運命の歯車 0 ~序章~


ある晴れた日、キョーコが坊という鶏のレギュラー番組、やっぱ気まぐれロックのスペシャル特番の収録で、キョーコ達は番組初の野外ロケに来ていた。
収録も無事に終わり、着替えも済ませたキョーコは、一人撮影の撤収作業が終わるのを、見晴らしの良い丘で待っていた。
そこに、この番組の司会を務めるブリッジロックのリーダー光がやや緊張の面持ちで近付いて来た。
いつも通り無邪気な笑顔を向けるキョーコとしばらく談笑したのち、光は思い切って切り出した。
「あの、京子ちゃん。俺さ、君のこと好きなんだ!!」
「ほへ?えっと…な、何の冗談ですか?光さん…。あ!!もしかして、ドッキリとかですか??」
最初こそ素っ頓狂な声を上げ、
鳩が豆鉄砲くらったような顔をしたものの、直ぐに気持ちを持ち直しニッコリと微笑んだキョーコを見て、光は慌てて言葉を続けた。
「冗談でもないし、ドッキリでもないんだ!!俺、本気なんだ!」
他愛ない会話をしていたはずなのに、切り出された突然の告白。
いつにない光の真剣な目と声を聞いてキョーコはピキリと固まった。
「え…あの…でも…」

「初めて見たときから、何となくいいなって思ってて…ずっと顔を合わせるたびにどんどん惹かれて行く自分に気付いたんだ。」

顔を真っ赤にしたキョーコは一方後ずさる。
「はわ…」
「好きなんだ!京子ちゃんが。俺と付き合ってくれないかな?」
目が白黒しているキョーコを見て光は続けた。
「ごめん。急に…どうしても伝えたくて…もちろん、京子ちゃんが恋をしない。って言ってるのも知ってる!でも、それでも好きなんだ!!お願い…ゆっくり考えて…」
遠くから、撤収作業が終わったので、ロケバスに戻るよう指示が飛んでいた。
「返事は今度でいいよ。じゃそろそろ行こうか!先に戻ってるね!」
光は言いたいことを言い切ると、真っ赤な顔を隠すようにしながら、その場を立ち去って行った。

残されたキョーコもまた真っ赤な顔で、途方にくれていた。


〈続く〉


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あれ…この続きは…??
〈なくした記憶〉にも繋がりそうですね。だからここであえて切ったのですが…。
〈なくした記憶〉とは別バージョンの展開をお楽しみ下さい。
実は、同じくらいにストーリーを考えたのに、こっちの方が〈なくした記憶〉よりも早くラストに行き着いちゃったので、小出しでUPしますね。
連載二本にして混乱してしまう方がいたらすみません。

最初に言っておきます、情けない蓮が見たくない人は、続きを読まないことをお勧めします!!