゃんに彼氏が出来たと聞いてはその男について聞き込み回って監視したり、別れないかなぁと念じたりしていました。(最低の友だち…)彼氏?なんだそれはSちゃんのいちばんは私だったのに!!!
もうヒソカからのお手紙が届くことはありません。
連載再開のお知らせが本誌に載るたびにメールで喜びを分かち合う仲間たち。でも、Sちゃんとはメールアドレスを交換することもなく(当時大体の子が高校から携帯デビューだったので中学生のうちに持てる子はまだ限られていました)、のちにたまに集まるようになってもSちゃんが来ることはほぼなく、月日は流れ、今では人妻となって幸せに暮らしているそうです。私は大学から東京に出ていますが地元にいるメンバーはSちゃんとも連絡をとったりすることがあるようで近況を聞くことが出来ます。会おうと思えば会うことは出来るでしょうが、もうあの頃のヒソカもウボーさんも当たり前だけどいないのでしょう。Sちゃんを独占したいという強い気持ちも今はさすがになくなりました。幸せに暮らしていればそれがなによりです。
今でもヒソカからのお手紙はぜんぶぜんぶ大切にとってあります。実家にあるので今度帰ったときに読みなおしてみようかな。
Sちゃんが大好きだったけれど、付き合いたいとかはなくて、ただただ愛おしくて独占したかった、ずっと一緒にいたかったけれど叶わなかった。そして今は幸せになってほしい。恋愛感情の一種なのか関係ないのかよくわからないけれど、まぁそんなことはどうでもよくてとにかく大切な人間がいたことを思い出したので、役20年たった今、改めて記録しようと思って書きました。読んでくださった方有り難うございました。
でわでわっ
おやもえなさあい💤💤