心のショートケーキ | ホームホスピス われもこう

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熊本にある介護施設「ホームホスピス われもこう」のブログです。


 「他人の心と自分の心とを比べると、どっちが理解するのがよりむつかしい?」かといえば、自分の心のほうが、ちらっと覗き見ることさえむつかしいと思います。

 なぜなら、他人の心は、その人の行動を繰り返し観察していると、わかってくることが意外と多いものだからです。他方、自分の行動を自分で観察することはむつかしく、その分、行動を通して自分自身の心を推し量ることはむつかしい、と考えるからです。

 とは言っても、行動を通しての心の理解など、まるで表面的な理解にとどまるおそれが十分にあります。

 そんな心をショートケーキに見立ててみるとどうでしょう。心の理解を一歩前進させるきっかけになるかもしれません。

 〈心〉を、ここでは便宜上〈意識〉と言い換えますと、たとえば、ケーキの表面あるいは一番上の層は、〈表層意識〉、それより下の層は〈深層意識〉。

 表層意識の働きで行っている私たちの行動は、たとえば仕事をしたり、友達や家族とおしゃべりをしたり、職場で打ち合わせの会議に出席して議論したり、自動車を運転したり等などです。

 反対に、ショートケーキのこれよりも下の層、すなわち〈深層意識〉の領域があります。この領域で私たちは、たとえば、睡眠中に夢を見たりしますが、これなどはまさに〈深層意識〉の活動の代表格です。

 〈深層意識〉は、ショートケーキと同様、それ自体が幾層にも重なっていると考えてよいものです。下の層へいけばいくほど、表層意識からの距離が当然遠くなります。つまり〈常識の世界〉から離れていきます。

 〈深層意識〉の領域は〈表層意識〉の領域よりはるかに深くかつ広く、宗教や多種多様な芸術活動や創造的科学の世界は、これなしでは成立し〉なかったことでしょう。だれであっても、この〈深層意識〉を〈表層意識〉とあわせ持っていて、意識の内面生活を豊かに育む可能性を秘めているのでしょう。