人工妊娠中絶について、16~49歳の女性の6人に1人の割合で経験している――そんな推計が、厚生労働省研究班(主任研究者=佐藤郁夫・自治医大名誉教授)と日本家族計画協会の共同調査で出た。3分の2近くが条件つきも含めて中絶を容認しているが、経験者の多くが精神的なショックを受けていたこともうかがえた。

 調査は昨年10~11月に層化2段無作為抽出法で実施、全国の16~49歳の女性890人が回答した。人工中絶について、全体の59.9%が「一定の条件を満たせばやむをえない」とし、「認める」(5.5%)と合わせると65.4%が容認派で、「認めない」の7%を大きく上回った。

 一方、人工妊娠中絶の手術を経験した人は16.3%。うち約3割が複数回実施し、初めて手術を受けた年齢は20歳以下が31.7%を占めた。

 最初の手術を受けた理由は、「相手と結婚していない」(22.1%)、「経済的余裕がない」(17.2%)、「仕事・学業を中断したくない」(9.0%)、「体が妊娠・出産に耐えられない」(8.3%)と続いた。

 初めて手術を決めたときの気持ちについては、「胎児に申し訳ない」(55.9%)と、「自分を責める気持ち」(15.2%)が7割を占めた。一方で、「自分の人生において必要な選択」が11.7%だった。