ふと考えた。アマチュアギタリストの世界です。
だれもが自分の演奏に愛着を持っている。そして、聞く耳は練習と共に(おそらくだれもが)向上するので、それに故に人を見る目だけは厳しくなる。その一方で、自分の演奏を客観的に見るのは難しい。なにを隠そう、私もご多分に漏れず同じであり、とても"さとりの境地"とか"謙虚”とはほど遠い。
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そう言う私が、バッハを聞き、宗教や哲学や中世の生活の本を読んでいる。なんでだろう・・・。向上心ではない(これは、とうの昔に捨てている)。自然に対する畏敬、死というものの不思議さといったシャーマニズム的な感覚は、漠然と持っている。これを特定の宗教哲学で自らを再構築しようとは思わない。ただ、今まで知らなかった世界は、とにかく面白い・・・。そういう感じです。

で、今日の本題は上記のCDです。

●CD Romantic Guitar Duets/Peter Pieters&Micheline DumortierCDギター二重奏
金曜の夜の帰宅のとき、秋葉原で途中下車してヨドバシ電気の上のタワーレコードに行った。そこで、売れないCDのバーゲンをやっていた。CD2枚で正価1000円のところ半額の500円で購入しました。1枚250円です。このCDは、よほど物好きな愛好家でないと購入しないと思う。CDの表紙もダサイ。ただ、なんせ500円というのが気に入った。この感じ、道ばたで見つけた(かわいそうな)捨て犬を拾って帰る心境です・・・。
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この録音はDisk1が1995年、Disk2が1991年。使ったギターは当時、ソルが最も良いギターと認識していたラコート(パリ、1820年)、パノルモ(ロンドン、1840年)のテルツギターのオリジナル又はそのレプリカを使っている。なお、テルツギターは、現代のギター(トーレスモデル)より3度高い。このようなオーセンテックなアプローチは、クラシックの世界のピリオド楽器による演奏の流行の影響があるのだろう。
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前記のようなアプローチはすばらしい、それが新しい感動まで引き出せているかというと、ちょっと違う。聴いてみて、アマチュアに毛が生えたような真面目な演奏に留まっている。エキセントリックでもなく、ヴィルトオーソでもない。ただ、それ故に気楽に楽しめる。こういう曲の演奏会を(比較的安い値段で)聴けたらとても楽しいだろうとも思う。
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ソルの3大二重奏曲は、私にはイダ・プレスティとアレクサンドル・ラゴヤの印象が強すぎる。メルツの二重奏は自ら弾いても楽しそうだ。このCDよりほんの少し早く弾くと、メルツのロマン的な感じがもっと出て、全く違う輝きが出てくるのではないだろうか。もっとも、この演奏家は「そうではない」と言っているのかも知れないが。自分でここまで弾けるかは別として、"私ならこう弾きたい"という感じが起きた。え~と、つまり、それなりに刺激をもらったということです。

●内容
CDの内容を紹介したHPがあったので、そこからコピーしてこのCDの内容を記しておきます。
Disk1
(ソル)
Les deux amis, Fantaisie/「二人の友」Op. 41 16:18
2.L’encouragement, Fantaisie/「はげまし」Op. 34 13:24
3.Souvenir de Russie, Fantaisie/「ロシアの思い出」 Op. 63
4.Divertissement Op. 38 8:27
5.Fantaisie Op. 54 11:06
Disk2
(ジュリアーニ)
3っつのロンド
1. Allegretto 3:50
2.Grazioso 5:16
3.Allegretto 6:33
(メルツ)
4.Am Grabe der Geliebten 5:19
5.Ich denke dein 5:26
6.Trauermarsch 4:52
(ペトレッティ)
7. Fantaisie sur un motif favori de Bellini, Op. 22 5:05
(ジュリアーニ)
8.Gran Pot-Pourri, Op. 67 14:51
(メルツ)
9.Unruhe/不安 3:00
10.Ständchen 6:22
11.Mazurka 3:34
12.Tarantella 4:55

●演奏家
Peter Pieters
Micheline Dumortier

・・・ということで。