最近、この曲を練習していることもあり、CDを聴いてみた。
この曲のCDは、アダム・ホルツマンと渡辺範彦のCDと思っていたが、もしかしてとセゴビアのを捜したら、有りました。結局下記3枚持っています。

●アダム・ホルツマン/ナクソスの廉価版
アダム・ホルツマンはナクソスから5~6枚CDを出している。当初、安いだけで期待していなかったので、演奏家の名前も確認せずにCDを買っていたら、このホルツマンのCDをほとんど持っていたのを最近気がつき、驚いています。彼の演奏は、ダイナミックさや深遠さはないが、優雅でかつ暖かさを持ったいい演奏をする。私が好きなギター曲の一つのポンセの"ギターとハープシコードのためのソナタ"がお目当てで購入したが、この組曲イ短調も入っている。福田進一と小林道夫のCDも持っていますが、ホルツマンの演奏のほうが、私は好きです。
●渡辺範彦/渡辺範彦の芸術
これは、約10年前のギター再開の時、山野楽器で出したギターの復刻版の一つ。山野楽器は、このころプレスティとラゴヤの二重奏CD、ブローウエルのCD等たて続きでギターのCDを復刻していた。これらは、今となっては貴重なものです。

●アンドレス・セゴビア/MP3のNon Stop Music
これは、MP3で116曲の約6時間分が1500円で売っていたので購入した。通しで聴いたことはない。セゴビアの「Non Stop Music」は、あとで役に立つだろうと思い、且つセゴビアはあまり好きな方ではないので、買いっぱなしでした。最近、ポンセの組曲イ短調をすこし練習していることで、もしかしたらと思い確認したら全曲入っていた。

●組曲イ短調
この曲は、プレリュード、アルマンド、サラバンド、ガボットⅠ、Ⅱ、ジーグ
昔は、S.L.ヴァイス作といわれていたもの。学生時代は、この曲は知っていたのですが、ヴァイスよりバッハが偉いと思っていて、バッハだけを弾いていた。最近は、ロバート・バートのリュートによるヴァイスの廉価版が8枚出ている、。私はそのうち3枚もっているか、鍵盤くささが残っているバッハのリュート曲より、ヴァイスの曲の方が、リュートらしくて且つ優雅だと思っています。その、ヴァイスに似せたポンセの曲がこの曲です。この曲を好きになったのは、範彦の演奏をCD聴いてからです。

●セゴヴィアと範彦とホルツマン
両者の演奏を聴いて驚いた。渡辺範彦(さん)は、セゴビアを大変尊敬していたのだろうと感じた。セゴビアのいいところを引き継いで、範彦の世界を作っている。みんな知っているように、古典組曲の構成の基本は、アルマンド-サラバンド-ジーグのラインで、そこにプレリュードやクーラントやガボットが挿入される。セゴビアも範彦もサラバンドをとても大事に弾いている。一方、ホルツマンは、全体を端正且つ暖かく弾いている。この「暖かい」感じは彼のいいところと思う。聴いた印象は、ホルツマンは「さっぱり」した~~」というものですが、範彦は「うるうる、じ~ん」という感じです。セゴビアも、おそらく生できけばすばらしいのでしょうが、参考になるところは多々あるし、セゴビアトーンも有効に使っているし、セゴビア節が比較的少ないので、悪くはない。私の理想の演奏は、範彦とホルツマンの間の感じです。もちろん、人によってこの感じは違うと思いますが、範彦(さん)のサラバンドを聴くと、「この組曲はすばらしい名曲だ」と感じる。

●範彦の河野ギター
範彦は、「河野専属で河野のギターしか弾けなかった」と聴いたことがある(間違っているかも知れないが)。範彦は、その河野ギターを余すことなく響かせている。しかし、範彦は、ほんとうに河野のギターで満足していたのだろうか。そこに、すこし悲しみも入っているのではないか・・・と感じた。

・・・ということで。
しばらく、この3人のポンセをiPodで聴いてみようかと。