カインとセツカの生活が始まったばかりの時に浮かんでた内容です☆

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目撃者、尚


収録が終わってから、用事がある祥子さんを置いて、一足早く着いたテレビ局の中にある駐車場で、俺は目撃してしまったんだ。見たくもない光景を!!

『敦賀さん!良かった!見つかって!』
『あれ?どうしたの?最上さん。』
俺が世界一嫌いな男に笑顔で話しかけてる幼馴染の姿。
相手の満更でもないなさそうな表情が気に食わない。

『敦賀さん、今朝お弁当持っていくの忘れてましたよね?(カイン兄さんの為に折角作ったのにー)』

…は?!今何つった?!
ケサ オベントウ モッテイクノ ワスレテマシタヨネ??
お弁当?!!え?!今朝ってなんだ?!

『あ!そういえば、"今日も"お弁当を"君が"、作ってくれてたんだったね。"俺の為に"。』
物凄く嬉しそうに話す男。
ー絶対ワザとだ!わざと忘れたんだ!!
ってか、今日も?!今日もってなんだ?!
いつもあいつが作ってるのか?!

『そうですよ。もー!今日は私も午前中には同じテレビ局の仕事だったから良かったですけど、ちゃんと持って行ってしっかり食べてください!』
『もちろん、しっかり頂くよ。"君が、俺の為に作ってくれた弁当"だもんね。』

何なんだあの神々しい笑顔は!あんな顔テレビのインタビューでも見た事ねー!
ってか、さっきから、君がってとこをさり気なく強調していれてないか?!
しかも俺の為にって!!くそ、イライラする!
そういや、キョーコが同じテレビ局の仕事だったから良かったとかいってたけど…計算したんだな。
自分から会いに来させようって魂胆だろ?!絶対!!
ってか、キョーコお前何顔を赤らめてんだよ!!

『なんだ?蓮、今日は一緒に家出なかったのか?』

ってか、この場にマネージャーいたのかよ!
今日は一緒にって…嘘だろ…マジで一緒に住んでんのか?!
…同棲?!いやいや…キョーコに限ってそんなハズは…と思いたい!!
『はい。今日は俺の方が現場入り早かったので、彼女に黙って出掛けたんです。』
『シャワールームから出たら誰もいないのでびっくりしましたよ。』
『君のことだから、声かけたらまだ時間じゃないのに一緒に出ようとするだろう?』
『なるほどね。キョーコちゃん真面目だからねー。』
『ところで敦賀さん、今日は何時ごろ帰宅されますか??』
『昨日は遅くなっちゃったけど、今日は多分21時過ぎくらいには終わるかな?』
『良かった!私も同じくらいには上がります!では今日の晩御飯も重すぎないように消化のいいものにしますね。』
『ありがとう。君の料理は世界一だからね。いつも晩御飯楽しみにしてるよ。』
『はい!それでは、私はそろそろ行きますね!お弁当も残さず食べてくださいねー!』
『うん。わざわざありがとう。君も頑張って!』

……確実に一緒にすんでるよな。
いいのかよ?!芸能界一のいい男とか言われてる、抱かれたい男No.1のくせに!!
同棲とかいいのか?!スキャンダルものだろうが!!
ってか、普通マネージャー止めるだろ?!
よりにもよって、何でキョーコなんだよ!!

『蓮、良かったな!キョーコちゃんにお弁当作ってもらえて!いいよなー。』
ウキウキと話しかけてるマネージャーに笑顔で答える敦賀蓮。
『えぇ、彼女のお弁当は例え社さんだろうとオカズの一品も差し上げませんよ?』
その答えに顔を引き攣らせるあの男のマネージャー。
『もちろん、もらおうなんて思わないよ。…そんな…恐ろしい。』
『そうですよ。これは、"彼女が"、"俺の為に"作ってくれたんです。』
子供が欲しかったおもちゃを買ってもらって自慢しているような、そんな顔をしている芸能界一のいい男。

…えぇー?何だってキョーコごときの弁当であんなにウキウキしてるんだ?!

『ふーん。蓮。お前確実にキョーコちゃん無しじゃ生きていけなくなってるな。』
急にむふふと不気味な笑いを浮かべるあの男のマネージャー。
『社さん、その不気味な笑いはなんとかなりませんか?』
『だぁーって、恋愛初心者の恋愛オンチ君の初恋じゃないか!これが笑わずにいられるか?』

ぬわぁーに?!恋愛初心者だと?!あんな恋愛百戦錬磨みたいな顔して恋愛初心者?!!そんなの詐欺だろ!!ありえねーだろ!
いや、あのマネージャーがただ、ああやってからかってるだけだろう…。あいつの周りには何てったって世界中の美女達が群がってくるだろうしな。くそ、羨ましいぜ。キョーコなんかじゃなくてもよりどりみどりじゃねーか!

『……恋愛初心者って、失礼な…。』
『れーんー??顔を赤らめて言っても説得力ないぞー??』

…んな?!敦賀蓮が、拗ねたような顔して、顔を赤らめて恥じらってるーーー!!
嘘だろーー!!
マジでか?!マジで恋愛初心者なのか??世の中どうなってんだよー!!
世界中の美女達は何やってんだよー!

『それはそうとお前最近ちゃんと寝てるのか?寝不足でクマなんて作るなよ?』
するとあのやろーは大きな溜息をついた。
『あの子、寝つきがいいので、すぐ寝ちゃうんですよ。あんな近くで気持ち良さそうに寝息たてて寝られたら…、ついつい可愛くてずっと眺めちゃって…(理性保つのがもう大変…)』

確かに、あいつは昔から寝つきがいい。あの寝顔が可愛い?!どこがどう映ったら可愛く見えるんだ?
ってかやっぱり同じベッドで寝るような仲なのかー!!
俺だって子供の頃に寝てたぐらいで、小学校高学年からは別々に寝てたぞー!!
ぶるぶると怒りをあらわにする尚。

柱にしがみ付いて二人しか視界に入れてなかった俺は近付く足音に全く気付かなかった。

『尚?こんな所でなにしてるの?もう、車の中で待ってると思ったのに』
『え…あ…祥子さん…』
『行くわよ。次の現場まで時間ギリギリになっちゃったから。』
『うわっ!祥子さん待って!』
片腕を取られて、半ば後ろに引きづらせるような形で尚を連れ出す祥子さん。

祥子の頭の中では先ほどキョーコとのやりとりが頭の中を巡っている。
『あら、キョーコちゃん。こんな所で珍しいわね。どうしたの?』
『あ!こんにちは祥子さん。今日はちょっと敦賀さんにお弁当を渡そうと思って探してたんです。』
もちろん既にお弁当を渡した後で祥子と鉢合わせたキョーコだが、そんな話しを聞いた祥子はたまったもんじゃない。
早々にキョーコと別れ、尚をTV局から連れ出すことで頭がいっぱいだった。
哀れな尚はその現場をばっちりと目撃してしまったのだが、そのな事を祥子が知りうるはずもない。
『…ところで祥子さん。今日俺のスケジュールは何時までだ?』
『ん?どうかしたの?尚が終わりの時間気にするなんて』
『いや…別に。何となく。』
『ふーん?まぁ、昨日と同じで、
今日は17時頃までには終わる予定だから夜はゆっくり出来るわよ?』
『17時…ね。』
くそーなんかあの二人に負けてるみてーじゃねーか!!
あの野郎は昨日は遅くなったけどとか言いながら、今日は21時くらいには上がれると言ってた!
つまり昨日はそれより遅かったってことだ!
くそー!仕事まで負けてるみたいじゃねぇか!
許せん!敦賀蓮ー!!!!
キョーコもっ!
『覚えてやがれーー』
『ちょっと尚!車の中でいきなり大声出さないで!びっくりするでしょー。』
『あ、わりぃ祥子さん…』


ちゃんちゃん。

蓮とキョーコがお互いを想い合ってる幸せな日常の姿を尚に見せ付けて思い知らせてあげたいですよね☆
蓮とキョーコを見る尚ってパターンが色々浮かんじゃいます(笑)



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